サッカー観戦日記

2016年05月21日(土) 高校総体奈良大会準々決勝 香芝−法隆寺国際 郡山−橿原

ここのところ奈良準々決勝は総体も選手権も山奥のホテルの付帯施設のポスコヴィラ開催だったが、今年は公営の競技場なので公共交通で行ける。南海で橋本に出て10分ほどで最寄りの駅でそこから20分強歩いて公園入口。そこから野球場の裏なので時間がかかったが、人工芝と古いトラックの陸上競技場が会場だ。とは言え、和歌山県境のこの会場で準々決勝を開催せざるを得ないところに奈良県のサッカー環境の貧しさを痛感せずにはいられない。
香芝はここのところ常に全国大会に絡む強豪。法隆寺国際もプリンスリーグ経験があるし、やはり例年一定の力がある、

高校総体奈良大会準々決勝
香芝−法隆寺国際
5月21日 9時30分 五條市上野公園多目的グラウンド 晴 人工芝

香芝           法隆寺国際
−−−十番−−十一−−− −−−−九番−−−−−−
−−−−−八番−−−−− −−−−−−十番−−−−
−九番−−七番−−十六− 十一−八番−−七番−二二
六番−三番−−四番−十三 五番−十八−−二番−四番
−−−−−一番−−−−− −−−−−一番−−−−−

香芝はすぐにCBが強力なことが分かる。法隆寺国際は強靭なCF9番にどんどん当ててくるが、2CBの3番4番がきっちり封じ、パワーでもそう引けを取らない。7番はキープ力抜群で捌くパスも正確で、運べるボランチ。8番は加速するドリブルから決定的なパスを狙う。9番は鋭いターンからタテ突破を見せる。しかし法隆寺国際の対策を立て22番がタテを切る。すると中にカットインを見せるが、罠にはまった感じで効率的にプレー出来なくなった。11番は非常に足が速い。10番がタメを作る。対する法隆寺国際はGK、5番、8番がレフティー。8番は能力が高く、香芝のキーマン、8番を抑える守備力と正確なキックがあり、セットプレーも任される。両サイドはタフに走り回り、10番が変化をつける。しかし何というか、最後が9番と分かっているので、香芝にすれば守りやすい印象。さて1分、香芝16番が右に回りながらグラウンダーミドルは右ポストを叩く。決定機。試合の入り方、試合運びは香芝のほうがずっといい。12分、香芝右CK、7番の右足に4番ニアで逸らし、決まって1−0。16分、香芝8番カットインシュート、いい形。法隆寺国際は7番が攻撃的な選手だが守備力が足りず、8番を自由にしてしまっている。18分、香芝、右クロスに中で潰れ、ファーで9番流し込むがオフサイド。23分、法隆寺国際、8番が右CKを左足で正確なボール入れるがクリア。26分、法隆寺国際、左CK、8番のキックが中にこぼれ9番シュート、決まって1−1。法隆寺国際が11番もマークを外す動きを見せており、CKの際の香芝のゾーンがいまだ未完成であることを示した。高校レベルならゾーンが完成すれば破るのは至難だが。35分香芝左CK、こぼれをカウンター、法隆寺国際9番シュートも正面。決定機。前半は1−1で終了。

前半シュート数5(2)対2(2)、CK数4対2、GK数1対3、オフサイド1対0、クロス数4対0、ファウル数4対5、FK数1対1。力量に優る香芝に対し、法隆寺国際が上手く粘っている。

後半立ち上がり、香芝1ボランチ7番が持ち上がり仕掛けるシーンが散見され、攻撃的意識を見せつけるためか、気迫かと思ったが、焦っているようにもみえ、まだ攻めあがる時間帯ではないと思った。また9番もカットインから裏へのパスを多用するが11番に合ってない。しかし45分(後半10分)、16番のミドル、GK触るがこぼれを快速11番が素早い反応で流し込む。2−1。50分、法隆寺国際11番→6番。11番はよく走った。香芝のサイド攻撃を封じる大活躍だが、攻撃面が弱くなっていた。52分、香芝、カウンターから8番、中央突破、右に外れる。決定機。54分、香芝、右CK7番の右足をクリア。55分、香芝10番→23番。カウンター狙い法隆寺国際とすれば、」チーム1のキック精度の8番を左ハーフにおいてクロッサーとして9番を活かせれば、とは思うが、そうなると中央の守備が格段に弱くなってしまう。香芝のインサイドが強力だけに、そこまでギャンブルしづらい。8番は読みもよくカットも多いし。63分、香芝18番→13番。FW。長身。バックラインを削ってきた。67分、香芝8番鋭いドリブルから16番右クロス、23番流し込む。3−1。法隆寺国際はやむなくバランスを崩し、スペースを与えていたので仕方ない。香芝。?→18番、9番→19番。69分、香芝16番に警告。距離不足。結局3−1で香芝が勝利した。

シュート数6(2)対1、CK数3対1、GKすう1対7、オフサイドなし、クロス数3対1、ファウル数4対10、FK数1対1。

香芝は層が厚かった。3番を中心に声も出ていたし、全体に穴がなく順当な勝利。ただし法隆寺国際もしっかりしたゲームプランで終盤まで食らいついた。2ポストにしてからも8番を左サイドに回せなかったボランチの層の薄さが響いて、単純にクロスを上げられなかった。とは言えいい内容だったと思います。




