江草 乗の言いたい放題
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2006年06月30日(金) 息子を人殺しにする方法について        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 6月24日の日記でオレは「医師の息子に生まれるということ」という題名で、あの奈良の一家3人焼死事件について書いた。そのときは息子を無理に医師にしようとしたその父親についてさほど悪い印象は持たなかったのである。
親として自分の職業を継がせたいというのは普通の感情だと思っていた。

 しかし、今日週刊新潮、週刊文春、週刊ポストを読んだ。そこでこの一家の悲劇の背景を知ったとき、オレは少年の父親に対して激しい怒りを感じるようになったのだ。吉川元祥、おまえはどうしようもないクソ野郎だと。事件を起こした少年の実の母親が離婚した理由は、夫が浮気を繰り返したからだという。不誠実な夫と離婚する条件は、二人いた子どものうち父親の後を継いで医師に育ってくれそうな男の子を夫に差し出し、母とは二度と会えなくなるというひどいものだったそうだ。8歳の少年が母親と引き裂かれ、実の妹とも離ればなれにされるのはどれほどの悲劇だっただろうか。彼は妹を抱きしめて離さずに泣いたという。その場面を想像するだけでも涙を誘う。

 父親は離婚して半年も経たないうちに再婚する。その再婚相手が浮気の相手であったのかどうかはわからないが、少なくとも少年にとって新しいお母さんは自分の実のお母さんを追い出した憎い女であるのと同じだ。父は息子に中学受験のための特訓を課し、無事に関西きっての名門進学校に合格させることに成功する。そして徐々に息子に対する支配を、継母である自分の妻を通じた間接支配に変えていくのである。このあたりは実に巧妙だ。妻は自分と血のつながりのない長男に対して、父親の命令を代行して伝える立場となる。植民地の実効支配をさせられる現地人みたいなものである。そのような間接支配が常により苛烈な状況を生み出すように、母親を通した間接支配は少年の心の余裕を失わせたのである。

 いくら小学校の時は優等生だったとしても、秀才ばかり集まってくる学校でいい成績を取るのは困難である。ましてや実のお母さんに会うだけで殴られるような虐待を受けていた日常の中ではますます「何のために学ぶのか」という目的意識は育たないだろう。

 一家三人が焼死したその日、父親は三重県の病院で宿直勤務中だったと報じられた。しかし実際は病院にその記録はなく、父親は別の愛人女性のところで過ごしてたらしい。16歳の少年は父親のそんな実態を知っていたのだろうか。それを知った上でこのような残酷な復讐を思いついたのだろうか。もしもそうであるのなら、亡くなった妻と二人の子の死に対してもっとも責めを負うべきは、放火した息子ではなくその原因となる家族の悲劇を作り出した父ではないのか。そんなことをオレは思ったのである。16歳のこの少年はおそらく医療少年院で数年過ごした後、帰ってくることになる。そんな時に彼を受け入れて守ってあげることができるのは実の母親だけである。そんな形でしか母のもとに戻れなかったことが、少年にとって最大の悲劇であったことは言うまでもない。


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