江草 乗の言いたい放題
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2006年07月15日(土) ハメこまれた人たち7(JAL)        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 好評の株式投資日記「ハメこまれた人たち」シリーズはこれで7作目となりました。クリックして過去の作品もぜひお読みになってください。株式入門テキスト「初心者のための株式投資入門」もよろしく。



 6月30日、株主総会を終えた二日後に突然日本航空は2000億円規模の公募増資を行うことを発表した。発行される株は7億株を超えることになる。発行株数の4割近い株式が新規に発行されることで株主価値が希薄化することは言うまでもない。この計画について株主総会の時には全く語られることはなかった。そんな悪いニュースは株主には隠したかったのである。総会のわずか二日後にこれほど重大な、そして株価を下落させる要因であることが発表されることを一般の株主の誰が予想できただろうか。

 ただ、誰も予想できなかったわけでもない。そのニュースが出る直前になぜか日本航空株は400万株を超える新規の空売りがされていたのである。また、モルガンスタンレー証券が6月30日までに約1億株を(おそらく借り株によって)取得していた。この取得に関しては7月12日に大量保有報告書が提出されている。取得から発表までの約10日間のタイムラグを利用してモルガンスタンレーは大量に日本航空株を空売りした可能性が高いのである。

 事前に大量に空売りした誰かも、その後の大幅値下がりを予測して借り株して空売りを仕掛けてきたモルガンスタンレーも、この公募増資に関して何らかの情報を事前に得ていたことは間違いない。インサイダー取引というのはこういうことを言うのである。

 さて、週明けの月曜日である7月3日、日本航空株は寄り付きに大量の売りが出てなかなか値段が付かなかった。結局前日比−20の267円で寄りついた後、少し値を戻して273円でその日の取引を終えた。公募増資=株価の大幅下落と予想した個人投資家たちが寄り付きから大量の空売りをぶつけてきたのである。その日だけで新規に発生した空売りは2000万株近い。その日の出来高は約5000万株だったがそのうちの4割が空売りで発生したのである。しかし、空売りの多くはその日の一番安いところで行われており、寄り付きで成り行きの売り注文(つまり267円)を入れて空売りをした個人投資家たちは、その後のわずかな株価上昇によって全員が含み損になってしまったのだ。空売りによって巨利を得ることができたのは、インサイダー情報を事前に入手して先に空売りを仕掛けた一部の機関投資家とモルガンスタンレーだけで、遅れて情報を入手して売った個人投資家にはもううまみは残っていなかったのだ。

 大量に空売りされたために株不足になり逆日歩が発生した。こうなれば空売りをしている人は一日あたりいくらという決まった貸株料を支払わなければならない。そのせいか日本航空株は下げ止まった。こうなると空売りをした人は苦しくなる。7月5日に発表された逆日歩は週末の三日分を含むために1.65円/株になったのである。空売りをしていた人の中にはあわてて返済して損切りする者も大勢出た。267円で5万株空売りしてしまった場合、280円に値上がりしたことで65万円も含み損になってしまう。そのままどんどん値上がりすれば損失はどこまでも拡大していく。多くの個人投資家がびびってしまったのも仕方がない。踏み上げ相場になることを期待して今度は多くの個人投資家が日本航空株を買い始めた。ただ、抵抗もそこまでだった。7月6日に280円をつけた後は徐々に下がり始め、一週間後の7月14日には株価は256円まで下がったのである。

 せっかく下げ止まったのがそこから大きく下げた背景として、公募増資の13%を引き受ける予定だった日興シティグループ証券が離脱したことがあげられる。証券会社にもそっぽを向かれる増資計画ということが嫌気されたのである。それも当然すぎる反応であり、日航では安全トラブルや経営陣の内部対立が相次ぎ、乗客離れもかなり進んでいる。昨年度の国内旅客数では全日空(ANA)に逆転され、400億円を超す純損失を計上したくらいでお先真っ暗な状況なのである。2兆円も有利子負債があってもう銀行はどこもゼニを貸してくれないのである。貸し倒れのリスクが高いからだ。それで増資という方法で資金調達をはかったのである。この増資によって得た資金は機体調達に投入するという。そんな設備投資よりも高コスト体質を改め赤字解消することの方が大事だったはずだ。その道筋が見えてこない以上、日航への投資はゼニをドブに捨てるのと同じ危険な行為となってしまう。

 日興グループに振られた日航は、その穴埋めとしてなんと海外での募集比率を6割にアップすることを発表した。国内、海外で3億5000万株ずつの発行予定を、海外4億500万株、国内2億9500万株に変更する。同社は変更の理由について、「海外機関投資家の旺盛な需要に対応するため」(広報部)としている。さすがに「日本人は誰も買ってくれないから」とは言えないのだ。さて、19日〜21日の間に決まる公募価格はいったいどれくらいになるのだろうか。時価よりも公募価格の方が高かったら誰も公募に応じてくれないので、たいていはその三日間の平均価格から10%くらいディスカウントした金額になる。外人に買わせるためにはさらにディスカウント率を高くするかも知れない。

 空売りしていた人でも公募に応じて株を手に入れてその株を現渡しするという形で空売りの返済ができる。空売りした人は株を入手できるようになるまで毎日の逆日歩に耐えながら待てばよいのである。情報量という点で圧倒的に及ばない不利な戦いの中で個人投資家の多くが破産したり樹海行きのバスに乗ったりした。「絶対にJALがつぶれることはないと思うので持ち続けます!」と開き直ってる株主がほとんどなわけだが、この状態が続けば株価はいずれ100円台にまで落下してくるだろう。その膨大な含み損に耐えるか、あるいはさっさと見切りをつけて売却するか。いずれにしても日本航空を買ってしまった多くの個人株主たちが「はめこまれた人たち」であったことは言うまでもない。

 このコラムを書いてからわずか4日後の7月19日の日本航空の株価(終値)は220円まで下がった。いっぽう公募価格は211円と発表された。その後さらに売り込まれて公募価格も割ってしまい最安値198円を付けた後は反発して、それでもわずかに公募価格を上回っただけの水準にある。2兆円の有利子負債を抱え、公募増資も予定の金額が調達できずに借入金で補うことになるわけで苦境は続く。もしも株主優待が廃止されれば、株価は50円くらいに下がるだろう。


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