サッカー観戦日記

2020年02月15日(土) 京都高校新人戦準決勝 京都橘−京都廣学館 京都共栄−久御山

京都府高校新人戦の決勝は新しいサンガスタジアムで行われる。勿論行くのだが、この日のスケジュールだと比較的楽に見られる準決勝観戦を選択した。京都市フットボールセンター。ただしメイン側は関係者以外は観戦不可ということで、朝までの雨で湿っぽいバック側にチラシを敷いて腰を下ろし観戦するしかなかった。なかなかタフな観戦コンディションだ。むろん運営は何も悪くない。京都のサッカー界にいい会場を確保できない我々大人の責任だ。

京都橘が凄いのは実績のあるチームでありながら変化を恐れないこと。昨年はスピードあふれるサイド攻撃が武器だったが、今年のチームはデカい。当たり勝つ。一方の京都廣学館は近年強化を進めているチーム。

京都府高校新人戦準決勝
京都橘高校−京都廣学館高校
2月15日 11時 京都市フットボールセンター 人工芝 晴


京都橘          京都廣学館
−十八−−八二−−七七− −−−−−二四−−−−−
−−−−−−−−−−−− 七番−十九−−六番−十一
六七−八十−−十番−七番 −−−−−九番−−−−−
−−七六−七八−七一−− 二番−三番−−四番−五番
−−−−−八四−−−−− −−−−−一番−−−−−

立ち上がり、双方センターフォワードがパワフルなことがすぐわかる。京都廣学館24番は強いのだが、責任感からかサイドのボールも全部競りに行く。これではスタミナが厳しいし、味方を信じて中で待てばいずれいいクロスが入るかもしれないと思った。9番が攻守のカギ。というか中盤から前でミドルパスを持っているのは彼だけだ。全体的にテクニックが荒い。センターバック陣は強靭な京都橘82番に対抗できる。しかし京都橘3トップが流動性を高めるとマークが浮き、苦しくなった。82番は足元も上手い。そして67番はレフティーだが両足蹴れる素晴らしいクロッサー。7番はタテ突破が武器。80番は展開力、10番は飛び出せる選手。ストッパー陣は持ち上がれるが、余っているから持ち上がるだけで、本来そう上手い選手には見えない。
さて京都橘は77番と18番のコンビネーションが良く、いきなり77番のパスを18番がキーパーと1対1もキャッチ。超決定機。徐々に京都廣学館は蹴るしかなくなる。しかし左の2番からはいい左足フィードも。29分、18番のスルーパスに77番右シュートが左隅に決まり1−0。ロスタイム、67番が左深くで持ち、切り返し右足でグラウンダークロス、82番が下がって受けて決める。2−0。更に放り込みを82番が決め前半は3−0で終了。

後半開始。67の左クロスを18合わせるがポスト。後半9分、67の右コーナーを18押し込むがファウル。後半16分、67番、左カットインミドルを叩き込む。7番の右マイナスクロスを10番蹴り込み5−0。更に60番ループシュートはクロスバー。ロスタイム右61番から14番とつなぎ10番蹴り込み6−0。力の差、自信の差をひしひしと感じた。

京都橘について。高速パスワークは見られなかったし、現時点で昨年の同時期ほどの力はないが、何せフィジカルがあるので、今期のニュー京都橘に期待だ。毎年それなりのチームに仕上がるのが京都橘。
京都廣学館について。真っ向勝負に出て大敗した。フォーメーションの相性が悪かった。総体や選手権では対策を練るだろう。基本的には守備のチームという印象。ポテンシャルの高い選手は24番を除いて後方にいる。あとはアーリークロスを放り込むという実戦的な戦い方もあるだろう。





京都府高校新人戦準決勝
京都共栄高校−久御山高校
2月15日 13時30分 京都市フットボールセンター 人工芝 晴


久御山は全国高校選手権準優勝時の監督の松本先生が定年退職され、2年目になる。どう変わったかチェックしておきたかった。対する京都共栄は福知山の高校。近年福知山勢が凄くて、京都府1部リーグ全10チーム中3チームが福知山勢だったことがある。福知山成美と京都共栄だけなら私学が強化してサッカー留学も……ということになるのだが、普通の府立校の福知山まで1部リーグだったのだ。これは福知山のサッカーに何か起きた、と考えざるを得ない。実情は分からないが。



京都共栄         久御山
−−−−−九番−−−−− −−十番−八番−九番−−
−−−−−十五−−−−− −四番−−十四−−七番−
十四−十番−−四番−十一 −−−−−十三−−−−−
十六−三番−−五番−六番 −−六番−三番−五番−−
−−−−−一番−−−−− −−−−−一番−−−−−

さて久御山だが過激なアヤックス・スタイルの3−4−3。あまりに攻撃的すぎる。アヤックスは圧倒的に支配できたから成立するのだが、高校サッカーにおいて都道府県トップクラスで圧倒的支配はなかなか難しい。しかも京都共栄は久御山のボランチ13番に15番を当て、パス回しを寸断してきた。こうなるとストッパーが持ち上がることになる。久御山はストッパーも運べるのだが、あまりに大胆だ。14番は大柄でキープできる。ただし急に体格が大きくなって動きが鈍くなった選手のようにドリブルに切れがない。男子サッカーあるあるだ。10番にもそういう傾向はみられる。京都共栄9番と久御山3番は空中戦でも地上戦でもバチバチやり合う。高さも足元もある。京都共栄10番はアフリカ系で、ミドルパスがあり、詰まったら預けて何とかしてくれる。京都共栄の奪いどころ、はめ方が良く、サイドバックが上がるまでもなく攻め切り、ペースをつかむ。しかし前半はスコアレス。

ハーフタイムで京都共栄はレフティーのセットプレー担当19番をトップ下に入れ、引き続き久御山13番を見させるが、守備がルーズで、一回集中が足りず13番にスルーパスを通され、味方が警告を受けざるを得ないプレーが出る。守備が苦手なのか、ゲームに入れなかったのか、とにかく誤算だったのでは?セットプレーのキックも正確ではなかった。不調か?15番は左ハーフに。15番にはドリブルあるので。久御山がラッシュの時間帯もあったが、京都共栄も持ち直す。久御山は14番を諦め、5番をトップ下に。ストッパーがトップ下も出来るのが久御山のクオリティー。更に2番を左ウイングに。京都共栄も19番を諦め、7番をシャドーとして久御山13番を見させて、いきなりいいシュートも放つ。しかし久御山キーパーはこれも含め2本好セーブ。結局0−0で70分間終了。10分ハーフの延長へ。

延長でも点が入らずゲームは引き分けでPK戦へ。記録はつけなかったがサドンデスで京都共栄が勝ち、サンガスタジアムの決勝に進出した。

勝敗?の帰結は順当だった。久御山はポゼッションもままならず、決定的な打開力もなかった。パス回しで詰まったら「打開しろ」と声がかかるのは流石久御山だが。完全に京都共栄が策にはめた。交代選手の層も双方厚かった。ポテンシャルは高い。やはり現時点での完成度はまだまだだが、今期が楽しみだ。


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