*Simple Lovers*


2010年05月28日(金) 貴方の傍に居たいという我侭

二年と少しの年月をかけて

ようやく心の壁が壊せた気がしてる。

皆の前でムードメーカーとして振る舞う貴方。

あたしの前で無口になる貴方。

後者が素の貴方だって知ってるから

沈黙の時間も、平気。



















久しぶりに二人きりで遊びに行って

行く場所やプランはどんどん自分で決めるくせに

あたしにばかり話させる。

今までだったら

「あの場所に遊びに行きたいな」って言ったって

いいんじゃない?とか

誰かに連れてってもらえば?とか

そんな返事だったばかりの貴方が

一緒に行きたいねって

あたしと行く前提で話してくれるのが嬉しくて。



















ねぇ。

そんなに気を遣わない人だったっけ?

あたしに無茶な事ばかり言って。

ねぇ。

あたしの好きな食べ物、そんなに気になる?

そこまでしなくていいって言ってるのに

ネットで美味しい店調べてくれたりして。

ねぇ。

こんなに寄り添っても、離れないんだね。

寒かったんじゃないよ?

傍に居たかったんだ。



















二年近く前

あるイベントのクリスマスイルミネーションを

貴方の背中越しに見つめてた。

ぼんやりと

「あぁ、私じゃやっぱり駄目なのか」って

失望感が押し寄せて

光は滲んで見えていた。




同じ場所のナイトパレードを

貴方の隣で座って、肩を寄せ合って見つめてる。

パレードが通り過ぎた後も

貴方が立ち上がろうとしないから

ちょっとだけ

黙って隣に居て

小さな幸福感に満たされる。



















一回だけ

なんとなく手が触れ合って

緊張で動けなくなって

本当は手を繋ぎたかったのに

其処から何も言えなくなった。


何度も何度も

溢れそうになる「好き」って言葉を

必死に飲み込んだ。


たかが「また遊びに誘っていい?」って

其れだけ言うのに20秒くらい固まった。


「お互いこれからあまり会えなくなっても?」って

其処まで聞いたら涙が出てきて

帰ろうとする貴方を困らせた。


見送るはずが見送られて。

そんな顔させたかった訳じゃないんだ。


ゴメン。



















泣きそうな顔を帽子で隠して

駅まで送ってもらいながら涙声で話した。


「本当に貴方は分かってない」

「言いたい事が色々いっぱいあるんだ」

「でも、今は其れを言えないの」

「どうやって言葉にしたら良いかも分からないの」


貴方はただ聞いてた。

返事するわけでもなく

困った顔をするわけでもなく

でも

きっと言葉の意図に気付いてはいるんだろうって

あたしは知っている。



















明日会えるのに

どうしてこんなに悲しいんだろう。

こんなにこんなに幸せなのに

どうして「もっと」って我侭になるんだろう。

どこまで貴方は

あたしの我侭を許してくれるだろう。



















改札口を抜けた後も

何度も何度も振り返って

貴方に手を振った。


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