加藤のメモ的日記
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| 2011年07月20日(水) |
今年の自殺者は4万人超 |
自殺者急増の原因をめぐって議論が巻き起こっている。ことの発端は、7月4日、内閣府の自殺対策会議における、清水内閣府参与らの次の報告だった。〈今年5月の自殺者の急増は、女性タレント自殺の影響―〉女性タレントとは5月12日に亡くなった上原美優さんのことだ。今年の自殺者は1日平均82人(2010年の自殺者は3万1500人)だが、上原さんの自殺翌日から1週間は1日平均124人が自殺した。
増加分の半数以上を20〜30代以上が占め、都市部の女性の伸び率が高かったという。清水氏は、「上原さんをめぐるセンセーショナルな自殺報道が、生きることに留まっていた若年女性たちの背中を押してしまった」とツィッター上でコメントしている。
一方自殺者急増については別の意見もある。24時間体制で自殺企図者からの相談電話を受けるNPO法人自殺防止ネットワーク風代表の笹原氏はいう。「有名タレントの死が自殺の引き金になるのは一時的。それより、もっと大きな世の流れが背後にあると思う。それは震災の影響です。震災直後、自殺者数は目に見えて減少しました。911のアメリカでもそうでしたが、大災害の現実は自らの境遇を忘れさせ、自殺企画者にブレーキをかける。
だから震災報道が続く間は減少傾向にありましたが、報道が”復興”に転じた5月以降、うちへの相談電話が急激に増えた。被害者の方たちの状況に同情しても、彼らに救いの手が差し伸べられる様子を見て自分自身の孤立を余計に意識したんでしょう。震災後の社会不安と相まって、その不安感はより深刻になっています。
特に同NPOでは日が暮れはじめる夕方以降になると相談電話が絶えないという。臨床心理士の八幡氏が解説してくれた。「暗闇は不安をかき立てる。節電により過度に暗い街の雰囲気は自殺を考える人に孤立感を覚えさせ心理的によくない。政府は復興支援や節電と同時にそうした方々の孤立感をいかに和らげるかを考えるべきです」
大震災は。家屋の倒壊や尊き命を奪っただけでなく、人々の内奥にまで影を落とした。前出・笹原氏はこう警笛を鳴らす。「このままでは、今年の自殺者は4万人を超す可能性すらあるでしょう」‘98年3月以前は自殺者数は年平均2万人だったが、それ以降は12年連続毎年3万人超が続いている。国を挙げたメンタルケアが急務だ。
『週刊ポスト』
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