ぶつぶつ日記
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2002年02月06日(水) 粋でいなせな女ー大好きな女2−

粋でいなせな、小またの切れ上がった女性、
と言ったら誰を思い浮かべるだろうか。
絽の着物の似合う、背筋のしゃんと伸びた江戸の女をイメージする言葉だが、
私が最もこの形容を謙譲したいと思う女性、
それはマレーネ・ディートリッヒだ。

マレーネ・ディートリッヒ
1901年ドイツ、ベルリン生まれ
1992年パリにて死去
女優

初めてディートリッヒの映画を見たのはいつの頃だろうか。
それは多分、ファッション系の専門学校に入学し、
「ハリウッドの商業映画なんて、いけてない(今風に言うと)。」
とななめに構え、
単館ロードショーのヨーロッパ映画や、
リバイバル映画を観に行っていた頃だったと思う。
最初に見た映画は、ビリー・ワイルダー監督の「情婦」。
ここでのその粋な悪女ぶりに、
今までいいとこアメリカの女優くらいしか知らなかった私は、
どっか〜んとノックアウトされてしまった。
日本人の言う「大人の女」と言うのが、
彼女の前ではほんの小娘、
本当の大人の女ってのは、こういう人のことなのかあ、と
ワクワクしたことを覚えている。

「情婦」でも、その他の映画でも、
彼女のイメージは奔放で退廃的な悪女が多い。
しかし、彼女が単なるセクシーな悪女を演じているだけだったら、
こんなに伝説にはならず、遠からず消えていく運命だったと思う。
そして、私も大してあこがれることもなかったように思う。
スクリーンで見る彼女は、確かに奔放で大胆、
男を破滅させるファムファタル、であるのだが、
しかしそれと同時に、心底惚れた相手には、
尽くして尽くして、自己犠牲を全く厭わないという、
2面性を持っている。
また、どんなに惚れた新しい相手が出来ても、
弱っている夫や恋人を、残酷に切り捨てられない母親のような一面も。

実際のディートリッヒも、スクリーンと同じような奔放な女性であったようだ。
結婚して子供がいたにもかかわらず、様々な男性と浮名を流している。
しかし映画そのままに、このドイツ時代に結婚した夫と離婚することはなく、
少々風変わりではあるが、家庭自体は円満だったと言われている。

わがままで気まぐれだったようだが、
その反面、時間に追いまくられながら彼女のドレスを作っている、
デザイナーのところの職人を自宅に招き、
手ずからスパゲッティ-を振舞うような気さくな一面もあり、
彼女を愛する人たちも多かった。

第2次世界大戦中には、祖国ドイツの敵に回り、
連合軍への慰安部隊に所属し、兵士たちに混じって野営もした。
彼女が歌った「リリー・マルレーン」は、
それを聞いたドイツ兵の士気を落としたと言われており、
もともとドイツにディートリッヒを抱きこみたかった
ヒットラーから懸賞金をかけられていた時期もあった。
例えそれが祖国であったとしても。
正しくないのであれば、自ら望んで敵に回る。
それで、今後ドイツに帰れなくなったとしても・・・・。
(実際戦後、彼女はかなり長い間ドイツには帰れなかった)

晩年はパリに住み、主にリサイタルなどで活躍していたが、
70歳過ぎても往年の曲線美は健在で、
年をとることも全て、大らかに受け止めてどっかり生きている所に、
ドイツ人らしさを感じてみたり、
それでも「私は女よ。」と、
いくつになっても女を捨てていないところもあり、
バイタリティー溢れる意地悪婆さん、みたいな老後もいいなと思う。

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「モロッコ」のラストで、金持ちの婚約者を振り切り、
ハイヒールを脱ぎ捨て、愛する男の跡を
砂漠へと追っていく彼女の姿は、
虚構のものだけではない気がする。
その道がどんなに過酷でもつらくても、
自分が望む道を正しいと信じて歩いていく。
例え愛する男とはぐれ、砂漠で死ぬことになっても
後悔はしないだろう。
そう思わせる瞳の強さが、とても好きだ。

お勧め映画
・情婦
・監房X27(漢字忘れました。っていうような題名だったと思う)
・モロッコ
・天使(エルンスト・ルビッチ監督作品)



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