加藤のメモ的日記
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| 2011年10月12日(水) |
カツオブシ、トマト、赤ワイン… |
大腿筋をよく動かすことで、成長ホルモンの働きが活発になり、新陳代謝が高まる。すると、肌細胞も活性化し、しわができにくい肌になる。脂肪燃焼を助け、ダイエットにも効果的と、メタボ予防や美容効果にもつながる働きがあるのだ。
「私の患者さんで82歳の男性がいらっしゃいます。15年前、初めて診療した頃に、ウォーキングをお勧めしたところ、どんどん若返っていった。いまでは1日3時間も歩いているそうですが、背筋が伸びて身なりもお洒落。もちろん頭脳明晰で、言葉もしっかりしています。今も健康チェックのために、定期的に通院されていますが、60歳くらいに見えるほどで、正直私も驚いています。その方に限らず、歩いている方は、皆さん、お年を召されても、本当に元気ですね」
運動すると、好奇心ややる気を出させるドーパミンの分泌も促されるという。「仕事の帰りにジムで筋トレをしたり、帰宅後、スクワットをするのは、脳にとって理想的です。運動後に成長ホルモンの働きが高まり、睡眠中はさらにアップします。”やる気”がアップし、活動的になると、脳への刺激も増える。脳にとっても、プラスの循環が生まれる。
自律神経を刺激するには、風呂上がりに冷水を浴びるの効果があるという。そして脳機能アップに欠かせないのが、食事と栄養。「サバ、イワシ、マグロなど青魚に含まれるDHAは、コレステロール値を下げたり、血液をサラサラにしたり、老化防止、視力回復、ガン予防に働いたりと、めざましい力を発揮します。DHAは、脳細胞に多く存在し、なかでも海馬に多く、神経伝達物質の生産や、情報伝達のネットワークを活発にしています」
回転のいい脳を作るためには、「週2回以上」食べるのが望ましいというお勧めレシピは「カツオブシのトッピングです。青魚の中でもDHAを豊富に含むのがカツオですが、カツオの刺身よりも、同量のカツオブシに含まれるDHAは1.8倍多い。サラダ、おひたし、冷ややっこ…、どんどんカツオブシをかけて、DHAを補給しましょう」
そして脳の老化の原因、活性酸素を退治するには、食を通じて、たくさんの抗酸化物質を体内に取り入れることが重要だという。「その代表が、トマトやアスパラ、パプリカ、ブルーベリーといったカラフルな野菜や果物です。これらに含まれるビタミンCやE、色素成分のカロテノイドには、活性酸素を除去する効果があります。とくにトマトとブルーベリーは抗酸化物質が豊富。色つき野菜、果物で、脳細胞のサビつきを防ぎ、認知機能の低下を食い止めましょう」
抗酸化効果が高い食品といえば、赤ワイン。動物性脂肪を多くとる欧米人は高コレステロールが原因で、心筋梗塞による死亡率が高いのだが、なぜか美食で鳴らすフランス人は、その死亡率が欧米のほかの国々より際立って低いのだという。「これは、赤ワインに含まれるポリフェノールが高い抗酸化効果を持ち、コレステロールの酸化を抑え、動脈硬化を防いでいるのだといわれています。赤ワインは脳にもすごくいい。ポリフェノールの一種であるレスベラトロールという成分が、海馬を活性化するのです。マウスによる実験では、海馬の神経細胞が倍増。情報伝達のスピードも飛躍的に上がりました。白ワインでは、この効果は得られないそうです」
運動、食事の次は睡眠が重要な課題になる。「クリニックの外来には、記憶力や集中力の低下を訴えて来院する患者さんが増えています。そうした患者さんにまず聞くのが、睡眠時間の長さ。3〜4割の方は、睡眠時間が明らかに短いのです。睡眠は心身を休めるためだけでなく、脳はこの時間に、昼間インプットされた情報を整理し、記憶として定着させる仕事を行なっています。睡眠不足だと、脳は記憶作業ができなくなる。最低6時間、あるいは7時間半ぐらいが理想的な睡眠時間といえます」
『週刊文春』
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