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| 2002年09月16日(月) ■ |
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| 淋しくないように。 |
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いつのころからか、攻守交代時のボールの行く末が気になりだした。見てみると、チェンジのときは内野手が去り際にピッチャープレートの転がす。また、マナーのいいチームは、直接プレート側に置いていく。そして、守備に入るチームのピッチャーは、プレート付近に転がっているそのボールを腰から上を折り曲げるようにかがんで手に取る。ボールの戻し方がいい加減だと、ピッチャーに余計な労力がかかってしまい、ちょっと心痛い。
ある試合で、こんな光景を見た。 守備につくとき、他の野手より一足先にマウンドに向かう野手がいた。彼は、プレート付近に転がっていたボールを拾い上げた。ん?ピッチャー、交代?そう思ったが、一向に投球練習をしない。彼の目線は自チームのベンチに注がれていた。若干時間があった。彼はその時間をもてあましたのか、手でボールを磨くような仕草をしていた。これは、雨の試合で主審がピッチャーに新しいボールを渡すときによく見かける。滑り止めか、汚れを取っているかだと思うのだが。
そして、ベンチからピッチャーが駆けてきた。彼は、そのピッチャーに2,3言葉を書けると、磨いていたボールに最後の力を込め、託すようにピッチャーに手渡した。ああ、そっか、彼はピッチャーが来るまで待っていたんだ。
ピッチャーは、孤独なポジションだという。その孤独に立ち向かうために、小高い丘を登ったとき、目の前に仲間がいることでどれだけ気持ちが楽になるだろう。かがまなくていいだけ、単純に体力の消耗が抑えられるというメリットもあるが、それ以上に手渡しでボールを受け取ることって、スキンシップと似ていて、すごく癒されるように思う。
結局、この野手は1回から最終回までずっとマウンドでピッチャーを迎え続けた。たわいもない行為。でも、私にはすごく心に残った優しさだった。
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