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2004年01月17日(土)
「韓国からの通信」 岩波新書  T・K生、「世界」編集部編

「韓国からの通信」 岩波新書  T・K生、「世界」編集部編
この本の著者「T・K生」が当時東大研修生の池明観氏であったことが最近明らかになった。池氏は在日協力者が韓国に行き原稿・資料を収集、それをもとに原稿を書いていった。筆跡も残さないように苦労してこの通信を続けたという。池氏によるとこの通信の正確さは80%ほどであったという。(03.07.26日付け朝日新聞より)
この通信は現代において独裁政治を敷くことになればどういうことが起こり、国民はどのように反応するか、事実が持つ迫力でもって雄弁の告発している。戒厳令、金大中事件、拷問、相次ぐ死刑判決、ゲリラ的デモ、ゲリラ的新聞社説、報道統制、政治腐敗、国民総スパイ化等々、この本を読めば当時の韓国政権は明らかに末期的症状を示していたことが分かるだろう。そして韓国民衆の(焼身抗議自殺に代表される)血の闘いがあったことも。しかし、歴史はこの朴大統領という男を79年まで生きながらえさせることになる。
この書は72年11月より74年6月までの記録である。一種の証言集であるからいきなりこの書にとりかかると、この新書が発行されたばかりの年に背伸びをして読んでいた私のように「なにがなんやら分からん書物」になる可能性が高い。先ずは韓国の軍事政権の生い立ちとそれに対抗する韓国民衆の闘いの歴史を予習しておいたほうが分かりやすいだろうと思う。よって私は本作を読む前に「韓国民主化への道」(岩波新書池明観著)を読んだ。皆さんにもそれを勧めたい。