加藤のメモ的日記
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2011年09月15日(木) 国民より財務省が第一

野田総理は『財務省からの内部昇格』と揶揄されていますが、内閣人事を見ても財務省の意向を相当汲み取っているのではないかと思いました。政権交代直後は官僚もひっそりと身を沈めていましたが、野田政権の誕生によって、特に財務省は大手を振って全面に出てくるようになるでしょう。

勝英二郎とは「10年に1人の逸材」といわれるほどの人物。「2期以上勤めれb歴史に名を残す」といわれる時間の、まさに現在2期目を務めているところで、3期目も確実視されているほどだ。その切れ者が狙うのが、財務省の悲願でもある財政再建・増税路線で、この勝氏こそが、野田内閣のキーパーソンなのである。

……こうした内閣人事を筆頭に、野田総理は完全に藤井氏と勝氏の意のままに動いている。それは次のエピソードからも明らかだ。「代表選前にも、野田さんは藤井さんにアドバイスを求めているんですが、その時藤井さんは『ズバリ、大平内区を目指せ』と助言したそうです。大平内閣は財政再建と一般消費税を目指した。野田政権もそれを目指せということです。

このアドバイスうを受けて、野田さんは早速故・大平元首相の娘婿の、元運輸大臣の森田氏を訪ね、大平内閣に関する資料をごっそり持って帰ったのです。さらに野田総理は、月刊誌『Voice』10月号に「わが政治哲学」という政策論文を寄稿。「これ以上の借金を将来の世代に残さない」と「増税」の必要性をこれでもかと説いているが、ここで展開されている政策論は、なんと財務省官僚によるものだというのだ。

「書いたのは財務省の3人の課長クラスで、監修者が藤井裕久氏です。財務省のメッセージに、野田さんの浪花節をまじえて作り上げたものです」(財務省OB)官僚の作文を、自分の名義で発表するとは、まるで自民党時代の大臣とソックリ。野田総理はあえて時代に逆行しようとしているのか、官僚優遇のための新ポジション創設まで企てているというから驚きだ。

「民主党政権誕生以降、官僚の天下り先のない窓際官僚の受け皿となる『高位スタッフ職』というポジションを設けようと画策しています。代表選のときに作成した野田さんの『政権構想』の中にも、この高位スタッフ職の創設がさりげなく盛り込まれているのです」(政治部デスク)野田総理の官僚優遇はこれだけに留まらない。事業仕分けで凍結されていた埼玉県朝霞市の13階建て国家公務員宿舎建設工事が、先日再開されたのだが、この再開を承認したのは、財務大臣時代の野田総理。あんなに熱心に事業仕分けに取り組んでいた張本人が、官僚のための豪華宿舎建設にゴーサインを出したのだ。

「そもそも宿舎はすでに余っている状態なので、新たに建設する必要はない。国家公務員の感謝の管轄は財務省が行っており、官舎を減らすと財務省の権限がなくなるので、工事の凍結に財務省は大反対でした。野田さんがこの建設工事再開にゴーサインを出したのなら、まさに財務官僚の言いなり、と見られても仕方ありません」

野田総理は、どうやら「官僚天国」を作り上げようとしているようだ。元経産相官僚の原英史氏は「野田内閣の閣僚人事は党内政治をにらんだ派閥均衡の『適材適所』であって、能力による『適材適所』ではない。これでは『大臣はお飾りで、実際の仕事は官僚任せ』という古い自民党政権への回帰そのものです。それがわかっているからこそ、霞が関はこぞって野田内閣に強い期待感をあらわにしているのです」野田総理は前述した『Voice』誌で、『この日本に生まれて良かった』と思える国をいかにつくるか」、それが自分の使命であるとの決意表明をしている。しかし、彼が作ろうとしているのは、どうやら「役人になってよかった」と思える国のようである。


『週刊現代』


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