サッカー観戦日記

2020年07月11日(土) J2 京都−福岡 雑感

まず状況について。新型コロナウィルス禍の只中、観客を入れてのJリーグ再開である。今季から完成し供用開始した京都スタジアムは2万人以上収容できるが、5千人限定でしか観客を入れない。昔話を。昔、高槻市バスは亀岡駅まで乗り入れていた。しかし今の流れは市域を越えて市バスを運行しないというものである。高槻でいえば樫田地区の杉生でバスが止まってしまい、亀岡駅へ行くには、いったんJRで京都駅に出てから山陰本線で亀岡駅まで行かなきゃならない。ただし今の山陰本線は電化し保津峡もトンネルで抜けるので随分早くはなっているが。京都駅からの時間は西京極より早いだろう。人との距離が近い「密」を避けるべく、キックオフ2時間前に亀岡に着き、余裕をもって入場しようと思ったら案外人が多く待機列ができている。前の人と1メートル以上空けて並び、不慣れなQRコードチケットで入場する。体温を測定されたかは憶えていないが自宅での体温測定から言って余裕だろう。マスクはいささか息苦しい。夏場はきつそうだ。バックスタンドアウェイ側3階に陣取る。そしてお茶や弁当を食べて、人気絶頂の「鬼滅の刃」のコミックスを読む。

さて京都スタジアムは個人的に3度目の「こけら落とし」と思っている。1度目はもちろんオープン初戦のプレシーズンマッチのC大阪戦。練習試合には行かない主義だが、無事行けた。そのときの印象は動き方が整理されていない印象。2度目は翌週の京都あ高校新人戦男女決勝。これは初の公式戦だ。私はJクラブが自前でサッカースタジアムを建設するのに反対派だ。なぜなら各県に少なくとも一つJ1クラスの公共のサッカースタジアムを建設するのは行政の義務だからだ。どこの県にも立派な野球場や陸上競技場はある。しかし大勢入るスタンドは活かされていない。特に陸上競技場のスタンドはサッカーを除くと50年に1回の国体開会式でしか役に立たない。全くばかばかしい話である。Jリーグはプロ、アマチュアのためにスタジアムは税金で作ってもいいが、プロの為ならダメという理屈はカビが生えている。世界的にプロアマの身分差別は禁止されている。そういう発想は古臭いアマチュアリズムの時代から常識をアップデートしていない人の理屈だ。加えて地方の野球場の収容人数は数年に1度のプロ野球の地方興行の為に作られた、採算性度外視のものだ。野球は特別で、優遇してもいいという発想が、未だに古臭い日本人の中にはいる。もう一つ、私がJクラブによるサッカースタジアム建設に反対するのは、高校サッカーや大学サッカーで使わせてくれないからだ。今は全国的に高校選手権の県大会は準決勝からはスタジアム開催だ。今後は準々決勝からスタジアム開催に変わっていくだろう。そのために使えるスタジアムがないのは残念だ。むろん陸上競技場は使いたくない。陸上競技場を支えるのは陸上界に汗をかいてもらう。

さて、再開後の京都だが、磐田戦をテレビで観る限り素晴らしい。過去二年間、監督の手腕は1試合で断じた。普通フットボールというものは監督の能力を1試合で断言できるたぐいのものではないが、過去2年間が極端すぎた。つまり一昨年の布部監督はあまりに不出来、昨年の中田監督は逆に上出来だった。で今年の實好監督である。フットボールは生で観なければ分からない。


京都           福岡
−−−野田−−ウタカ−− −−−−−−−−−−−−
−−−−−庄司−−−−− −−−−−−−−−−−−
荒木−金久保−福岡−飯田 −−−−−−−−−−−−
−−安藤−バイス−森脇− −−−−−−−−−−−−
−−−−−若原−−−−− −−−−−−−−−−−−

京都のフォーメーションについて。実際は5−3−2に近い。相手のパスが回れば野田が中盤に引き、当然運動量は多くなるが、行けるところまで飛ばして走れ、という策である。GKはまだ若い若原。才能は本物だ。3バック、というより5バックの森脇は声がよく出て辺りに強く攻撃面でもいいベテラン。代表歴あり。バイスは別格。守備の要で危機察知能力・高さ・ロングフィードとも見事。ただし彼に頼らないのが森脇の良さでもある。安藤も堅実だ。この3バックはギリギリで身体を張れるし、素早い寄せや思い切ったシュートブロックなど戦術だけでなく、個々の頑張りもある。右アウトサイドの飯田はテレビで観た限り爆発的なスピードで、何故今まで無名だったのだろう、と思ったが、生で観て分かった。クライフの「速く走ることは重要だが、いつ走るかはもっと重要だ」というやつだ。動き出してほしいときに動き出してない。つまり頭の切り替えが遅い。左の荒木は左右両足でいい左クロスをあげる。庄司は下がり目から強いパスを出す。ウタカは高さ、強さ、スピードを兼ね備え、J1でも豊富な実績を誇るエース。

さて福岡が細かく素早いダイレクトパスを多用し崩しにかかる。これに対し京都の中盤はバックラインと距離を詰めてスペースを潰すなり、攻撃時にいい位置でパスを受けるなり出来ず、ポジショニングがおかしい。混乱している。しかし若原のスーパーセーブ2発で止めて耐え、徐々に良くなる。そして右クロスを野田のヘッドで決めて京都先制。前半は苦戦だった。これは磐田戦も同様だ。しかし後半は圧倒。パスが次々につながり、しかも福岡とすれば不可抗力のシュートブロックをハンドととられ、PKをウタカが決めて追加点。京都びいきからすれば信じられないほどの快勝だった。

今期も1試合で断定できそうだ。つまり實好監督は優秀だ。J1昇格も狙える。昨年の中田監督は前年度のJ3降格争いを演じた布部監督の負の遺産があったから、いきなりJ1昇格を狙うのは厳しかったが、今年は積み上げがある。大いに期待できそうだが、ただまた新監督なので、期待しすぎないで楽しもう。


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T.K. [MAIL]