江草 乗の言いたい放題
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2012年04月09日(月) 英語の間違った勉強法教えます        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 オレがまだ公立高校に勤務していた頃、「試験に出る英単語」という参考書は受験生のバイブルと呼ばれよく売れていた。当時教えていたある生徒が「センセイ、この本の中に出てくる英単語はすべて覚えました!」と自信を持って語ったことを覚えている。彼はその勉強に半年を費やしたのである。というか、半年間の彼の英語の勉強というのはその中に出てくる英単語を覚えることに終始したのだ。その成果あって彼は受験したすべての大学に落ちて浪人した。それがいかに間違った勉強法であったかをその公立高校の英語教師たちは誰も彼に教えてやらなかったのである。

「構文がわかって、単語を知っていればどんな英文でも読める」

と自信を持って語る英語教師が多い。しかし、語学というのはそういうものだろうか。それはできるだけ短時間で効率的に英語学習を済ませようとするただの方便ではないのか。我々は言語を習得する赤ん坊のときに少なくともそんな方法で覚えては来なかったはずである。

 日本中の学校で英単語の小テストが行われている。その小テストのために生徒たちは短期記憶を膨らませて必死で英単語を覚え、終わった瞬間に一気に忘れる。そうして一冊の単語集の小テストを終えたときに最初の部分の単語はほとんど忘れているのである。人間の記憶というのはそういうものだからだ。その無意味な勉強のためにどれほど多くの時間が無駄に費やされていることだろうか。そして多くの生徒たちはその意味のない「徒労」を「勉強」だと勘違いしてるのである。そして「こんなに勉強してるのに成績が上がらない」と悩むのである。なぜそれが間違ったやり方であることを示唆してやらないのか。いや、なぜその間違ったやり方が日本中で行われているのか。日本の英語教育の根本的な欠陥はそこに存在するのである。中学高校と6年間勉強したのに成果が上がらないのはその無意味さに多くの生徒が気付いていないからである。

 オレが受験生だった頃、全ての勉強時間の半分くらいを英語の勉強に費やした。オレが最も多くの時間を費やしたた英語の勉強は「辞書を使って予習する」ということだった。「授業を受ける前にすべて理解してから授業を受ける」ということをオレは心がけたのである。50分の授業で進む内容を完璧に予習段階で理解するために、オレはノートにリーダーの教科書の全訳を作った。オレにとっての英語の授業というのは、自分が家で予習した内容が正しかったのかどうかを検証する復習の場みたいなものだったのである。オレが在籍した公立高校はその地域のトップ校だったのでかなり授業のレベルは高かった。だから進度もめちゃんこ速くて2学期には教科書が終わってしまう。その速さについていくために予習に3時間も4時間も費やすこともあった。オレにとっての英語学習の原点はその予習にあったのだ。

 オレが高校の3年間習った英語教師は、京大の仏文を出たN氏だった。彼はそのまん丸な顔から「タコヤキ」と生徒に呼ばれていた、N氏の授業は「教養拡大型」とも呼べる内容で、なぜ教科書の中味をこんなに膨らませて蘊蓄に富んだ内容にできるのかとオレはいつも感動していたのである。単語を説明されるときに氏はよくその接頭辞、接尾辞の意味、そしてラテン語の知識などを駆使して語源の話も多かった。「覚えなさい」ということはほとんど言わなかった。なぜそうなるのかという説明が中心だったのである。オレが学んだのは英語を「覚える」ことではなくて「理解する」ことだったのだ。オレはN氏の授業を受けることが本当に楽しみだった。だから常に完璧に予習しようと心がけたのである。そして京都大学文学部を出ればこんなすばらしい人になれるのだと強くあこがれたのだ。小松左京、高橋和巳、大岡昇平、オレが当時読んだ作家にも京大文学部出身者は多かった。

高校3年になって、回りのみんなが持っていた「試験に出る英単語」をオレも買ってみた。しかし、そこに出てくる英単語はほとんど知ってるものばかりだった。その時、オレにはこの参考書はいらないと思ったのである。買ったけど使わなかった真新しい「試験に出る英単語」は卒業してから後輩にあげてしまった。

 英語の正しい勉強法というのは、効率を考えないことである。短時間で成果を上げようと思わないことである。単語を覚えようとしないことである。膨大な量の英文をただ読み続けるうちに、速読力も単語力も自然に身に付くのである。ただそこに到達するまでには本当に長い時間が必要なのだ。本当に大量の英文を、それも必死で考えながら読むしかないのである。無理に単語を覚えなくても「この単語前にも出てきたなあ」「なんで覚えていないのだろう」という繰り返しがやがて知識の定着を生むのである。オレが当時使っていた辞書は、新しく引いた単語に赤線を引いていた。すると二度目に同じ単語を引いたときに、その単語は以前にも引いたことがあることを知るのである。するとより印象に残るのである。

 それだけ勉強しても上には上がいたのでオレは高校の時に英語の成績で学校で一番になれることはなかった。オレよりも英語のできた生徒たちは医学部に入ったり東大を出て銀行員になったり、医者のお嫁さんになったりした。なぜか英語の教師になったものは誰もいない。きっと英語だけではなくて他の教科もみんなできたからだろう。全教科がまんべんなくできる生徒の方が、基本的に英語一科目だけがよくできる生徒たちよりも英語の成績はよかったのである。

 オレは受験勉強によって英語の力を付けた。確かに英語の読み書きの力は受験勉強でついた。しかし、リスニングの力は不十分だった。オレはそのリスニング力を鍛えるのにどうしたのか。もちろん大学受験にはそれは必要なかった。当時の共通一次試験にはリスニングはなかったし、二次試験にもなかった。オレがその能力を必要としたのは27歳の夏である。ヨーロッパ放浪の旅に出たときだ。旅立つ前の半年間、オレはヒマがあったらずっと英語のテープを聴いていた。何種類かあったNHKの英語講座をみんな録音して、それを通勤の車の中で聴き、家で聴き、寝るときにふとんの中で聴いた。一日に5時間くらいは英語を聴いていた。すでに公立高校の教員であったオレは、授業のない空き時間にも他の教員の迷惑にならないようにヘッドホンで英語を聴いていた。疲れたら気分転換に英語の歌を聴いた。そこでもオレのやったことは受験勉強の時と同じだった。「効率を考えるな」である。ただどんな英語でもいいからとにかく聴きまくるということだったのだ。その結果、聴きながらその英文が字幕のように頭の中に流れるようになった。音楽を聴いても歌詞が聴き取れるようになった。オレは安心して旅立つことができたのである。

 今も日本中の多くの学校で無意味な英単語小テストが行われている。たいていの学校は明日が始業式なんだが、そうして一学期の授業が開始されれば、この不毛の英単語小テストがまた日本中の中学高校で行われるのである。

 どうしてもっと「考える」力を養成しないのか。なぜこんな無意味なことを続けるのか。おそらく教える側の教師も、その不毛のやり方を自分が受けてきたので何の違和感もないのだろう。

 受験生諸君にオレからのアドバイスだ。英単語なんか覚えるな、そんなくだらない勉強をするヒマがあれば英字新聞でも読め。海外の英文で書かれたサイトをネットで読め。ペーパーバックでも読め。分厚い英文解釈の問題集でもやれ。とにかくいろんな種類の文章をいっぱい読め。辞書を読め。気になった単語を引きまくれ。そしてその単語の用例の英文に触れろ。英和辞典よりも英英辞典を引いてみろ。そして首尾良く大学に合格してくれ。とにかく健闘を祈る。

試験にでる英単語―実証データで重大箇所ズバリ公開 (青春新書)

 


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