加藤のメモ的日記
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| 2011年11月10日(木) |
研修目的の手術 (51) |
「医」の最高峰の知られざる内側を探る
「3時間待ちの3分間診療」と批判されながらも根強い信仰を集めているのが大学病院、年間8.000人の医師が生まれるにもかかわらずその世界は閉ざされたままだ。健康と命を支える、診療・教育・研究の三位一体は守られているのか。
患者は大学病院に「高品質」のイメージをだぶらせがちだ。しかし、大学病院の現場を支えるのは、研修医をはじめとする勉強中の若い医師たちである。こんなケースがあった。‘89年5月、蓄膿症の中年の男性患者が私立大学病院耳鼻咽喉科で手術を受けて、眼症状の後遺症に悩まされた。ある程度難しい手術で「講師が執刀する」と説明を受けていたが、その後、この手術は初めてという入局3年目の若い医師が研修目的で手術を受け持っていたことがわかった。
関西の国立大学病院の口腔外科でも、‘78年に蓄膿症の手術を受けた中年の男性患者が、目の焦点が合わないなどの眼症状に悩まされるようになった。「助教授が手術する」と聞かされていたが、入局4年目の医師が執刀していた。
医療問題弁護団事務局長の鈴木さん(東京弁護士会)は、医療事故訴訟の多くを手がけてきた経験から、大学病院の医療には「研究目的」だけでなく、「研修目的」のリスクが隠されていると分析する。「若い医師による執刀を事前に説明する必要がある。こんなリスクが隠され、大学病院の医療はレベルは高いと錯覚させられている」と話し、医療の内容を正しく伝えない大学病院のインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)に深い疑問を抱く。
漢方では、いくつかの生薬を組み合わせたものを漢方薬として使う。植物を主な材料とする生薬はそれ自体が複雑な組成をしており、一つの生薬の中に多くの異なる生理活性作用が存在する。当然、生薬の組み合わせによって生薬の相互作用や患者に現れる効果は異なり、このために、患者の症状によって生薬の組合せを変えて漢方薬の処方をするのが普通だ。この点が西洋医学と違うところで、「この症状はこの薬」という処方の方程式に慣らされている西洋医学の医者にとっては理解しがたく、大きな戸惑いともなる。
「たとえば」と大田さんは説明する。「ある70歳の老人が目がかすむ、尿が近い。腰が痛い、食欲がない、そんな症状を訴えて病院に行くとすると、眼科、泌尿器科、整形外科、消化器科を回る。そのたびに各科の医者が自分の領域の薬を出すので、患者は薬漬けだ。漢方では、この患者の体のあちこちの機能が低下していると考えられ、「八味地黄丸」(はちみじおうがん)という一つの薬ですむという。「西洋医学が患者をトータルにとらえず、部分的にしか見ていないからだ」と批判するのは代田さんばかりではない。
昭和大学医学部の高宮助手(緩和医学)は、独特な方法でターミナルケア教育を実践している。「自分が予後3カ月の末期ガン患者と仮定し、愛する人に手紙を書け」というレポートだ。同大5年の学生118人の手紙の宛名は母44人、父37人、恋人16人、以下不特定の家族、妻、子供などだった。
「告知を受けてしばらくは動揺して死ぬことばかりを考えた。健康な普通の生活を送っている人達がうらやましくもあり、妬ましくもあり、憎しみさえ感じていました」「肺がんなんていうのは誤診で、本当はもっと軽い病気ではないのか。あるいはこれは全部夢で、明日の朝になって目が覚めれば元通り元気になっているのではないか」「今の病院では体が痛む時に医者や看護婦さんにすぐ来てもらえるのはよいのですが、やっぱり自分の家の見慣れた庭や家族のところで、この余生を生きられたらと思います」
今、葬儀業界で最も注目されているのが、米国生まれの「エンバーミング」(遺体保存術)だ。遺体の血液を取り除き、代わりにホルマリンを注入する。遺体は腐らず、きれいなままで保存できる。火葬が96%を占める日本に対して、土葬が84%にのぼる米国では9割以上の遺体にエンバーミングが実施されている。日本では宣伝はしないが、口コミで広がり、月に100件程度の依頼がある。料金は4万円から20万円だ。「きれいなままで遺体とお別れできます。葬儀日程も自由になる。しかも遠方からの参加者に都合もいいでしょう」(同社社長)
ブッシュ政権の厚生長官だったサリバン氏が1年半ほど前、日本の医療制度の秘密を探りに日本に来日した時に、京都で昼食をともにしました。その時サリバン氏は「日本は非常によくやっているが、アメリカは日本の真似はできない」という趣旨の話をされました。その理由の一つは日本の医師の収入が全部同じだということです。アメリカでは熟練医師の収入は高く、新米医師は安価です。日本の病院が狭くて汚いことも話題になりました。「日本は世界一成功した社会主義」と言われることがありますが、医療でもそうした面の功罪があります。
病院はいろんな面で改善していかないといけません。公的助成を病院に出してもっと個室を増やすなどしないと、病院だけがスラムになってしまいます。病院を評価し、きっちりやっているところは助成し、病院のアメニティを高めていく必要があります。
『大学病院って何だ』
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