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2016年07月31日(日) ■ |
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せっかく来てくれたんだから、畑から |
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映画「あん」(河瀬直美監督)から。 主役を演じる「樹木希林さん」自身がガンを患い、 全身に転移したにも関わらず演技している姿を見るにつけ、 映画と知りつつ、胸が熱くなってくるのを感じた。 彼女の生き方と重ねると辛くなるが、 「小豆」から「あん」を作る工程で、こうアドバイスする。 「しずかに、しずかに・・」「少しずつ、少しずつ・・」 「ここが肝心よ。そんなに忙しくやっちゃだめよ」と。 他愛無い台詞なのだが、私はメモをした。 そこには、豆に対して「もてなす」という姿勢があり、 「せっかく来てくれたんだから、畑から」という台詞が光る。 そして、ラストのシーン、こんな手紙が読まれる。 「あの日の満月は、私にこう呟きました。 おまえに見て欲しかったんだよ。だから、光っていたんだよって。 ねぇ店長さん、私たちはこの世を見るために、 聴くために生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても、 私たちは、私たちには生きる意味があるのよ」 役として、ライ病患者の悲哀と切なさを綴ったのかもしれないが、 名女優「樹木希林さん」という彼女の生の声として、 メモを読み直したら、涙が自然と溢れた。 狛犬の「あ」と「ん」のように、全ての言葉を包括している 「あん」という言葉の食材は、私たちの疲れを癒し、 笑顔にしてくれる魔法の食べ物かもしれない。 あぁ「どら焼き」が食べたくなってしまった。
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