++るうの独り言++
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2002年06月20日(木) しーっ、内緒ね。

「蓮見さん、お茶がはいったから飲んでって!」
「あら、◎◎さん、ヘルパーはそういったものをいただかない規則になってるんですよー、私なんぞに気をつかっちゃいけません。のんびりしててくださいな」
「いいのいいの、せっかく入れたんだから飲んで!」
「お茶などいただいたらわたし主任に怒られちゃいますものー」
「なーにいってんのよぉ、そんなこと誰にも言いやしないって、黙ってるから大丈夫!」
「でも〜」
「いいのいいの、内緒! ねね、私も飲みたいんだから一緒にちょっとゆっくりしましょ。」

くれぐれも誤解のないように念を押しておくが
ヘルパーに対しお茶やお菓子やそういったものの接待は一切無用である。
お茶を出そうが出すまいがヘルパーの仕事ぶりは変わらない。
そういった気遣いは絶対しなくていいのだ。というかむしろしてはいけない、とまでいっていい。
そういう心配は一切しないようにと利用し始めのときに言われるはず。

断固として力をいれて言う。「ヘルパーはほっといてください。」(^^ゞ

それだもんで、別の利用者さんが出そうとしたお茶は頑として断る。

この◎◎さんのお茶は、ちゃっかりありがたくいただいている。
「内緒ね!」と二人で悪戯っぽい顔をしながら、しばらくお茶を飲んで話をする。

◎◎さんは、私が掃除をしていると、そのあとからついてくる(笑)という人なのだ。
つまり、掃除や家事もしてほしいのだけど、それはほんとうにそう思うのだけど
同時に、話もしたいのだ。1週間に1回、ヘルパーがほとんど唯一の外界との窓口なのだ。◎◎さんにとってお茶は話をするための一手段なのだ。

だから私は◎◎さんのお茶は、うれしく美味しくいただいてしまう。
んで、話込む。
「あらいやだー!! 時間が過ぎちゃったわよ。どーしましょう。いつも私しゃべってばっかりでごめんなさいねー」
「大丈夫ですよー。わたしこれから午後の仕事ありませんし。でも時間過ぎてもここでのんびり◎◎さんとおしゃべりしてたのは内緒にしてくださいね。」
「うふふ。内緒ね?」
「内緒、内緒♪」

内緒のお茶と内緒の時間延長。
たぶん、九分九厘、◎◎さんにとってこの「話」こそがほんとうの「介護」時間なのだと私は思う。
で、ここでも力説しておくが、もしお茶がなくても、わたしは◎◎さんとおしゃべりをする。私だけでなくきっと他のヘルパーさんもそうする。それは保証する。

学校で習った心理学、カウンセラーの講義、共感、受容、、、頭の中でそんな言葉をぐるぐるさせながら、表情豊かに会話を楽しむ。
『くそー、もちっと専門的にやっときゃよかったな』と後悔もしつつ。
楽しくかつ気を使う時間。
相手は人生の人間の大経験者、大先輩。この若造のいい加減な対応ややる気のなさは即見抜く。
自分の中のこの張りつめた緊張感が好き。
そして、◎◎さんをはじめとする利用者さんの笑顔が好き。


おっと、ここを読んだみなさま、
このことはるうとみなさまとの内緒にしててね? うふふ。




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