::決別の時 2002年07月22日(月)

夏は空色

君の色

澄んで、澄んで、澄んで

それは高く

捕まえようと

手を伸ばす










「一応、今は夏なんだよな・・・。」

あたりを見回して、ため息を吐く。
誰が信じるだろう。
一体どうして信じることができよう。
空はこんなに暗く、地面からは生命の息吹を一欠片も感じることができないというのに。


青い空が好きだった。
君の瞳と同じ色だったから。
君の髪の毛とも、君の心とも同じ。
澄んでいた。
だから。


でも


今は


いやだ。


悲しみを、後悔を、憎しみを映しているようなそれには、
耐えられない。


灰色は


手を放してしまったこと。
誓いを果たせなかったこと。


そして


君への懺悔。


「これから、どうしよっかなー・・・と・・・。」


わからない。
わからないんだ。


生きている。
自分が生きているのならば、必ず他の仲間も生きている。
確証はない。
けど、そんな気がしてならない。


彼女だって、絶対に生きている。


だから、探すべきなんだ。
みんなを。
探して、見つけて、また旅をする。


同じ志を胸に。


でも


わからない。


何が?


それすらも。









「あれ、ここって・・・?」


かつてはただの小さな小屋があっただけの場所に、豪華な何かが建っている。
中からは歓声が、ここまで漏れてくる。


「へぇ・・・あのじいさんか・・・。」


------立派なコロシアムを建ててみせる!!-------


そんなこと言ってたっけ。





熱気と興奮が、扉を開けただけで押し寄せてくる。
ああ、取り返そうとしている。
人は、決して弱くはないんだって、思い知らせてくれる。


「おい、お前。」


肩をたたかれた。


「あん?」
「ヨォ。」


振り向いたその先には、嫌でも見慣れた物が目に入る。


「そんな顔すんなよ。帝国は、もうないんだ。
 俺とお前が戦う意味だってない。
 なぁ、トレジャーハンターさんよ。」

「わかってるって。
 ・・・他の奴らは?」
「さぁな。気がついたら、俺だけだった。」
「そうか・・・。」


かつてマランダにいた兵士。
彼女の、かつての部下だってことは知っている。


「将軍は一緒におられないのか?」
「・・・ああ・・・。
 どこにいるかも、生きているかも・・・わからない・・・。」
「そうか・・・。」


生きている。
絶対。
彼女は生きている。


けど


確証は、ない・・・


「じゃあ、今しかないってな。」
「・・・何が?」
「秘宝、探してるんだろ?」


秘宝


欲しくて欲しくてやまなかったもの。


「それが、どうした。」
「ガストラの絵に二回、話しかけろとよ。」
「は?」
「ヒントがあるらしい。」
「・・・!!どこの、なんのことだ!!?」
「それ以上は知らねぇよ。俺は頼まれただけなんだ。」
「誰に!!?」
「・・・それは言えねぇ・・・。」
「なんで!!?」

「言われたんだよ、絶対言うなって。」

兵士はため息を吐いた。

「お前が一人で、自分が側にいない時に教えてやってくれって、頼まれたんだよ。」
「俺が一人で、自分が側にいない時・・・?」

ふん、と鼻を鳴らして背を向けた。

「じゃーな。まぁ、後は自分でなんとかしな。」
「あ、おい・・・。」
「まぁ、考えてもみな。
 こーゆーこと、普通の誰かサンが知ってると思うか?
 ・・・ヒントはここまでだよ。」


扉を開けて、出ていった。





秘宝。


耳にしたのは、初めて帝国に侵入した時だった。


帝国で、聞いた。


「まさか・・・。」


それは考えれば考えるほど、確信に近い。


でも、だったらどうして隠していた?


「・・・俺も、聞かなかったけな・・・あいつには・・・。」


怖かったんだな、俺も、あいつも・・・


自惚れかもしれないけど、けど、


「あいつが、好きだったから・・・。」


好きになってしまったから


怖かったんだ。


生き返って欲しいという願いに、激しく矛盾する想いとともに。


けど、逃げるわけにもいかない。


逃げることはできない。


「・・・よしっ!!」


決めた。


「行きますか、ロック・コールさんよ!」


力強く。


逃げないで、会うために。
もう一度、側に行くために。


この想いを、伝えるために。


そのために、まずしなければいけないことは?


「秘宝を、今度こそこの手に入れてやる!!」


伝えなければならないから。






決別の時。




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後書き:ロクセリなんだけど・・・ロクレイに見える・・・かなぁ・・・?
    マランダの兵士とセリスについては、もうちょっとしたら書こうとおもっています!
                                   (作成・Up:7月22日)



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