日々あんだら
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2007年04月30日(月) 小豆島展一昨日終了しました。




小豆島で生まれ育ち、大人になって外に出た人は誰でもそうだと思うんだけど、
僕も住んでいた時にはそれほど好きな場所じゃなかった。
なんにもないし。退屈だし。遊びに行くには僕の大嫌いな船に乗らないといけないし。
(昔は乗り物酔いがひどかったんです…)

でも20歳になる年の春に大学進学のために初めて島の外で暮らし始めて、初めてその良さがわかった。
大阪は島みたいに空が青くなかったし、風に海の匂いも混じってなかったし、
水は飲めなかったし、緑も少なかった。
一番驚いたのは星の数が数えられたこと。ありえん、と思った。
もちろん大阪には島にないものがたくさん溢れてたけれど、
その代わり島に溢れていたものはあんまりなかった。

それ以来、帰省するごとに島の中をウロウロするようになった。
車の免許を取ってからはオカンの車を独占して島中をグルグル走り回り、
そうして自分がいかに島のことを知らなかったのかに気づいた。
知らない場所、知らない景色がいくらでもあった。
島に帰るたびに島のことが好きになって行く自分を感じていた。

とは言うものの、大学を卒業しても島には帰らず、就職して東京や大阪で働く日々。
環境に対する順応性は結構あるみたいで、あんな田舎で生まれ育った割に、
ヒトとモノに溢れた都会でも特に違和感なく暮らせている自分がいた。
でも帰るたびに島から人が少なくなって行き、だんだん寂れて行くのがわかるのが辛かった。
観光客だって僕が小さかった頃に比べると明らかに少なくなって行っている。
自分が島を離れて暮らしていることを棚に上げているのはわかってるんだけど、
なんでみんな島を出て行くんだろう?と思った。
こんなにいい場所なのになぁ。。。

だから東京で写真と出会い、自分のHPを開設すると、小豆島の写真をたびたびアップした。
少しでもいろんな人に小豆島のことを知って欲しかったから。
もし1人でも僕の写真を見て小豆島に行ってみたいと思ってくれる人がいたら最高だなぁ、と。
(僕もWEB上で見た写真が気になって、佐渡島まで行ったことがあるからね。笑)



そんなある日、大阪に移っていた僕は行きつけのR cafeで仕事帰りに1人お茶を飲んでいた。
確か去年の9月くらい。
1人でRに行く時はいつもカウンター席で、店長のユミさんや店員のうーさんとしゃべりながらのんびりする。
そのユミさんはその界隈では有名な小豆島好きで、初めて行った時になにか感じてくれたらしく、
その後1年間で3〜4回は訪れてくれたという剛の者。
大阪に住んでいる大抵の島出身者より、島に帰ってる回数は間違いなく多い。(笑)
(ちなみに僕は去年1年間で11回帰りましたが。^^v)

そんなユミさんと喋っていて、多分小豆島の話はしてなかったんだと思うんだけど、
急に頭に浮かんだことがあった。
そして、浮かんだ次の瞬間には、何も考えずにそのことを口にしていた。



「ユミさん、小豆島好きを集めて、Rで小豆島の写真展しません?」



それに対するユミさんの反応も早かった。

「いいですね!やりましょう!!」


僕の頭にふっと浮かんでから、開催が決定するまで5秒。(笑)
5分後には次の4月に開催することまで2人で決めてしまっていた。
こうして『小豆島展(仮)プロジェクト』は動き出した。


もちろん何のあてもなく動き始めたわけじゃない。
大阪に来てから写真展でばったり知り合った96さん、ようこさんという島出身の写真仲間がいたし、
R cafe常連の三好さんも島出身で写真をやっているのは知っていた。
それに小豆島菌に感染したユミさんが周りの人たちにそれを伝染しまくっていて、
その中には発症して島まで行った人も何人かいた。
2人でそういう人たちに声をかけて回って、メンバーは結構早い段階で揃ってきた。


仮に僕の撮った小豆島の写真だけでRの壁を埋め尽くせ、と言われれば
それができるくらいの質と量はある。
でも最初から個展にしたいとは思っていなかった。
それまでにいろんなグループ展に参加させてもらってて、
同じテーマでも人によって全然違う写真になることを知っていたから。
自分の写真を発表したい、という目的ならもちろん個展という形が一番いいと思うけど、
でも今回の目的は「少しでもたくさんの人に小豆島の良さを知ってもらうこと」。
だったら僕一人の視点より、いろんな人の視点で、いろんな小豆島を見てもらった方がいいに決まっている。
だから初めからグループ展という形しか考えていなかった。
(あとから「その労力があったら個展でもできたのに」って何人かの人に言われたけど。笑)


実際、メンバーが決まって動き始めると、写真の面だけでなく、いろんな点でみんなに助けられた。
例えば、壁に小豆島のでっかい地図を貼ってみんなのオススメスポットを書き込んだり、
各自の撮影場所をシールで示そうというアイディア。
小豆島のパンフレットや地酒なんかも置いておこうというアイディア。
そういうのは僕の頭だけでは出て来なかった。
DMやHPや展示のパンフは96さんが一手に引き受けて全部やってくれたし、
この小豆島展の特徴を見事に捉えたコピーをつけてくれたのはようこさんだったし、
壁に貼る地図や地酒やしょうゆを息を切らせながら持って来てくれたのは三好さんだったし、
小豆島からパンフをいっぱい送って来てくれたのはU子さんだった。
完成したDMも、僕は東京に引っ越してしまっていたので、みんなが手分けして配ってくれた。
ホント僕がやったのは打ち合わせの日時の連絡と、集金だけ。
幹事というより「雑用指示係」でした。m(_ _)m


