2022年09月20日(火)

オリックスと阪神

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　オレはオリックスという球団に対してこれまで何の感情もなかった。イチローがいるときはそれなりに話題になったが、その後は成績も低迷し、また親会社もいろいろと不祥事があってオレにとって「好きではない会社」の一つだった。もちろん株主でもない。昨年の日本シリーズもあっさりヤクルトに負けている。

　しかし、パリーグの熾烈な優勝争いの中でこの連休の３連戦、オリックスは首位のソフトバンクと３ゲーム差でぶつかったのである。これに勝てないと優勝の見込みはなくなる。そんな乾坤一擲の勝負になんとオリックスは３連勝したのだ。なんという執念、そして強さだろうか。

　第一戦、オリックスはエースの山本由伸を登板させた。山本は期待に応えてソフトバンク打線を抑えて完封勝利し、まずオリックスが１勝した。オリックスにとってここはエースを立てて臨んだ負けられない勝負である。そこで山本由伸が期待通りのピッチングをしたのである。

　第二戦、ソフトバンクの先発はエースの千賀だった。さすがに今度はソフトバンクも負けられない。それに対してオリックスの先発は２１歳の左腕宮城である。しかし宮城は５回を無失点で投げ抜き、そのあとは継投でつないで見事な完封リレーだった。オリックスは千賀から福田のタイムリーと頓宮の犠飛で取った２点を守り抜き接戦をものにした。

　首位攻防戦に連敗したソフトバンクはもう負けるわけにはいかない。東浜を先発させたソフトバンクは効率よく加点し、５−４とリードしてそのまま逃げ切ろうと９回に抑えのモイネロをマウンドに送った。しかし９回裏、オリックスは４球と安打で無死１，２塁のチャンスをつかむ。ここで２番の宗は送りバントを試みるも失敗してしまう。３番の中川も空振り三振、２死になって絶体絶命のところで４番の吉田正尚が起死回生のタイムリーを打って同点に追いついたのである。

　１０回裏にオリックスには再びチャンスが巡ってきた。先頭打者の６番西野がヒットで出塁、７番の太田は手堅くバントで送る作戦に出たがなんとソフトバンクにエラーが出て無死１・３塁となった。ソフトバンクはここで８番の野口を敬遠して満塁策を取り、９番伏見を三振、１番福田を１塁ゴロに打ち取る。無死満塁のチャンスが２死満塁となり、そこで９回にバント失敗した３番の宗に回ってきたのである。宗はカウント０−１から投手の足元をゴロで抜くセンター前ヒットを放ち、オリックスは劇的なサヨナラ勝ちとなったのである。オレは打席の宗の必死の表情を見ていた。そして打った後の全身で喜びを表す場面を見てなぜか涙が出てきたのである。阪神に欲しいのはこんな選手だと正直思ったのである。

　たった１点とればいい場面でどうして大山も佐藤輝明もバットを長く持って振り回して三振するのか。どうしてそんなに簡単に内野ゴロを打ってチャンスを併殺でつぶすのか。オレは阪神の選手のふがいない戦いを見ていつもあきれていた。今季の阪神の選手はどうしてこんなにやる気がないのかと。

　オレはオリックスの選手たちの必死の戦いに強く心を打たれた。今季の阪神はこのまま巨人や広島との順位争いに勝てずに５位に沈むだろう。下手をすると中日にも抜かれるかも知れない。阪神ファンのオレはその運命を受け入れるしかないのだろうか。どうすればもう少しまともなチームになってくれるのだろうかとオレは悲しく思うのだった。