江草 乗の言いたい放題
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2011年07月29日(金) 小松左京さま、日本はどうなるのでしょうか?        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 小松左京さんが亡くなった。享年80歳である。中学生のオレを本格SFの世界に拉致して行き、二度とまっとうな人生に戻れない放蕩無頼の世界に誘ったのは他でもないあなただった。「好きな作家は誰か?」と訊かれるとオレはいつも「小松左京」と答えた。あなたが京都大学文学部の大先輩であることがオレの誇りであり、『果てしなき流れの果てに』が日本SFの最高峰と信じるオレにとって大きなショックである。中学生の頃のオレは、「SF作家になりたい」という夢を持っていた。しかし、今思えばその夢の本質は、博覧強記の天才であった小松左京さんへのあこがれではなかったか。自分は「SF作家」ではなくて「小松左京」になりたかったのではなかったか。そんな気がしてならないのである。だから高校生の頃の自分は、今読み返すと恥ずかしくてその場で破り捨てて100万光年先まで逃げていきたくなるような少女趣味のSFを書いていたのだった。ああ、なんて恥ずかしいんだ。オレにとって消し去りたい過去だ。

 訃報を伝える朝日新聞の記事を引用しよう。

小松左京さんが死去 「日本沈没」「復活の日」
 「日本沈没」「復活の日」などのベストセラーで知られ、日本SF界を代表する作家、小松左京(こまつ・さきょう、本名実〈みのる〉)さんが、26日午後4時36分、肺炎のため大阪府箕面市の病院で死去した。80歳だった。葬儀・告別式は親族で行った。
 1931年、大阪市生まれ。京都大文学部卒。在学中にモリミノルの筆名で漫画を描き、同人誌などに小説を発表。作家の故高橋和巳とは学生時代からの同人誌仲間だった。ラジオのニュース漫才の台本を執筆する一方、米国のSF小説に大きな影響を受けた。
 61年、「SFマガジン」誌のコンテストで「地には平和を」が入選。以後、生物兵器ウイルスと核戦争による人類滅亡を描いた「復活の日」や社会性の強い「日本アパッチ族」、超能力者スパイをめぐる活劇「エスパイ」、第6回日本SF大賞受賞作「首都消失」、自ら映画監督も務めた「さよならジュピター」など多くの話題作を送り出した。
 中でも、当時の地球物理学の最新研究を織り込み、地殻変動で日本列島が海に沈む「日本沈没」(73年)は400万部のベストセラーに。危機に直面した国家と日本人の姿がセンセーショナルな話題を呼び、ドラマ、映画化もされ、一大ブームを起こした。


 日本のSF作家をオレが勝手に5人選ぶとすれば、小松左京、筒井康隆、星新一、矢野徹、豊田有恒となるだろう。しかし、小松左京さんは他の4人とは別格の存在だった。自分のような平凡な者はいくら努力してもとうてい近寄れない高みのように思えたのである。

 小松左京さんの新作が出なくなって長い時間が経ってしまい、久しぶりに新聞で見た写真はすっかり別人になっていて驚いたのだが、今こうして訃報を聞くと改めてなんとも言えない気持ちになってしまうのである。あなたにもしも出会わなかったら、きっとオレの人生は全く違った方向に進んでいましたよと。少なくとも文学部には入って居ませんでしたよとオレは文句の一つも言いたかったのである。

 彼の代表作は『日本沈没』ではない。たまたまあの本はベストセラーになって映画にもなって多くの人に知られることとなったが、オレが最高傑作と認めるのは『果てしなき流れの果てに』であり、『復活の日』であり、『継ぐのは誰か』などの本格SFなのだ。そうした作品に対して文壇の評価は低く、彼の本格SFと呼ばれる作品群はどれも「直木賞」の候補にも挙がらなかった。

 もしも40代の頃の精力的に活動していた小松左京さんが現代に蘇れば、その奇想天外な発想で混迷した日本を救う方策を何か示してくれたような気がするのである。作品の中に次々と登場した、誰にも思いつけないようなそのアイデアの数々こそがオレを魅了したのだ。

『果てしなき流れの果てに』には、失踪した恋人の残した数式で埋まったぼろぼろのノートを大切に保管しながら年老いていく女性が出てくる。世界のどこかにそうして自分の帰りをずっと待ち続けてくれる女性が現れることを、まだ恋をしたこともない中学生のオレはずっと夢想していたのだ。オレは何度その本を読み返してそのたびに切ない気持ちになったことだろうか。それでもまたもう一度、読み返したくなったのである。

果しなき流れの果に (ハルキ文庫)


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