そして開催前日の搬入日。
閉店後のRでみんなで搬入した。遠くに住んでいるU子さんは残念だったが、
それ以外のメンバーは全員参加。
メンバー以外にもRの常連さんが何人か手伝ってくれた。
お互いの展示方法についてアドバイスし合い、自分の搬入が早く終わった人は他の人のを手伝う。
その様子を見たユミさんが笑いながら「学園祭の前日みたいですね」って言ってたんだけど、
正にそんな感じだった。
大人の学園祭。(笑)
(そんな中、一番いろんな人の手を借りて、一番遅くまで準備にかかっていたのはこの僕です。ホンマすんません。。)



そうして、小豆島展の展示が完成した。



実は、メンバー10人の中には、どんな写真を撮るのか全く見たことがない人もいた。
写真展(個展であれグループ展であれ)に出したことがある人も半分くらいだっただろう。
中にはカメラを手にして数ヶ月って人もいた。
正直に言おう。
だから僕は、とても楽しみにしながらも、ほんの少しだけ不安だったのだ。

ところが、搬入が終わったみんなの作品を見て、そんな不安は吹っ飛んだ。
そして恥ずかしくなった。
なにを偉そうに上から物を見ててん!!と。
僕が「こういう風になったら最高だなぁ」と想像していた、そのはるか上を行く展示になっていたのだ。


前にも書いたけど、本当に10人が10人とも全く違う写真だった。
でもどの写真もきちんと『小豆島』だった。
僕の視点と彼の視点と彼女の視点は全然違ってたんだけど、
でも誰の写真を見てもそこには僕の知ってる『小豆島』が写っていた。
そして、どの写真からも、それぞれの小豆島に対する愛情とか愛着とかが伝わって来た。
「なにかが好き」という共通点だけで、こんなにも連帯感が生まれるものなんだと知った。
やっぱり一番面白かったのは、出身者の写真と旅行者の写真では明確に違うこと。
多分見てくれた人に「どれが出身者でどれが旅行者の写真かわかりますか?」というアンケートを取ったら、
正答率は8割はあったんじゃないだろうか。(笑)

ホントにパワフルで楽しい展示だった。
多分、誰かの企画に乗っかっただけのグループ展ではなく、全員でアイディアを出し合って全員で作ったグループ展だったからこそのパワーじゃないかな。
要は幹事が頼りなかったのが勝因だということですね。(笑)


今回の写真展で一番驚いたのは、誰の知り合いでもない人たちがたくさん見に来てくれたこと。
今まで参加したグループ展(個展も)なんかは、誰かの知り合いが見に来てくれることが多かった。
でも今回は、「DMを見つけて来た」「mixiやネットの告知を見て来た」、
そして「友達から聞いて来た」という声がものすごく多かった。
そう、小豆島出身の人たちがRに大挙押しかけて来たのだ。(笑)
いやホント、大阪にどれだけ小豆島出身の人がいるのか、
そして小豆島ネットワークがどれだけすごいのか、実感しましたよ。

写真という手段を通じて、こういう新しい繋がりを作ることが出来て、本当によかったと思う。
大阪の人たちにも、ほんの一握りの人たちだけかもしれないけど、
小豆島の良さを少しだけでもわかってもらえたんじゃないかな。
個人的に忘れられない写真展になりました。^^



…というのが、小豆島展を発案した僕の理由で、僕から見た小豆島展だ。
でも本当はそんなことはどうでもいいと思っている。
僕は僕の思いで行動したけれども、他のメンバーや見に来てくれた人にそれを押し付けるつもりはない。
メンバーの中には自分の写真を人に見せたいとか、思い出作りに参加してる人もいるかもしれない。
それはそれで立派な理由だと思う。
小豆島に対する視点だけでなく、展示に対する考え方もいろいろあっていい。

見に来てくれた人にも、僕は「大阪の人たちに小豆島の良さを少しでも知って欲しい」と思ってたんだけど、
小豆島や香川出身の人たちが見に来てくれて「懐かしい」とか「帰りたくなった」という声もたくさんあった。
正直予想外だったんだけど、それも素晴らしいことだなぁって思う。
極端に言えば、Rにお茶しに来てくれた人がインテリアとして眺めてくれるだけでも十分なのだ。
たとえ「小豆島」ということを全く意識していなくても。

もし、今回の展示を見て実際に小豆島に行ってくれる人が1人でもいたら、大成功です。
行った人がいたらご連絡いただければ小躍りして喜びます。(笑)

企画している最中に自分が転勤になってしまい、どうしようかと思ってたけど、
みんなの協力のおかげで素晴らしい写真展にすることができました。
あんなふとした思いつきを形にすることができるような仲間・環境・趣味に恵まれてホント幸せだと思います。

見に来てくれた人、遠くから応援してくれた人、出展してくれたみんな、そしてR cafeに感謝します。
ありがとう。




今後の目標は東京や高松や小豆島なんかで巡回展をすること。
今回の展示を見て「第2回があったら参加したい」と言ってくださる人も何人かいてくれるし。
次はさらに楽しくてパワフルな展示になればいいなぁ。
(本気で観光協会とか旅館組合に予算取りに行きますよ)






最終目標(野望)はNY開催です!!
(すでにNYバージョンのDMデザインは完成済み。笑)


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