加藤のメモ的日記
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| 2009年02月01日(日) |
ニュートリノ 星をつくるもの 暗黒星雲 |
1987年のこと、大マゼラン星雲に超新星が爆発した。大マゼラン星雲は我々の銀河系のお供とも言える銀河で、20万光年先の小マゼラン星雲同様、銀河系のすぐ近くにある小型の銀河である。大マゼラン星雲までの距離はおよそ16万光年。したがってこの星が超新星爆発をしたのは、16万年前のことになる。隣の銀河で起こったこととはいえ、この現象は天文学者たちが待ちに待った大ニュースだった。
なぜなら超新星の理論が正しいものなのかどうかを確かめるチャンスだからである。大マゼラン星雲を観測可能な南半球の天文台のすべての望遠鏡があらゆる観測手段を用いて、全力でこの超新星を観測した。そこ結果は大まかには理論家たちの予想通りだった。
実はこの時、世界的に注目された観測結果が大マゼラン星雲の見えない日本から発表された。超新星爆発によるニュートリノの検出である。岐阜県の神岡鉱山の地下1.000メートルに作られた巨大な水タンク、これがニュートリノ検出器「カミオカンデ」である。ニュートリノはその姿が詳しくわかっていない謎の粒子なのだが、核融合反応で作られることがわかっていた。そこで、超新星爆発で大量のニュートリノが放出されることが、理論的に予測されていた。
事実、ニュートリノは予測どおり放出された、地球の裏側から進入した大量のニュートリノのうちの11個が地球を貫く直前にカミオカンデの水の分子にぶつかって一瞬わずかな光を放った。超新星からのニュートリノの検出は史上初である。しかも理論家の予測どおりの結果だった。
ニュートリノは質量があるかのかないのかもわかっていないほど、まだ謎のモノである。星の内部で起こっている現象を解き明かす手がかりとして現在、多くの科学者がニュートリノの振る舞いに注目している。
…………
物質は細かく分解していくと元素に分けられる。元素は一つだけ単独では原子と呼ばれ、原子は陽子、中性子、電子から出来ている。陽子は電気的にプラスの性質、電子はマイナスの性質を持っている。
陽子と中性子は原子核をつくり、そのまわりを電子が飛び回っている。陽子が一つだけならその元素は水素と呼ばれ、陽子が2つだとヘリウムと呼ばれる。自然界で最も重い元素ウランの原子核の中には陽子が92個含まれている。
宇宙空間にある元素は、圧倒的に水素が多い。水素や酸素などの気体や液体の多くは原子が2つ以上くっついた分子と呼ばれる形で存在している。例えば酸素分子は酸素原子が2個くっついたもので、酸素原子だけが単独で一つだけで存在することはない。水も水素原子二つと酸素原子一つがくっついた分子という形をしている。
……… 1931年、ジャンスキーは初めて宇宙から来る電波をとらえることに成功した。電波は見えない電磁波だが波長が長いので、光と違い暗黒星雲の中のガスやチリにぶつからないで、地球まで届く。電波望遠鏡なら暗黒星雲の中を覗くことができる。
電波で暗黒星雲を見てみると、ところどころに特にガスの密度の濃い部分が見られる。そこには水素分子などが集まった場所で分子雲とも呼ばれている。この分子雲をさらに詳しく見ると、どんどんガスが集まってできる丸い塊がいくつも見られる。ここから星が誕生しているのではないかといわれている。
『宇宙の歴史』山縣明産
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