初日 最新 目次 MAIL HOME


しもさんの「気になる一言」
しもさん
MAIL
HOME

My追加

2003年07月28日(月)
随分と薄っぺらくちっぽけになってしまった

義父か生前読みかけていたという本を読み終えた。
「たった一人の生還(『たか号』漂流27日間の闘い)」
(佐野三治・新潮文庫)。
どんな想いで、この本を読み始めたのか、なんだか辛かった。
著者は、壮絶な闘いを記憶が鮮明なうちに残さなければ・・と考え、
途中で死んでいった6人の遺族のためにも・・と書き綴った。
しかし、その想いとは裏腹に文字にすればするほど、
その体験が薄っぺらに感じてしまったのだろう。
漂流した7人のメンバーで励ましあった、辛く重くるしい1ヶ月、
そして自分だけが救出されて入院、多くの人の愛に触れた1ヶ月。
どちらをとっても、その感情は、うまく伝わらない。
そんな感情が「文庫本のあとがき」となって、彼にこう書かせていた。
メモを取りながら読み終えて、そんな気がした。
これは読者を意識した文章の難しさでもあると思う。
人間一人を表現するのは、なにも文章だけとは限らない。
音楽であったり、匂いであったり、触った感覚であったりする。
そのニュアンスを大切にしていきたい、心からそう思った。
記録としては文字は大切な媒体だけれど、
記憶としての文字は、なかなかインパクトが与えられない。
俳句、短歌、川柳などのように、短ければ短いほど、
文字のインパクトは増すような気がしている。