::ヒカリ。(FF6) 2002年08月07日(水)

迎えてくれたのは、君だった。
階段を上ったその先に
光を纏って立っていた。


心配そうな顔をして


それすらも、愛しくて。


「ロック、あの・・・。」


おそるおそる声をかけてくれる君に、少し微笑んで


「大丈夫。大丈夫だよ、セリス。
 あいつは俺に光をくれた。
 だから、もう大丈夫・・・。」


光をくれる君がいるから。
大丈夫。
きっと、忘れることだって出来る。


「・・・そう?でも・・・。」


パシッ


「!?」
「忘れちゃ、ダメよ?」


後ろ手に持っていたらしい。
手放したはずの、青いバンダナ。
突然額にピシリとあてて、頭に巻いていく。


「これは・・・」
「あの人に、もらったんでしょう?
 刺繍がしてあったわ。」


青い糸で目立たないように
ひっそりと
惜しみない愛を込めて
貴男の名を


「私はこれのおかげで生きて、こうしてあなたに再び会うことが出来たの。
 シドが死んで、独りぼっちになってしまったって。
 あなたも、もう死んでしまったと思ってて・・・
 崖から、身を投げたの。」
「!!」
「でもね、死ななかった。
 あんなに高いところから飛び降りて、どうしてかなって・・・
 今思えば、あの人が助けてくれたのかもって。」
「・・・レイチェルが?」


こくりと頷く。


「だって、目の前にこれをつけた鳥がいて、じっと私を見つめていたんだもの。
 離れず、側にいて・・・。
 このバンダナを身につけて。」


できた、と手を放す。


「忘れないで、覚えていて。
 私も忘れない。
 今のあなたがここに在るのはあの人のおかげって、
 そう思うの。」
「セリス・・・。」
「そりゃあ、時々はヤキモチとか焼いちゃうかもだけど・・・。」
「大丈夫だよ。」


手が、体が勝手に動くんだ。
こらえることの出来ない、止めどなく溢れ出る想いとともに。


「ろ、ロック!?」
「ごめん。しばらく、こうさせて・・・。」


細い方に腕を回して額をつけて、
暖かさが伝わってくる。
鼓動と共に。


君はいつだって、笑顔の裏の涙を見抜いて
そっと華を添えてくれるから。


「セリスは死なないよ。」
「え?」
「死なせない。俺が守るから。」


誓うから。
何度でも、声に出しても。


君のこと傷つけてる全てから僕が守るから。


「・・・じゃあ、ロックも死なないわ。」


ふわりと、首に手を回して頭をなでてくれる。


「なんで?」
「だって、私が守るもの。」


おとなしく守られてるだけの女じゃないのよ、と。
思わず笑みがこぼれてしまったけれど。


「ありがとう・・・。」


どういたしまして、と君ははにかんで笑う。


君は知らないだろう。
君の些細な一言一言が、どれだけ僕の支えになっているか
知らないだろう?


今は
今だけは
君の暖かさを
君の優しさを、この体全体で感じていたい。


もう、離れてしまわないように。


君だけが、いつの日もいつまでも、僕の道標。






作成日・7月26日
  Up・8月8日



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