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2004年12月26日(日)
「ウエンカムイの爪」 熊谷達也

「ウエンカムイの爪」集英社文庫 熊谷達也
同じくまの名前を持つ私ではあるが、くまの生態はよく知らなかった。寝た振りや、無視が効くのだというように思っていた。いったん人間を襲うと決めた熊にはそういうものは効かない。とくにヒグマは今本州に出没しているツキノワグマとは全然違い、危険である。そういう未知の世界の実態を教えてくれる教養小説の一面と、それでも熊に魅せられていく主人公たちの心の奥を探る小説である。「アイヌ神謡集」を読んだばかりの私には、いい熊のキムンカムイ、悪い熊のウエンカムイの違いがよく分かる。しかしどちらも神なのだ。ゆめゆめ容易には近づけない。導入の緊張と中盤のたるみ、そして後半部の盛り上がりで、一気に読ませてもらった。処女長編とは思えない上手さではある。題材が面白いだけに、気になる直木賞作家が出てきた。