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2004年12月18日(土)
「レディ・ジョーカー上」 高村薫

「レディ・ジョーカー上」毎日新聞社 高村薫
上巻を読み終えた。下巻はまだひもといていない。買ってもいない。その上での感想である事に留意していただきたい。ーこの本を買って半年、積んどく状態だった。1章の半分まで読み終えるのに半年かかった。しかしながら、そのあと上巻の全部を読み終えるまで三日かからなかった。要はこの小説、すぐにトップスピードに乗る乗用車ではなく、動き始めるまでは遅いが、いざ動き出すと猛スピードで走ることの出来、だれも止める事の出来ない、重戦車であった、ということなのだろう。

巨大企業の恐喝事件。とはいってもグリコ森永事件とは似て非なるものである。と思う。「レディ・ジョーカー」たちと、日の出ビール役員たちと、総会屋たちと、新聞記者たちと、警察組織との五つ巴の闘いが始まる。

物井は考える。「高のいうとおり、金は確かに回して儲けるものだろうが、財をなした人々が回しているその金は、元はといえばどこから来たか。」キューポラ工人だった自分から、あるいは姉や兄から絞り盗っていったものではないかと考えが至ったとき、温厚な爺さんだった物井は突然「悪鬼」となる。

大企業の社長、城山恭介は恐喝を受けたとき最初「20億ぐらいの裏金は何ということもない会社のために自分は死ねるだろうか」と自問自答してみる。「会社はそのために恩を感じるだろうか。」城山の答は速やかに決まる。

この小説の隠れた主人公は「金」なのかもしれない。みんながそれを巡って「悪鬼」となっていく。ひとり、合田雄一郎だけが前作とは違い、何かふっきれたみたいに爽やかに立っている。とりあえず今はそういう物語の様に思える。