初日 最新 目次 MAIL HOME


しもさんの「気になる一言」
しもさん
MAIL
HOME

My追加

2015年12月06日(日)
いつの間に、こんなに美味く作れるようになったんだろう

映画「洋菓子店コアンドル」(深川栄洋監督)から。
予想どおりの展開で、安心して観られると言えばそうだけど、
ちょっと物足りなさを感じて観終わった。
ケーキでも何でも「職人」と呼ばれる職業は、下積み生活から、
基礎を学び、そこから新しいものを生み出し、
少しずつ少しずつ成長していくようだ。
「洋菓子店コアンドル」のシェフ役・戸田恵子さんは、
働きたいと上京したが、2日で辞めさせた若者について
「いまさら、下積みはいやなんだって。
頑張れない子に、この仕事は向かないわ」と厳しい評価をし、
ケーキ職人を目指している主人公・なつめ役の蒼井優さんには
「職人は、手を抜くことを覚えたら、長続きしないからね」と、
一見、冷たいようだが、仕事の基本を教え込む姿勢が眩しかった。
また、なつめの試作品のケーキをを試食した常連客の感想は
「売り物としては、どうかしらね?
お店の評判を落とさないように、もっと努力しなさい」だったし
ケーキ評論家の意見は「もう辞めろ、本気で修行してるヤツのじゃまだ」。
それまでの経験と技術を否定されたが、それでも続けた彼女を救ったのは、
「おいしいね。それにしてもあの子、いつの間に、
こんなに美味く作れるようになったんだろう。おいしいね」と呟く、
かつて、試食して厳しい評価を下した常連客の一言だった。
どんな職人にとっても、自分の成長を認めてもらえた一言は、
地道な努力が実ったと感じる瞬間でもあり、これ以上のプレゼントはない。
人間を成長させる素敵な言葉。
今でも掛けて欲しいし、掛けてあげたいな。