加藤のメモ的日記
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2009年02月06日(金) 日本の深海探査船・ノチール号

ノチール号はチタンの合金である。チタンは一番丈夫な金属である。船の壁の厚さは4センチメートルで、圧力に最も強い球形につくってあるので、6000メートルの深海の水圧でもつぶれることはない。6000メートルの海底では、6000メートルの海水の柱を背負っているのと同じ水圧を受ける。

水の密度は1立方センチメートルあたり1グラムだから、6000メートルの海水の柱は1平方センチメートルあたり6キログラム。ノチール号の上に、機関車を6台積み重ねたほどのすごい水圧である。

ノチール号は、こんなすごい圧力にも耐えられるように設計されている。試験運転で、人を乗せず巨大な実験用の水圧機の中に入れ、8000メートル以上の深さと同じ水圧をかけてみた。しかしチタンの球はびくともしなかった。

深度3000メートル。しかし、球の中はのどかなものである。内部の圧力は地上とほとんど同じに保たれている。乗務員がはき出した二酸化炭素はすべて薬品に吸収され、球内はいつも清潔である。酸素は少しずつ、備え付けのボンベから補給される。

操縦士も、副操縦士もフランス人。この潜航計画のため日本にやってきたのである。もう何回も潜水船に乗って深海に下りているので余裕タップリである。潜航を始めてから一時間半たった。副操縦士が下向きソナーのスイッチを入れる。海底まであとどのくらいあるか、超音波の反射を利用して測るのである。

海水は光はほとんど通じないが、音をよく伝える。特に超音波は遠くまでよく伝わる。遠くが見えない海水中では、この超音波がいろいろな目的に使われる。船の底から下向きに超音波を発射し、それが海底にぶつかってはね返り、船に戻ってくるまでの時間を測り、海底との距離がわかるのである。


加藤  |MAIL