第2試合はここのところ奈良の代表校争いに大きく絡む郡山と、それに準じるレベルの橿原である。ともに奈良県一部リーグ。


高校総体奈良大会準々決勝
郡山−橿原
5月21日 11時15分 五條市上野公園多目的グラウンド 晴 人工芝

郡山           橿原
−−−十番−−十八−−− −−−−−四番−−−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−十九−−−−−
二五−八十−−七番−十一 九番−十番−−十八−十一
四番−五番−−八番−二十 六番−五番−−三番−二番
−−−−−十二−−−−− −−−−−一番−−−−−

橿原ベンチの作戦ボードによると橿原は4−4−1−1だが、4番と19番がポジションを入れ替えたり2トップになったりと、かなり流動的。4番なかなか屈強。10番がリケルメを思わせる古典的なゲームメーカーで、ドリブルでボールを運びつつじっくりスルーパスを狙ったり、ペースを落として短くつないだりと、自在にコントロールする。また彼の個性に合わせるように、橿原は短くつなぐ時間帯もあればシンプルにタテだったり、サイド攻撃だったりと菜かな柔軟である。郡山は徹底的にショートパスを繋ぐスタイルで、キーマンは80番で郡山には珍しいダイナミックなプレースタイルで変化をつける。そして中から攻め、サイドに出してもクロスは上げず、引きつけて中に繋ぐ。すぐにチーム力は互角だと思った。11分、橿原放り込みに4番シュートは右に外れる。決定機。14分、橿原、右CKを11番右足で入れるがクリア。この試合は暑いので給水タイムを取る。20分、郡山、右CK、25番が左足で担当。このキックが風上でもないのに大きく、しかも急激に曲がり、逆サイドネットに直接突き刺さる。1−0。スーパーなキックだった。25番は一芸選手だと思うが、魔法の左足だった。持って生まれたセンスを徹底的に磨き上げたのだろう。努力がうかがえる。更に郡山、裏を取った10番が飛び出した橿原GK1番の前で触り、右に外れる。超決定機。段々橿原のミスが出てきた。31分、橿原9番左でトップスピードに乗り、左クロスは合わず。32分、郡山11番ミドルは上に外れる。前半1−0で終了。

前半シュート数3(1)対1(0)、、CK数1対1、GK数7対4、オフサイドなし、クロス数1対4、ファウル数1対2、FKなし。互角のゲームはセットプレーで、というお約束通りの内容。

後半開始。37分(後半2分)、橿原9番左から突っ込みシュート、正面。39分、橿原2番から10番ドリブルからスルーパスは合わず。41分、橿原、左クロスに4番上手いヘッド、左上を襲うがキャッチ。上手いヘッドだったが、体勢が無理目だった。44分、郡山25番、左からクロス、中でシュートは上に外れる。45分、郡山、右CK、25番の左足、4番ループヘッド、上に外れる。決定機。48分、郡山、右グラウンダークロスに10番巧みなターンで前を向きシュート、決まって2−0。後半は橿原ペースもわずかなチャンスを決める。郡山は自陣からゆっくりショートパスを繋ぐチームらしく、距離感が短く、また守備時にもコンパクトなので橿原が支配を高めても守り切れる。郡山20番→21番、7番→3番。ポジションそのまま。51分、橿原19番→8番。18番の右CK、9番ボレーは上に外れる。橿原、11番→7番。52分、橿原ロングパスを4番シュートも正面弱い。郡山は前半攻撃的だった80番が後半は守備力でチームに貢献する。下級生のような背番号だが、堂々たるプレーぶり。10番は裏が狙えて足元にも収まるいい選手。劣勢でも攻勢でもクオリティーが高い。53分、郡山25番→17番。そのまま左ハーフ。25番はあれだけ正確なキックを持ちながら左クロスは1本だけだった。繋ぐ郡山のスタイルはあるが、突破がイマイチで、警戒を崩すだけの突破力がなかった。58分、橿原、またも10番仕掛けてスルーパスが9番へ、合わず。10番はスルーパスのセンス抜群だが、郡山が密集を保つので、通りにくい。61分、橿原9番→14番。左ハーフ。63分、郡山21番の右クロスに3番ヘッド、バー。決定機。押されている郡山だが、ゴール前でのクオリティーは高い。橿原6番→15番。郡山11番→22番。66分、橿原のGKのキックを郡山10番ブロック、ゴールライン割る。ゴールキック。71分、橿原7番の突破に15番ターンシュートは上に外れる。決定機。結局2−0で郡山が勝利した。

後半シュート数3(1)対11(7)、CK数1対1、GK数6対4、オフサイドなし、クロス数1対4、ファウル数4対2、FK数2対0。

後半は支配では橿原だったが、決定機ベースだと互角か。橿原は10番がうまくコントロールしたが、郡山のコンパクトな守備を破れず。互角な内容をセットプレーでモノにして、後半はよく耐えた郡山のゲーム運びの巧みさが、チームとしての伝統の差か?勝負強さばかりは伝統がなければ身につかないから。郡山は今年も確実に奈良の優勝候補であることを示した。橿原も力だけなら十分なのだが、リーグ戦でも思ったが、試合運びで敗れた。何か1度勢いに乗って奈良を制すれば、一気にブレイクする予感はあるのだが。


 < 過去  INDEX  未来 >


T.K. [MAIL]