江草 乗の言いたい放題
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2009年03月02日(月) 堺市にLRTは必要だろうか?        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 LRTというのは路面電車をちょっとオシャレに呼んだだけにしかオレには思えない。新交通システムなどと言えば聞こえはいいが、かつて路面電車を公道から追い出したというのが我々の歴史であることを忘れてはならない。LRTという語はLight Rail Transitの略称で、輸送力に関して言えば地下鉄や通常の鉄道よりも小さいが、バスよりはましという程度のモノである。もっともヨーロッパの都市では都心部の混雑を解消するために導入されたLRTが一定の成果をあげている。需要のある場所できちっとクルマとの分離交通に成功して渋滞の影響を受けなかったらそれなりに役立つだろうとオレは思うのである。

 さて、このLRTを堺市に建設しようという動きがあって、堺東(南海高野線)・堺(南海本線)・堺浜(シャープの工場)を結ぼうという計画なのだが、総工費は425億円ほどかかるという。 堺市はこんな計画概要を発表している。どうせエコ関連ということでLRTへの国からの補助金をあてにしてるのは明白だが、それにまつわるもろもろの議員どもの利権もからむわけで、これもまた一種のイナカモンドリームである。赤字になることは確実で、その負担もまた市民が背負わされるのである。全くもって馬鹿馬鹿しい限りだ。

 そうやって無謀にもLRTが導入されたとして、果たして堺市は活性化されるのか。その費用は回収できるのだろうか。そもそも利用者はどの程度あるのだろうかとオレはその計画自体を疑問視してしまうのだ。

 南海高野線の堺東駅周辺はもう完全に寂れてしまっている。いちおう駅前には市役所があり、その反対側には三国ヶ丘高校があり、駅ビルには高島屋が入っている。しかし、かつてダイエーが入っていたビルは今は空きテナントだらけの閑散とした商業施設になっている。場末の商業施設の象徴である100円ショップのダイソーがワンフロアーを全部占めてるのである。しかもこの商業施設は6階以上が空き室のまま放置されているのだ。条件の折り合う入居希望者がないのである。駅前のアーケード街も昔のにぎわいはない。やはりシャッターの降りた店が多い。高島屋堺東店の店内は活気がなく、もう完全に終わった百貨店である。わざわざ堺東で降りなくてもそのままあと10分ほど乗れば難波に着くわけで、そこまで行った方が魅力的な店が多いのである。

 この堺東駅から東に2キロほど離れた場所にある御堂筋線北花田駅のところにはイオンモールがあり、駐車場は週末ともなると出るのに1時間くらい待たされることもあるほどでかなり混雑している。おそらくイオンモールの来客は堺東駅周辺の商業施設全部のトータルをはるかに上回るだろう。このイオンモールはオレもよく利用するのだが飲食店街は行列のできている店が多い。とにかくかなり混雑してるのである。イオンモールとは何の関係もない周辺にあるイカ焼きやたこ焼きの店まで繁盛してるのである。

 寂れている堺東と賑わっている北花田、何が違うのかといわれれば高島屋とジャスコの違い・・・と言うよりも駐車場だろうか。堺東でクルマを停めるには1時間あたり400円程度のコストがかかるのだが、北花田では基本的に2時間まではタダである。2時間を過ぎてもお買い物をすれば無料になるし、土曜や日曜のようにめちゃんこ混雑していて出庫するまでに時間の掛かるような時はもう出口はフリーパスになっている。その場合は一日中クルマを置いていてもタダである。この差は大きい。

寂れた堺市中心部にLRTを走らせることで客を呼ぶ・・・なんてことが本当に成功すると思ってるのだろうか。そんなもので運べる人数ならば、シャトルバスをたくさん走らせれば十分に運べるだろう。導入コストもバスの購入費くらいしかかからない。一台1億円のバスを50台購入するとしてもせいぜい50億円でLRT導入よりもはるかに安いだろう。しかし、それだけの人がやってくるだけの魅力をどうやって作り出すのか。

 堺市役所21階の展望ロビーから南東側を見下ろせば仁徳天皇陵が見える。堺市にはこうした巨大古墳がいくつもある。しかし、内部に入れないだけに全く観光資源としては役に立たないのである。もしもここが古墳のテーマパークとして活かせるならば話は別だが宮内庁がそんなことを許すわけもない。かつては自転車の街だったが、今は中国から輸入される安い自転車に押されてその面影もない。その昔火縄銃の生産が盛んだったからと武器産業を盛んにするわけにもいかない。少なくとも今の堺にはなんの売り物もないのである。今更それはどうしようもないのである。

 関西空港をあんな和歌山寄りに作るのではなくて堺の沖合に作ることができたならば、また別の可能性もあっただろう。しかしそういうことにはならずに泉南沖に空港は建設された。成田ほどではないにしてもあまりにも遠くて行くのがいやになるぜ。もしも空港を堺に誘致できていれば今のように寂れることはなかっただろう。それが実現していたならLRTどころかフル規格の連絡用の鉄道が敷かれていたはずである。

 堺東に客を呼びたかったら、無料で置ける駐車場を周辺に設置することしかない。高島屋で2000円のお買い物で2時間無料なんてケチなことを言わずに、どんどん無料で置かせるのである。堺市役所の駐車場も市民サービスの一環として無料開放するのである。それだけでもかなり違うだろう。少なくとも休日であっても駐車場がガラガラであるという現在のような状況はなくなるはずだ。まず人間をそこに呼び寄せないと何も始まらないし、どんな商売もうまくいかない。電車や徒歩でやってくる人をあてにしていてはいけないのである。駐車場のない店には客は来ない。LRTを走らせたところで乗ってくれるのは老人や学生ばかりだろう。それではちっとも堺市の活性化にはつながらないのである。

 なぜ駐車場でゼニを儲けようと思うのだろうか。そこに無料の駐車場があれば必ず人が集まるということになぜ気が付かないのか。オレは通勤の帰りによく北花田のイオンモールに車を止めて、ジャスコで買い物したり紀伊国屋で本を見たりする。もしも駐車料金が100円でも掛かるならオレは素通りするだろう。タダで置けるからこそ寄り道するのである。

 オレは映画を見るためにわざわざ30分かけて岸和田のシネコンに行く。駐車場が無料だからである。梅田や難波でクルマを置いてゆっくりと観ていたら駐車料金だけで2000円くらいかかってしまうからだ。しかも都心部と違って岸和田なら人気の映画でもガラガラである。

 堺市はシャープの工場誘致とLRTの建設をセットにして街を活性化させたいようだが、そもそもシャープのような一企業に街の命運を賭けていいのか。液晶は今はとりあえず売れてるかも知れないが、あと10年も経てば有機ELテレビが実用化されて液晶は陳腐化してしまうだろう。有機ELテレビで一歩先を行くソニーが液晶を自前でやらずにシャープに外注することにしたのはそういう理由である。つまり、堺浜に建設した巨大な工場が、10年後には時代遅れの不良資産になってしまう可能性も十分にあるのだ。そのときに巨額の建設費をどうやって償還するのか。バスなら売り飛ばせばそれでおしまいだが、LRTを一度建設してしまえばずっとその維持コストがずっと掛かるのである。

 これから人口はどんどん減っていく。そんなことは自明なのになぜ公共交通の整備計画は「需要拡大」を前提にしてるのだろうか。東海道新幹線の乗客はこれから減っていく可能性が高いのになぜリニア新幹線が必要なのだろうか。オレにはその理由がどうしてもわからないのである。


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