加藤のメモ的日記
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3年前の秋、自民党は落ち武者集団を見るようだった。政権を明け渡し、「自民党という名が国民に嫌われている」と党名を変える動きもあった。「和魂党」やら「自由新党」やら、真面目に考えていたらしい。支援団体は離れ、陳情は減り、食いなれぬ冷や飯のせいか無気力と自嘲さえ漂った。その斜陽から、新総裁が次期首相と目される党勢の復活である。「ある者の愚行は、他の者の財産である」と古人は言ったが、民主党の重ねる愚行(拙政)で、自民党は財産という支持を積み直した。とはいえ総裁に安倍晋三元首相が返り咲いたのは、どこ「ナツメロ」を聴く思いがする。
セピアがかった旋律だ。当初は劣勢と見られていたが、尖閣諸島や竹島から吹くナショナリズムの風に、うまく乗ったようである。1回目の投票で2位だったが候補が決選投票で逆転したのは、1956年の石橋湛山以来になる。その決選で敗れたのが安倍氏の祖父で岸信介だったのは因縁めく。「もはや戦後ではない」と経済白書がうたった年のことだ。以降の自民党は、国民に潜在する現状維持意識に根を張って長期政権を保ってきた。人心をそらさぬ程度に首相交代を繰り返してきたが、3年前に賞味期限が切れた。思えば自民党は、原発を推し進め、安全神話をつくりあげ、尖閣や竹島では無為を続け国民の借金を膨らませてきた。景気よく民主党を罵倒するだけで済まないのは、よくお分かりだと思う。まさかの上げ潮に浮かれず、責任を省みてほしい。
『朝日新聞』9/27
〈古い自民党には戻すな〉
自民党は3年前に下野した。なぜそうなったかという「反省」を、今後に生かさなくてなならない。安倍新総裁の最初の仕事は、真に国や国民の利益を守る責任政党の姿を示し、かっての自民党ではないことを国民に理解してもらうことである。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を通じた自由貿易体制の拡大は日本経済の成長にもつながるが、自民党は慎重だ。その背景には農業関係団体に対する配慮がうかがえる。選挙を考え指定業界と通じているとみられるようでは、「古い自民党」との印象が拭えないだろう。
衆院解散問題への対応も難問だ。解散の先延ばしを図っているとしかいえない野田首相に対し、安倍氏は「近いうち」の解散という国民との約束の履行を強く求めていかねばならない。その一方で、国民の生活に影響が出かねない特例公債法案などにどう対処するのかが問われる。双方の折り合いをつける「紳士協定」をどう整えるのか、安倍氏の手腕の見せところだ。「脱派閥」を掲げた石破茂前政調会長が地方票で過半数を獲得し、1回目投票でトップに立った意味は小さくない。派閥の影響力の残る党体質の改善が急がれる。安倍氏は「石破氏と協力していくことで、自民党は強力な体制をとっていける」と述べた。懸案を着実に解決できる党人事を行なうことが重要だ。
『産経新聞』9/27
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