加藤のメモ的日記
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2011年10月06日(木) ガンの強敵は赤ワイン(49)

あみ赤ワインが世の中の注目を浴びるようになったのは、1993年にアメリカで話題になった「フレンチパラドックス」がきっかけです。フランス人は動物性脂肪をたくさん摂っているにもかかわらず、なぜか心臓病による死亡率が他の欧米先進国に比べて圧倒的に低いというものです。なぜそうなのかを追及したところ、黒皮系ブドウの果肉だけでなく、皮や種子も一緒に発酵してつくる赤ワインに含まれているポリフェノールの”効能”ではないかということがわかってきたのです。

そして、このポリフェノールには多くの薬理的な効果があり、そのため「赤ワインは健康に良い」と、一躍脚光を浴びることになったのです。ポリフェノールは数種類のフェノール系成分で構成されていますが、なかでもガンの予防には「リスベラトロール」が有効だとされ、大変注目されています。

ところで、発ガンのプロセスには第一期、第二期、第三期とあり、第三期になるとガン細胞が体内へどんどん広がっていく段階を迎えるわけですが、リスベラトロールは第一期、第二期のみならず、第三期に入って拡大する腫瘍を抑えようとする働き、いわゆる「抗腫瘍効果」を持っているのです。このリスベラトロールには「抗カビ作用」があり、ブドウがカビに汚染された際、ブドウ自体を守るために、カビに対して抵抗するように働きます。こうした作用が動脈硬化なども抑えるのですが、ガンに対してもかなりの効果を発揮するのです。

また、その他のフェノール系成分では、種子に多く含まれている「ケルセチン」も抗ガン作用を持っています。ケルセチンはニンニクや玉ねぎなどに多く含まれている成分ですが、腸内の酵素によって活性化するという特徴があります。この特徴を生かすべく、ワインは発酵というプロセスを経ているため、赤ワインに含まれているケルセチンは有機酸や有機塩などと非常によく結びつき、体に吸収されやすくなっているのです。

ところがニンニクや玉ねぎなどの野菜類をいっぱい食べたところで、ガンに作用する効果はさほど期待できません。このように野菜類では難しいことも、赤ワインであればガンに対して効果的に働くのです。ではガン予防に対して赤ワインをどう活用したら良いのかというと、これはガンに限らず、赤ワインの薬効を引き出すにあたってすべていえることですが、週に2回とか3回飲んでいたお酒を赤ワインに変えようといった方法では感心しません。

フランスなどでは常に食卓に赤ワインが置いてあって、料理とともにいつも飲んでいます。こうした習慣が必要で、ごく自然に空気を吸うような感覚で赤ワインを飲む習慣をつけることが望まれます。ワインの本場、フランスでは国民一人当たりの年間ワイン消費量がおよそ67リットルにも及びます。日本人は年間平均で1リットル程度ですから、ほぼ67倍も飲んでいることになります。これはあくまでもワインの話ですが、酒量という点ではフランス人も相当なものであることがわかります。しかもワインは、日本人がよく飲むビールなどよりもアルコール度数は数段高くなっています。

それでもフランスでは「飲み過ぎて肝臓をこわした」というような話はまず聞かれません。また日本の盛り場やターミナル駅では毎日のように見られる泥酔者の姿も、フランスではほとんど目にしません。日本人のように暴飲するという習慣があまりないことも指摘できますが、飲んで体をこわすということがほとんどないのです。

このように、日本人の何倍ものワインを飲むフランス人が、飲んでも肝臓にダメージを与えない大きな要因の一つに「チーズ」の存在があります。「ワインを飲みながらチーズを食べる」つまり、体内にアルコールを運ぶ際には良質のタンパク質を摂るということが、肝臓に負担をかけない最大の方策なのです。チーズに含まれるアミノ酸は肝臓の働きを助け、アルコールの分解を促します。このアミノ酸の中でも必須アミノ酸であるメチオニン、ロイシン、アスパラギン酸は特に有効な成分であり、肝臓機能の改善や肝臓疾患の治療にも使われているのものです。また、チーズのなかでも長い間完熟した硬質のチーズ、たとえばエダム、チェダー、パルメザンといった種類のものは、こうした必須アミノ酸がバランスよく豊富に含まれています。

とくに必須アミノ酸のメチオニンは肝臓の働きを助け、アルコールの分解を促します。二日酔いの薬にメチオニンが成分として含まれていることからも、肝臓への効能がわかろうというものです。このメチオニンを多く含有するアミノ酸が、チーズには非常にたくさん含まれているため、肝臓を害さなかいばかりでなく、肝機能を強めていくのです。

ワインの摂取量が非常に多いヨーロッパ人が、その量に比例してたくさんのチーズを食べる習慣は、ただ単に文化的、味覚的、あるいは相性がいいからというだけではありません。長い間に培われた食生活の体験から身につけた「アルコールの害から肝臓を守る」という彼らの生活の知恵と見ることができるでしょう。




『赤ワインとチーズが老化を止める』


加藤  |MAIL