ぶつぶつ日記
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| 2005年03月11日(金) |
鶯、あるいは東京大空襲 |
朝ごはんを片手に職場に向かっていると、 椿の花が、はたはたと揺れていた。 目を凝らしてみると、 鶯が一羽、椿の花をついばんでいた。
渋谷の真ん中にも、春になると鶯がやってくる。 どんな殺伐とした所にも、きっと日常生活があって、 人々は、普通に暮らしているのだ。
昨日は、東京大空襲記念日だった。 私は下町生まれの下町育ちなので、 原爆よりも、東京大空襲にかんする話しを聞くことが多い。 父は、まさに東京大空襲の被災者で、 累々と折り重なる死体を踏んで逃げたという。 また、私が通っていた高校は、 深川のどまん中にある明治からある高校だったので、 空襲の只中、校舎自体が、 避難所や、遺体安置所として使われたという。 そのため、学校に出るという幽霊は、 戦争がらみの人たちが多かった。
「焼夷弾が、ふってきて・・・。」と父はよく言うが、 焼夷弾はふってくるものではなく、 誰かの意思によって落とされたものだ。 そして、その意志によって、 普通の生活を、一瞬にして奪われ、 普通の生活に帰ってこられなかった人のために。 鶯が、のんきに飛べる春を、 私達はいつまでも、大事にしなければならない。
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