加藤のメモ的日記
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| 2012年07月10日(火) |
寿命を10年伸ばす方法 |
110歳を超える人達
4万7756人。2011年時点で日本にいる100歳以上の長寿者の数である。日本人の長寿化が進む中で、寿命に関する研究が盛んに行なわれてきた。長寿の人は短命の人と比べて何か違うのか。これまでにも「社交的な人お、負けず嫌いの人は長寿が多い」といった〈長寿と性格の関係〉や、「タバコや過度の飲酒を避ける人は長生き」といった〈長寿と生活習慣の関係〉は議論されてきている。しかし「生まれながらに長生きすることが決まっている人はいるのか」という、長寿と遺伝子の関係については、さまざまな研究がなされてきたものの「いまだによくわからない」とされたままだった。
そんな中で、慶応大学病院老年内科の広瀬講師を中心に、最近画期的な研究が進められ注目を集めている。彼らの研究によって「長寿に関係する遺伝子」が発見されそうなのだ。広瀬氏が説明する。
「これまでは100歳を超える人達(百寿者)を対象に、長寿に関係する遺伝子を持っているのではないかという調査が進められてきましたが、明確な遺伝子を発見することはできませんでした。そこで私たちは、110歳を超える人達の血液などを調査することにしたのです。というのも最近の研究で、人間は105歳を超えると一気に死亡率が低下することがわかったのです。普通は年齢とともに、高齢者の死亡率は高まっていくのですが、不思議なことに105歳を超えると、年々死亡率が下がり、110歳あるいはそれ以上まで生きられる可能性が出てくるのです。彼らは本物の長寿で、私は105歳を超える人達を『超百寿者』と名づけ、彼らの血液を集めて、その遺伝子を解析していく研究に着手しました。解析には多少の時間がかかると思いますが、これによって『遺伝子と寿命』の関係がわるかもしれません」
この研究によって「超・長寿遺伝子」が発見されれば、老化の研究、寿命の研究、さらには、病気の研究も飛躍的に進歩することが期待されるという。「超百寿者は糖尿病や動脈硬化、がんなどの病気が少ないことが知られています。超百寿者の遺伝子構造を研究することで、なぜこれらの病気にかかりにくいのかを知り、さらにはこれらの病気を治すヒントが見つかるかもしれないのです」(広瀬氏)
長寿に関する遺伝子の発見に期待が寄せられる一方で、「健康寿命を延ばす研究」も盛んに行なわれている。そうした研究によると、「超・長寿遺伝子」のような特殊な遺伝子の有無に関係なく、ある遺伝子を刺激することで、健康寿命を伸ばすことができるという。この遺伝子については昨年の「NHKスペシャル」でも取り上げら大きな話題を呼んだが、それ以降も盛んに研究がつづけられている。今年2月には、イスラエルの研究グループがマウスを対象にした新しい研究結果を発表したばかりだ。ワシントン大学医学部の今井博士が説明する。
「『サーチュイン』と呼ばれる遺伝子を刺激すれば銃みゅが伸びる可能性があります。雄のマウスを対象に、サーチュイン遺伝子の働きを強める実験を行なったところ、その寿命が15〜17%伸びることが確認されたのです。これを人間に当てはめると、男性の平均寿命を80歳とした場合、90歳から100歳ぐらいまで延ばせる可能性があることになります」ではどうやってサーチュインを刺激するのか。「長寿遺伝子を鍛える方法として、摂取カロリーを抑えるという方法が挙げられます」
こう話すのは、慶応大学医学部の坪田教授だ。ハエ、マウス、サルなどを対象に、カロリーを制限する実験を行なったところ、老化現象が抑えられ、各々の寿命が平均よりも延びた。この現象を分析したところ、カロリー制限によってサーチュインが活性化したことが確認され、両者の結びつきが明らかになったというのだ。一体なぜこのようなことが起こるのか。
「どんな生物でも、環境が悪化して空腹・飢餓状態に陥ると、身体のエネルギー効率を上げて細胞を活性化させ、飢餓を乗り越えようとするのです。このときの作用が老化を遅らせ、さらには寿命を延ばす効果があると考えられています」
カロリー制限がカギ
こうした生物の特性を利用すれば、人間も寿命を延ばすことが可能だと、前出の坪田教授は言う。「体重、身長、年齢などをもとに基礎代謝量を算出する。そして摂取カロリーを、その数値の70〜80%に抑えるように食事を調整するのです。そうすることで長寿に関係する遺伝子が活性化され、長生きにつながるのです」
現に100歳以上の長寿者の中に似は「腹8分目」を実践している人も多く、人間でもカロリー制限と寿命の関係が確認され始めているという。また、赤ワインなどを摂取することで、サーチュイン遺伝子を活性化させることができるという。「『レスベラトロール』という物質を摂取すれば、サーチュインが刺激されます。レスベラトロールとは、ブドウが干ばつ時などでも生き残るために備えている物質ですが、人のサーチュインも活性化させることが確認されているのです。レスベラトロールは赤ワインに含まれています。
サーチュインを刺激する方法は、食事によるものだけではない。「適度な運動もサーチュインを刺激します」とは、高輪メディカルクリニックの久保院長だ。「今年の3月に発表された研究では、一日11時間座っている人と、4時間未満の人を比較すると、一定年齢での死亡率は前者の方が40%も高いといことがわかったのです。これはつまり、『運動不足は早死にする』ということですが、やはり運動によってカロリーを消費し、空腹感によってサーチュインが刺激される、ということなのです」
さらに、近年ではサーチュインを刺激する薬の開発が進められ、数年以内には実用化される見込みだという。前出の今井博士は、「サーチュインを刺激すると、糖尿病や心臓血管系の病気を改善する効果があることもわかってきています。あくまでも糖尿病や心臓血管系の病気を改善する効果があることもわかってきています。あくまでも糖尿病や心臓血管疾患の治療のために開発されている薬で、寿命を延ばす目的のものではありませんが、現在、サーチュインの働きを強めるさまざまな薬が開発されており、臨床試験が進んでいるものもあります」
今井博士は「私たちのチームもサーチンを活性化させるビタミン様の物質の開発を進めており、5年程度で実用化できる可能性が出てきている」といい、「長く健康に生きるための薬」として開発に期待が高まっている。
『週刊現代』7/7
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