江草 乗の言いたい放題
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2004年04月29日(木) 声高に殺す権利を叫ぶ人たち        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 4月25日、米ワシントンで25日、女性の妊娠中絶を選ぶ権利を訴えるデモと集会があり、目抜き通りを多数の男女が行進した。60近い国々の活動家が呼びかけ、AP通信は、警察などの非公式な推計として50万〜80万人が参加したと報じている。

 妊娠中絶は果たして女性の権利の一つなのだろうか。自分のお腹の中の胎児を生かそうと殺そうと母親の自由なんだという発想は危険なことではないだろうか。産まれた後の子どもへの虐待は許されないのに、産まれる前なら殺すことさえ権利の一つなのか。オレはこのデモ行進の報道に接して、彼女らの主張する殺す権利に対してどうしても共感することができなかった。

 昭和48年10月、宮城県石巻市の産婦人科医菊田昇が、中絶を希望する母親を説得して出産させ、その赤ちゃんを約百人の赤ちゃんを子宝に恵まれない夫婦にあっせんしていたという事実が明らかになった。新しい両親がその子を”実子”として育てられるよう菊田医師は虚偽の出生証明書も発行していた。昭和53年3月、菊田医師は医師法違反、公正証書原本不実記載などで略式起訴され、仙台簡裁は罰金二十万円の略式命令を出した。厚生省の六カ月の業務停止処分に対し、同医師は処分取り消しを求めて訴訟を起こしたが、一、二審とも敗訴。昭和63年7月の最高裁でも「実子のあっせんは法律上許されないだけでなく、医師の職業倫理にも反する」と上告は棄却され、菊田医師の敗訴が確定した。

 菊田医師が産婦人科医になることを志したとき、彼はきっと祝福されて産まれてくる生命を受け止めたかったはずだ。意に沿わない中絶手術を行うときに彼は「オレは殺すために医師になったんじゃない」と心の中で叫んでいたのではないか。命のビザを発給して数千人のユダヤ人を作った杉原千畝氏と、闇に葬られるはずだった数百人の胎児の命を救った菊田昇医師の行為は同じ輝きを持つ。

 菊田氏を攻撃した他の産婦人科医は、自分たちが「人殺し」であることに対して何のうしろめたさも感じなかったのか? 経済的理由で、あるいは不倫の子であるが故に、つまりは親たちの生活を守るために妊娠中絶という行為は不幸にもなくなることはない。高校生の半数以上は全く避妊しないという。放縦な行動の果てに起きた事実を「私には胎児を殺す権利がある」と開き直れるような恥知らずな人間がやがてこの世を埋め尽くすのか。

 中島みゆきは「誕生」の中で「生まれてくれて welcome」と歌った。処理されてしまった胎児は、悪意と偽善に満ちたこの世に生まれずに済んだことを「殺してくれて thank you」と歌っているのかも知れない。 


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