加藤のメモ的日記
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| 2009年03月15日(日) |
映画 ポチの告白(2) |
○週刊プレイボーイ ☆映画監督 高橋玄 ◇ジャーナリスト 寺澤有 ◎作家 宮崎 学
◇覚せい剤の横流し疑惑については僕も経験があります。九州のある警察本部が大量の覚せい剤密売事件を摘発したことがあります。新聞にもデカデカと載りましたが、僕のところにその密輸の当事者と名乗る人間から電話がかかってきたんです。「新聞に載った覚せい剤の押収量と俺が実際密輸した量が違う。押収した覚せい剤の一部を警察が途中で”抜いているはずだ」と。電話の内容の真偽のほどはわかりませんが、警視庁の薬物担当の警察官からも「実際に抜いている」という話を聞いたことがあります。それを横流しして自分たちの”小遣い”にするほか、残しておいて次の事件に使うこともあるそうです。家宅捜査してもブツがでなかった場合、以前に押収した覚せい剤を使って事件をデッチ上げるんです。一回で二つの事件を検挙できますから、一粒で二度おいしい(笑)
◎まさにグリコだな(笑)。実際、僕の知り合いのヤクザが覚せい剤事件をでっち上げられたことがある。そのヤクザが財布を落として交番に届け出て、それを拾ってくれた人間が現れた。で、財布を拾ったその人は数日後に所轄所から呼び出しを受けて「財布にはこれが入っていましたね」と覚せい剤を見せられた。その人は「そんなものは入っていませんでした」と否定したんですが、結局、そのヤクザは覚せい剤取締法違反でパクられ、最高裁まで争ったけど、有罪になった。でも、そもそも財布に覚せい剤が入っているかどうかヤクザ本人が一番よく知っているわけで、そんな財布を落として交番に届け出るアホはいないよね。押収した覚せい剤の一部はこんな使われ方をしている可能性もあるわけですよ。
…有名人宅を勝手に訪問しても、許されると勘違いする交番警察官…
☆警察官の職務質問の問題がありますよ。本来、法律では誰に対しても職質できるわけではなく、犯罪に関係しているなどと疑われる”合理的な”理由がないとできない規定になっています。でも実際にそれを守っている警察官なんてほとんどいないのではないか。
◎被疑者の取調べでも同じですね。法律を守っているとはとても思えない例がいくつもある。ある警察本部では。留置場に入れられているヤクザを「運動に行こう」という理由で署内の道場に連れ出す。そこでバンバン投げてね。留置場に帰るとき、そいつは両脇を抱えられないと歩けないありさまだったという。そういうことが連日続くと、いくらヤクザでも警察の都合のいい供述をしてしまいますよ。 取調べでボコボコにされることは日常茶飯事で、ヤクザの世界ではその警察本部にパクられることだけは避けたいといわれている。パクられたのが警視庁だったら「そりゃよかった。警視庁は天国だもんな」といわれているぐらいですからね(苦笑)そもそも、警察に逮捕されると48時間は留置されることになるから、この間に警察はいろいろとできてしまうわけですよ
○日本の警察組織はなぜこんなに腐敗してしまったんでしょうか?
◎そもそも、日本の警察なんて裏金や天下りのことしか考えていない。国民の安全、安心のために働いているなんてことはなくて、自分たちの安全、安心のためにだけ働いているわけ。しかも寺澤君や僕なんかを除くと、警察問題を扱うメディアやジャーナリストはほとんどいなかった、警察の記者クラブの人間も本当は知っているのに書かない。例えば、警視庁トップまで登りつめ、現在、政府の要職に就いている人物がそこまで出世したのは、愛知県警本部長時代に裏金問題を見事にもみ消した”功績”が一因とされている。本来、メディアはそういうことを書いて国民に知らせないといけないのに書かないでしょ?そういうメディアの状況が一つあるんだと思います。
☆日本の警察は戦前の憲兵みたいな精神構造をずっと継承してきたんだと思いますね。絶対的な権力を持ち、一切の批判を許さない。一方国民の側にも警察に逆らってはいけないんだと言う意識が条件反射的に植えつけられている。それともうひとつ、僕は警察の問題を考えるときは、裁判官や検察官まで含めた司法の問題として考えるべきだと思っているんです。実はこの映画もそこが大きなテーマなんです。裁判長が警察に脅されて警察に有利なように裁判を進めて、真相が表に出ないようにする。庶民感情とすれば信じたくないかもしれないけど、そうとしか思えない現実があるんです。
◎それに、裁判所が警察犯罪に対して甘すぎるよね。99年、神奈川県警で一連の不祥事事件が発覚したとき、警察官の覚せい剤使用事件を隠匿したとして、元本部長や幹部警察官が証拠隠滅などの罪で有罪になりましたが、いずれも執行猶予がついた。一般国民であればこの容疑で執行猶予がつくこと事態、ありえない。つまり、警察官の犯罪に対する量刑は”5割安”そして、ヤクザの犯罪に対しては逆に”5割り増し”(苦笑)これがこの国の司法の実態なんだと思いますね。
○その実態はぜひ映画を見て、ということで、現場でマジメに頑張っている多数の警察官にも怒りを共有してほしいですね。
週刊プレイボーイ 2月20号
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