木陰で遊ぶぞ〜!



2008年10月19日(日)

萌え。人魚姫B


 昨夜、ネウヤコ人魚姫パロ(悲恋)を久しぶりに読み返していたら、閃き。
 人魚姫は明ちゃんー!と思ってたが。
 先に惚れるったら弘美君だよな、と思って。
 弘美君が人魚でも、いいんじゃね?
 明ちゃんが弘美君のこと気になって、っていうよりそっちの方がしっくり。
 先輩を弘美君の仲間にしようと思ったけど、大臣の息子をアイドルから隣国の王子な先輩にしよう。先輩も身分違いの恋に悩んでいたのですーってね。うしゃ。








 苦しそうで、服を脱がそうとする弘美。
 こ、この人、女の子だ!
 楽になった明が目を薄っすら開けて、ほっとするが、姿を見られてはいけない!と弘美は海へ。


 忘れられない。

「僕を人間にしてください」

「どうしても人間になりたいか?」
「はい」
「恋が叶うとは限らないのに?」

「それでも、僕はあの人に会いたい……」

「一つだけ方法がある。古くから伝わる魔法だ。これ以外に人間になる方法は無い」
「どんな魔法ですか」

「人間に恋した人魚が人間になる為の魔法だ。人魚自身の声を使うことで、人魚の尻尾は人間の足に変わる」

「つまり、君は人間の足を得るが、声を失う。おまけにこれには強力な副作用がある」

「お願いします」





 素性を正直に言って信じてもらえるだろうか。嫌われないだろうか。

 文字を教えられる。

 元々頭がいいのだろう。どんどん吸収していく。
 不思議なのは、服の着方など生活上のごく基本的なことや、農家は作物を育て収穫し一部を国に納める、という一般常識を知らなかったことだ。
 記憶喪失という自主申告を明は半信半疑だった。訳あって隠している、と感じたのだ。しかしこの常識の無さは記憶喪失以外にありえるのだろうか。

 悩みをこぼし、質問されて答える内に糸口が見えたり、思いがけない切り口の意見をもらったり。
 筆談と読唇術とジェスチャーを交える。心地いい。

「俺、隣国の王子と結婚させられるんだ」

「浜に打ち上げられた俺を助けてくれてさ。命の恩人だ、って周りが騒いで」

「でも、いつかは結婚しなきゃならない。俺はこの国の王女だから」

〔嫌なんですか?〕

「……うん。王子は嫌いじゃないけど恋愛感情は全く無いし、誰かと結婚して夫婦になるっていうのがまだしっくりこない。……それに、本当は王子の前に、他の誰かに助けられた気がするんだ」

「よく覚えてないけど、王子じゃなかった」

〔もし、王子様より前に明さんを助けた人が見つかったら、どうしますか?〕

「お礼を言いたいな。その人のおかげで今俺は生きているから」

〔王子様でなく、その人が、明さんの結婚相手になりますか?〕
 そういう考え方もあるのか。
「どうだろ。女の人だったら、まず無いとして。男の人で、王子くらい政治的な地位があって、未婚で、年齢の釣り合いが取れたら、候補にはなるかもしれない」

 がーん。



 式の準備で慌しい。衣装合わせやら式典の打ち合わせやら。
 弘美と話す時間が減った。周りが遠ざけようとしている。今更結婚を嫌がったりしないのに。

 明、考える。逆に、誰が相手だったら自分は結婚に納得するのだろうか。
 同じ年頃の男で、国の政治の関係者。知り合い。考えていくが、違う。
 好みは。と考えて。ふと気付く。弘美に当て嵌まってないか?




 声と引き換えに人間の足を手に入れた。明の傍にいることが出来た。
 思いを伝えたい。明を自分のものにしたい。
 けれど、彼女は一国の王女で。自分はその世話になるしかない、記憶喪失者。

 最近、体の調子が悪い。

「弘美君!」
『円子さん!?』

『あ、僕、今声が』
「なんとなくわかる! 今はそれどころじゃないの!」

「このままじゃあなた、死んじゃうの!」

『どういうことですか?』
「人間に恋した人魚が、声と引き換えに人間の足を手に入れる魔法。その副作用は、恋した人間が他の者と結ばれた時、人魚は海の泡となって消えてしまうこと!」



「喜んでこのナイフを渡してきたわ」

「あんのインチキ魔法使い! 最初からこのつもりだったのよ!!」

「姫を殺すか、泡になるか。結婚を中止させるか。自分で選びなさい」



 他の男の物になるくらいなら、いっそ……。

 出来ない。

 明、起きる。

「待って、弘美君!」

 泡になる時、それは明が結婚する時。そんな瞬間を迎えてしまう前に、自分で自分の命を絶とう。

「好きなんだ!!」

「弘美君が好きなんだ! だから死なないで!!!」

「さっきわかった。俺を助けてくれたのは、弘美君だったんだろ?」

「でも、そんなの関係ない。弘美君、ずっと何も話してくれなかったから、きっと深いわけがあって、そんな弘美君に俺の気持ちを伝えちゃ駄目だって、国の王女としての義務もあるんだからって」

「俺を殺したいなら、殺して。だけど、死なないで。弘美君は生きて」

『明さん』

「うん」

『愛しています』

「今、愛しています、って、言ってくれた?」
 弘美頷く。

「俺も、弘美君を愛してる」

 口付け。
 声が。

「明さん」

「ずっと、あなたの名前を呼びたかった」
「これが弘美君の声なんだね」



 その後も紆余曲折あったが、二人は幸せに暮らしました。ちゃんちゃん。






 とかとか。

 時々きっと書き足していきます。

   


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