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2011年02月26日(土) |
【Works】きみのはなし、 |
一年前、飛馬の隣にようやく馴染んできた頃、
『おまえ、空気みたいだね』
と言われたことがある。屋上のベンチに座って、飛馬は俺の肩に寄りかかって半分寝ていて、空は凝視していると呑まれて落っこちて行きそうなぐらい青かった。
『おまえは知らない間に横にいて、ずっといても苦しくない。……なんか不思議だ』
心臓の下のあたりがじりじり痺れて痛くてしかたなくて、涙がぱらぱらこぼれる。
「……飛馬、」
好きだ、と何回も言おうとした。でもできなかった。 この関係に俺の欲を差し挟みすぎたら、飛馬の息が詰まってしまうと思ったからだ。
空気でいたかった。飛馬を苦しめない存在でありたかった。
そのかわりくちづけてる間だけ呼吸を止めて、俺が傍にいることを感じてほしかった。
『きみのはなし、』―高校卒業の日のはなし
あさ。
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