| 2026年01月15日(木) |
ハメこまれた人たち(東洋エンジニアリング) |
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株式相場というのは結果が出てから買ってももう遅い。市場は予測によって反応し、結果が出たときはすでに売られている。かつて2003年に阪神タイガースが優勝したとき、阪神電鉄や阪神百貨店の株価がマジック点灯したときに頂点をつけたことを思い出す。「優勝決定」のタイミングよりもかなり早かったのである。
今、中国からの輸出制限などでレアアース関連銘柄が話題となっているが、その一つに「6330東洋エンジニアリング」という銘柄がある。この企業の事業の一つが資源開発であり、たとえば沖ノ鳥島付近の海洋泥に含まれるレアアースの採掘などは近い将来の話題となるものである。しかし、少なくともそれは現在の話ではない。この東洋エンジニアリングの株価は昨年9月にはまだ1500円台をつけることもあったのである。
それが10月に入ってじわじわと上昇し始めた。10月3日は1473円だった株価は、10月31日には2595円と大きく上昇している。高市早苗が首相になって、資源開発への投資が進むとして高市早苗関連銘柄として注目を浴びたのかも知れない。ただその動きも11月には沈静化し、11月28日の株価は2644円である。11月中はほぼ横ばいの動きだったのである。その一方でこの株価は一過性のものであると判断した個人投資家の多くは空売りして短期の利益を求めるという戦略をとったと考えられる。
空売りで勝とうとした人がいたせいで9月から10月、11月にかけて信用売りの残高が徐々に増えていた。相場が大きく動いたのは年末の12月29日・30日だった。26日金曜日の終値は2716円だった株価は29日は2797円スタートだったが終値は3220円と前日比504円高となり、翌日30日は3500円でスタートして高値3700円までつけたが終値は3080円、出来高も膨らみ、大量の空売りが入った。相場の過熱を冷やすためにこの日、東洋エンジニアリング株は新規空売り禁止という規制が入った。下げて終わったことで相場が終了するものと誰もが思ったのである。まさかそこで中国からの「レアアース輸出規制」という追い風が吹くとは誰が考えただろうか。
年明け1月5日は始値3285円と落ち着いたスタートだった。高値3375円まで上昇したが終値は3310円で、空売りしている投資家達はとりあえずは安堵していた。空売りしてしまった人たちもまだこの段階で買い戻せば逃げ切れたのである。しかし、翌6日から株価は急上昇し始める。終値は3585円、4285円、4520円、4665円と上がり続け、今週に入ってからは13日が5370円、14日6370円、15日が7370円と連日のストップ高となってしまったのである。空売りしていた投資家達はどんどん含み損が増えていく。中には諦めて買い戻して損失を確定しようとする者も出てくるだけで、いわゆる「踏み上げ相場」というものが起きてしまったのである。ストップ高というのは買い注文が圧倒的に多くて売り注文がない状態である。売り注文がないと、空売りしてる人たちは買い戻して損切りすることもできないのである。
この状態になると個人投資家はもう怖くて手を出せない。値上がりを期待して買ったとしても翌日から暴落が待ってるかも知れないし、かといって昨年暮れに空売りしている人たちは損失がどこまで膨らむのかわからないために心が落ち着かない。明日になったらもっと損失が膨らむかもと思ったらとにかく買い戻して手じまいすることとなる。
オレはこのような動きを知るといつも考える。この相場を作ってるのはいったい誰なのかということである。株式投資は相場を動かせるほどの大きな資金があるものが常に勝てるようにできている、オレのような運用資産1億円程度の弱小個人投資家はただただ相場の動きに翻弄されるだけである。「大阪ワクチンは年内完成する」という吉村洋文の風説の流布によって大きく動いたアンジェス株の場合、個人投資家の損失の合計は1000億円を超えただろう。高値で売り抜けたのはいったい誰だったのか。証券取引等監視委員会はこのときに全く動かず、壮大な金融犯罪の全貌は明らかにされなかった。このようなこことがアメリカで起きていたなら関係者が全員逮捕されて、インサイダー取引を行った者は破産するくらいの罰金が科せられるわけだが、日本では基本的にお咎めなしである。こんな巨額の金融犯罪は日本では一度も検挙されたことがない。捕まるのはどうでもいいレベルの少額の投資家だけである。
東洋エンジニアリング株のヤフー掲示板は相場を煽る人たちの書き込みが溢れている。おそらくその書き込みをしている連中のほとんどがアルバイト工作員だろう。中には高値つかみをしてしまった人や、空売りをしてしまって絶体絶命の人もいるのかも知れないが、書き込みのほとんどが無責任な内容である。
悪いやつはちゃんと捕まえてくれよとオレはいつも思っている。日本の株式市場を健全化させる方法はAIの普及ではなく、ルールを厳格にすることである。せっかく新NISAなるもので多くの国民に投資をさせようとしているのに、その一方で圧倒的に弱い立場の個人投資家が守られない現状に対してオレは怒りを覚えるのだ。投資は自己責任である。しかし、強者にとって圧倒的に有利なルールが存在する世界において「自己責任」と言われることにオレは違和感しか感じないのである。
東洋エンジニアリング株を空売りで参加した人たちの多くは損切りを余儀なくされ、遅れて高値掴みして参加した投資家は今後は暴落に見舞われることになる。売っても買っても損をするのがこのような銘柄の末路である。一人の泡沫投資家として株式市場を眺めているだけのオレは、危険なものには手を出さずに堅実に立ち回ることを心がけている。大儲けすることではなく、死なずに生き残ることだけが今のオレの投資スタイルである。
追記:オレがこの記事を書いた翌日、東洋エンジニアリング株はストップ安となった。高値で買った人も、早めに空売りした人もみんな逃げ切れなかったのである。
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