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| 2003年12月04日(木) ■ |
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| 男の子は腸が弱い |
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ある日、練習試合の前に選手が父兄さんの集まる場所にやって来た。私のすぐ目の前にいた女性が彼の母親らしい。彼はお母さんに向かって無言で手を差し出した。無言というのは正確ではないかもしれない。口は動いていた。でも、近くにいたのに、言葉は聞こえてこなかった。その手のひらは、“わかってるやろ、はよしてくれや”とせかさんばかりに上下に動いていた。
ところが、そんな彼におかまいなく、お母さんはあっけらかんと、「正露丸やろ」。お母さんは、おもむろにカバンの中をさぐり、彼に小さい瓶を手渡した。あれは糖衣錠だな。彼は素っ気なくそれを受け取ると、素早くズボンの後ろポケットに忍ばせた。恥ずかしがってやんの。私はじぃ〜とその動作を見ておいてあげた(笑)。彼は小走りでグランドに戻った。まだ彼の背中が小さくないうちから、周りのお母さんたちが、「男の子は腸が弱いからねえ」とささやきあっていた。
そして、試合が始まった。彼はいつもの守備位置についていた。後ろポケットに正露丸を入れて、試合に挑んでる男の子。いつもよりちょっと余計目に「がんばれよ〜」と思った。
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