サッカー観戦日記

2019年09月21日(土) 高校女子選手権大阪大会決勝リーグ 大商学園−追手門学院 大阪学芸−大阪桐蔭

高校女子選手権大阪大会はベスト4による決勝リーグが行われ、2位までが関西大会に進出する。第1戦で大商学園と大阪学芸が勝っており、この日両校が勝つとともに2勝で最終戦を待たずに2位以内が決まる。ピッチは観づらいS10。重要なゲームだしS8かS11を取れなかったものか……。

高校女子選手権大阪大会決勝リーグ
大商学園高校−追手門学院高校
9月21日 堺S10 9時 人工芝 晴

大商学園         追手門学院
−−−八番−−十一−−− −−−八番−−十一−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
十番−十四−−五番−七番 六番−七番−−九番−五番
二番−四番−−三番−六番 二番−四番−−三番−十番
−−−−−一番−−−−− −−−−−十二−−−−−

立ち上がりから追手門学院の最前線から大商学園のセンターバック陣に猛烈なプレッシャーをかけ続ける。大商学園の特徴は伝統的にセンターバックの強みであり、特にビルドアップ能力が高い。3番と4番のビルドアップ能力はおそらく全国でも1,2を争うレベルだろう。その二人にプレッシャーをかけるとゴールキーパーの指示で戻し、キーパーを含めた3人で組み立てる。ゴールキーパーはよく声が出てバックラインを自在に操る。左ハーフ10番は体格があり、エース格で、14番はパワフルで激しい潰しがあり、技術的にも安定している。7番はスピードあふれる突破が武器。追手門学院は左サイドバック2番が左足で組み立て、10番もクレバーでサイドバックの組み立てもあり、両サイドバックが大商学園のサイドハーフを止めようとする意図が感じられる。これに対し、大商学園のサイドハーフはカットインし、インサイドとのコンビネーションで追手門学院のセンターバックとサイドアップの隙間を狙ってくる。一つには大商学園のフォワード陣のポジショニングが良く、上手く追手門学院のマークを乱していることがある。また追手門学院が前線から猛烈なプレッシングをかけていることもあり、インサイドの負担が大きく、後方の守備まではなかなかできないこともある。19分、大商学園、10番が左から仕掛け、カットイン、ワンツーで抜け出すところを倒されPK。これを10番が自ら右に決める。追手門学院ゴールキーパーはあえて動かず。1−0。大商学園5番はスペースが与えられドリブルを見せるようになる。22分、大商学園11番から10番、8番、のダイレクトパスで繋ぎ、右パスをファーで10番が蹴り込み2−0。大商学園はセットプレーを14番が右足で蹴り、万能プレーヤーぶりを見せる。そして7番がフォワード、14番が右ハーフ、8番がボランチというポジションチェンジ、14番が右を突破、追手門学院4番が故意に倒し警告。前半は結局2−0で終わった。追手門学院はシュート0。大商学園は右クロス6、左クロス0。徹底的に左でタメて右クロスを入れる戦術である。大商学園のエース10番はタテ突破は少なく、体格を活かしたキープやコンビネーションで崩すプレーを多用する。

ハーフタイムで再びボランチを14番5番のコンビに戻し、8番が右ハーフ、7番をフォワードにする。そして56分、大商学園が放り込み8番が右シュートを決めて3−0とし、勝負を決定づけた。以降16番を左ハーフに入れて10番をボランチ、11番もボランチに下げてコンビを組ませ9番を右ハーフに投入、7番と8番で2トップを組ませる。テストもあるだろうが、この柔軟性、誰がどこに入ってもチームが機能する戦術理解力こそ大商学園の強みでもあるのだ。あとで分かるのだが第2試合の結果、追手門学院は今回もベスト4の壁を越えられなかった。ほかの地区なら全国に十分行ける力はあるのだが、大商学園は前からプレッシングに行ってもいなすだけの力があるのでどうにも止まらないのだ。追手門学院が壁を超えるのには一度勢いに乗って勝つ経験を積むしかない。

なお10番は高原、8番は稲垣というらしい。




高校女子選手権大阪大会決勝リーグ
大阪学芸高校−大阪桐蔭高校
9月21日 堺S10 11時10分 人工芝 晴

大阪学芸         大阪桐蔭
−−−七番−−十一−−− −−−十番−−七番−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
十番−六番−−八番−十三 九番−十七−−六番−十一
十四−四番−−五番−二番 三番−五番−−四番−八番
−−−−−一番−−−−− −−−−−一番−−−−−

大阪学芸の監督はC大阪などで監督歴のあるS級ライセンス持ちの副島さん。パスでの組み立てに定評がある。双方技術的には互角だが、パスワークと身体能力で大阪学芸に分がある。大阪桐蔭はスピードはあるが当たり負ける。長身センターフォワード11番や高くて技術もある7番の2トップに対し大阪桐蔭は大苦戦。10番も大きい。これに対し大阪桐蔭は左ハーフ9番が爆発的なスピードがあるが大阪学芸キャプテン2番が距離を取る守備で抜かせない。そこでカットインを狙うが素早い集散で囲まれてしまう。大阪桐蔭は右サイドバック8番も速いが、上がるチャンスがない。そして大阪学芸10番との体格差の前にキープを許す。5分、大阪学芸、左フィードから10番倒されPK。これを11番決めて1−0。12分には2番の右フリーキック11番に出しクロスを4番に合わせるが外れる。左コーナーキックも2番が担当。高さに差があるので大阪桐蔭はマンマークで守る。というか、他に手がない。が中央のストーンに小柄な8番を置くのが不安だ。とにかく高さが足りないのだ。29分、大阪学芸11番がひざを痛め、バツ印。交代。誰かがセンターバックに入り5番が左サイドバック、14番が右ハーフ、13番がフォワードに。14番は爆発的なスピードのある能力の高い選手。13番は飛び出せる選手。こうなると7番がポストプレーもこなせるということが大阪学芸にとっては大きい。その後も6番のフリーキックから14番が決定的シュートを放つが、流れとしては大阪桐蔭がややペースをつかむ。前半は1−0で終了。

後半に入り、大阪桐蔭はサイドのスピードが活きてくる。そして58分(後半18分)、大阪桐蔭8番の右アーリークロスに逆サイドの9番が見えたのであろう、大阪学芸キャプテン2番が無理な体勢でもないのに自陣ゴールの叩き込んしまう。オウンゴール。1−1。しかしここで崩れないのが強いチーム。勢いに乗る大阪桐蔭に対し、62分、大阪学芸カウンター、7番が大阪桐蔭DFの頭の上を浮かせて抜いてGKとの1対1を沈め、2−1と突き放す。更に79分、カウンターから追加点を決め3−1で大阪学芸が勝利した。

何というか、大阪学芸と大阪桐蔭の力関係が逆転しつつある印象。先天的なタレントで大阪学芸に分があった。そしてこの結果、最終戦を待たずに大商学園と大阪学芸の2位以内が決まり、関西大会進出を決めた。最終戦は大商学園が大阪学芸を1−0で下し、1位となった。


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