::リトル・ガール 2002年06月14日(金)

彼の後に現れた、小さな来訪者。
息を切らして、小さなか細い肩を震わせて。




「お兄ちゃん・・・!!」




「どうしたんだ、杞紗・・・?」

いつもと変わらない表情で。
出かかっていた言葉を呑み込んでしまうほど。



でも



「とりあえず、ここに座っ・・・」
「お兄ちゃん!」



聞かなきゃ



「何・・・?」
「あのっ・・・!」



体中が熱くなる。
目も、顔も、手も、足も、






「リン・・・っお姉・・・ちゃんが・・・!!!」






それ以上は言葉にできなかった。
これで精一杯だった。




まだまだダメな自分。
未熟な自分。
弱い自分。






「・・・ああ、うん・・・。」


杞紗が言いたいらしいことを察した撥春は、ふっと瞼を閉じて、開いた。


「うん、そう・・・。ふられちゃったぁ・・・。」



『君、もういいから。』



『もういらないから。』




ぼろぼろぼろぼろ・・・・



驚いて目を見開き、杞紗を見る。
次から次へ溢れ出る、止まることのない涙。



「杞紗・・・。」



ひどい。
ひどいよ。
そうやって簡単に捨ててしまうなら







私があの時欲しかった。







好きなのに。

私だって、お兄ちゃんのこと好きなのに。







「杞紗。」


ポンポンッと頭を軽く叩いてくしゃっと撫でた。
涙一杯の瞳で見上げる。
視界がぼやけて、どんな表情をしているのか分からない。


「俺のために、泣いてくれてンの?」




優しい顔をしていた。




抱き寄せて、優しく背中を叩いてくれる。
涙が止まらない。
痛くて。






「あんがと・・・。」






傍にいられるなら、妹のままでいいと思う心と
妹のままじゃイヤだと思う心。
体の中に二つとも確かに存在していて。



だから
優しくされると
嬉しくなるのと同時に、痛くなる。




ズキンと痛む。




「大丈夫。俺、がんばってみる。
 まだ諦めたくないから。」



私も、諦めないでいい?
お兄ちゃんのこと、好きでいてもいい?



まだ言葉に出来ない
小さな胸に暖めたままの、想いと共に。








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