加藤のメモ的日記
DiaryINDEX|past|will
| 2011年06月01日(水) |
君が代起立命令は合憲 |
最高裁が初判断「特定思想強制せず」
卒業式の君が代斉唱時の不起立を理由に、東京都教委が定年後の再雇用を拒否したのは「思想や良心の自由」を保障した憲法に違反するなどとして、元都立高校教諭の申谷雄二さん(64)が都に賠償を求めた訴訟の判決で、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は30日、「校長の教職員に対する起立斉唱命令は合憲」とする初判断を示した。その上で、申谷さんの上告を棄却。申谷さんの敗訴とした2審判決(09年10月)が確定した。
元教諭の敗訴確定 公立校での君が代斉唱をめぐっては、最高裁が17年2月、都内の小学校長が音楽教諭にピアノ伴奏を命じた行為を合憲と判断したが、教職員全体が対象となる起立斉唱命令について憲法判断したのは初めてである。
裁判官4人全員一致の判断。小法廷はまず「起立斉唱は卒業式などの式典での慣例上の儀礼的な性質を有し、個人の歴史観や世界観を否定するものではなく特定の思想を強制するものでもない」と指摘した。ただし、起立斉唱行為を教員の日常業務に含まれないとした上で「国家への敬愛表明を含む行為で思想と良心の自由に間接的制約となる面がある」と位置付け、間接的制約が認められるかどうかは「命令の目的や内容、制約の態様を総合的に考慮し、必要性と合理性があるかどうかで判断すべきだ」との判断基準を示した。
その上で申谷さんのケースを検討。教育上重要な儀式的行事では円滑な進行が必要である△法令が国歌を「君が代」と定める△「全体の奉仕者」たる地方公務員は職務命令に従うべき地位にある。ことを挙げ「間接的制約が許される必要性や合理性がある」と結論付けた。
申谷さんは04年3月、当時勤めていた都立高校の卒業式で。校長命令に反し君が代斉唱時に起立せず、戒告処分になった。07年3月の退職を前に非常勤職員としての再雇用を都教委に申し込んだが、不合格となった。
………
君が代斉唱時の起立命令を合憲とした最高裁の判決を受け、敗訴が確定した原告の元教諭、申谷さんは判決後の会見で厳しく批判した。65歳の再雇用期限まで残り1年弱。「もう一度子供たちの役に立ちたい」と願い続けた教師の思いは断たれることになった。
上告を棄却する」。最高裁第2小法廷に須藤裁判長の声が響くと、傍聴席をうずめた支持者らは静まり返った。裁判員4人が退廷するまでだれも立ち上がらず、「国民主権が泣くよ」とつぶやく声も聞かれた。申谷さんは東京都立南葛飾高校の教諭だった04年3月、死卒業式で起立せず「教育公務員としての職の信用を傷つけた」として戒告処分を受けた。
同4月から赴任した別の高校では「生徒を巻き込みたくない」と君が代斉唱を伴う6回の行事すべてで起立したが、07年3月の定年後の再雇用を拒否された。30年余の教員生活で、懲戒処分はこの戒告のみ。1度の処分を理由に希望した再雇用を拒まれ、07年12月の提訴から約3年半を法廷闘争に費やした。
「予想以上に裁判が長引いた。権力者がいつも得をする」。申谷さんは、再雇用期限が迫ってもなかなか司法の結論が出なかったことへの不満も口にした。申谷さんは、大阪府議会に教職員が起立して君が代を斉唱することを義務付ける条例案が提出されていることにも触れ、「良い教育のために教師は日々努力をしており、政治家の圧力で強制的にやり方を曲げられると無力感が生まれる」と訴えた。
『毎日新聞』5/31
国旗や国歌に対しては本来、自然発生的に敬意や愛着が生まれるのが望ましく、法令によって強制するのはおかしなことではある。しかし、教育現場で日の丸・君が代について教えることに反する教員がいるのであれば、条例によって規律や斉唱を義務化することともやむを得ないだろう。 桜井よしこ
|