江草 乗の言いたい放題
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2013年10月31日(木) 「時雨殿」終了のお知らせ        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 京都・嵐山に「時雨殿」という百人一首のテーマパークがあった。任天堂の故・山内会長が私財17億円を拠出して完成した施設で、そこでは体験型のアトラクションで百人一首の世界を学ぶことができたのである。オレがここで「できた」というふうに過去形で書いているのは、もはやそのすばらしい施設が全く変わり果ててしまったからである。せっかく自分の夢を実現させたはずの山内会長は、この事実をあの世からどんな気分で眺めているだろうか。

 かつての「時雨殿」は、入館者にはそれぞれニンテンドウDSが手渡され、そのDSを使って百人一首のゲームを楽しめるようになっていたのである。足下にはそれぞれの取り札が並べられたパネルがあり、ゲームに参加するものは詠み上げられた札のパネルの上に立って、手元のDSで「取った」と選択すればその札を獲得したことになり、制限時間内に何枚とれるかというのを競うことができたのだ。また、コンピューターと早取りを対戦することもできるようになっていた。そしてコンピューター相手に勝利すれば「名人」に認定されて認定証を受け取れたのである。このように「参加して遊べる」「百人一首について学べる」体験型のテーマパークだったのだ。任天堂が協力したからこそ実現した稀有の施設であり、日本の伝統文化を守り育てるという意味で京都にふさわしい施設だったのである。

 しかし、今はそのゲームはもうない。完全に撤去されてしまった。体験型のテーマパークだったのは過去の話である。今、「時雨殿」はリニューアル(実は大幅劣化)されてただの展示施設となってしまったのである。

 オレはかつて何人かの友人に「京都に行くなら時雨殿」というふうに勧めたことがあった。しかし今はその言葉を撤回したい。今の時雨殿に行くのは時間とゼニの無駄である。そんなものは本を読んだりネットで知ることができる。館内に新たに並べられた百人の歌人のフィギュアは、美人であるはずの人が妙に不細工だったりイメージをぶちこわすような容姿だったりして何の価値もない。そんなものをわざわざ作っていったい何がしたいのかと思うのである。

 なぜ任天堂はこの「時雨殿」の運営から手を引いてしまったのだろうか。山内会長の遺志を継ぐことができなかったのだろうか。オレには詳しい大人の事情はわからない。いつのまにか「任天堂」と「時雨殿」の縁は切れてしまい、「百人一首を知的ゲームとして楽しもう」という施設の本来の役割は永遠に失われた。かつて存在したすばらしい施設が、どこにでもあるつまらない博物館になってしまったのである。

 京都には観光客に是非訪れて欲しい場所がたくさんある。それらを訪れるときにぜひとも意識して欲しいのは、かつて平安時代にそこで過ごした人たちの思いである。平安時代の人たちは京都の四季の風景をどのように眺め、そこでどんな恋愛をし、どんなことを考えていたのか。それをもっともいきいきと伝えてくれるのは百人一首のような和歌であり、それを理解した上で京都を訪れ、寺社を拝観し、同じ場所に立って景色を眺めることがぜひとも必要だとオレは思うのである。これは京都を愛するオッサンのひとりよがりな感情かも知れない。しかし、百人一首に込められたすばらしさを、多くの人たちに、特にこれからの日本を支える若者たちに啓蒙する施設として、かつての「時雨殿」は実にすばらしい場所だったのである。それを失ってしまったことがオレは悔しいのだ。

 「時雨殿」の運営団体の理事には京都を代表する大企業のお偉方の名前が並んでいる。あんたたちはこのリニューアルに賛成だったのか。こんなつまらない施設にしたいと思っていたのか。オムロンの立石会長はここに一度でも来て遊んだことがあったのか。なんでこんなみじめな結果になることを選んだんだ。どうしてリニューアル(大幅劣化)に全力で反対しなかったのか。何もできないのならいますぐ全員理事の職を辞してくれ。おまえらみんなただの飾りじゃないか。

 嵐山にあった美空ひばり記念館はいつのまにか閉館して廃墟になっていた。「時雨殿」は果たしてそんなふうにすぐに飽きられるようなレベルのモノだったのか。オレはそうは思わない。「百人一首」というのは少なくとも何百年という伝統の中で築かれてきた文化であり、これからも日本文化の大切な要素として守り育てなければならないものである。いずれ外国人の留学生の中に百人一首大会に出場し、上位入賞する者も出てくるだろう。もしかしたら将来、金髪で青い目のかるたクイーンが誕生するかも知れない。それでこそ日本文化が世界で認められた姿であるとオレは思うのだ。

 かつての「時雨殿」は世界に百人一首を紹介するためにとても意義のある施設であった。リニューアル(大幅劣化)の結果、その夢は無残にも打ち砕かれた。私財をなげうって「」時雨殿」を建設した山内会長の夢を踏みにじった連中に対して、オレは激しい怒りを覚えるのである。


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