サッカー観戦日記

2014年08月31日(日) 全日本ユース(U-18)フットサル 3決 野洲ー寒川 決勝 名古屋ー聖和FC

大会最終日のカードは3決・決勝ともグループリーグで対戦したチーム同士のカードとなった。3決の野洲対寒川はグループリーグでは7対4で野洲が勝っている。しかしフットサルの大会というものはフットサル慣れしていないチームがいるので、大会期間中の成長が著しく、得てして結果が読めないものだ。


全日本ユース(U−18)フットサル大会 3位決定戦
野洲高校−寒川高校
大田区体育館 11時

野洲           寒川
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
−−−−−久保−−−−− −−−−−小山内−−−−
−−−林−−−−飯塚−− −−山内−−−−児玉−−
−−−−−布施−−−−− −−−−−森−−−−−−
−−−−−福永−−−−− −−−−−大石−−−−−


滋賀県立野洲高等学校サッカー部 監督:植村尚矢
GK 52 福永蓮
FP 26 林昂希
FP 34 久保文哉
FP 39 飯塚理仁
FP 61 布施江樹

控え選手
GK 30 徳永カイオ
FP 28 植本昌孝
FP 32 マチウシ レナン
FP 40 上原一輝
FP 45 川添優馬
FP 47 川端築 (Cap.)
FP 53 前田晴司

藤井学園寒川高等学校サッカー部 監督:岡田勝
GK 12 大石直輝
FP 9 森健介
FP 14 児玉直樹 (Cap.)
FP 32 川西恭平
FP 34 小山内祐介

控え選手
GK 1 平見友壱
FP 4 田村歩美也
FP 6 村川翔太
FP 11 榊田尚也
FP 28 田中優暉
FP 30 小野征太郎
FP 37 山本和弥

開始すぐに寒川がロングボールと、ゴールクリアランスをほぼ全て野洲ゴール前に入れてくる割り切ったフットサルを仕掛けてくることがわかる。選手は止めて蹴る基本はしっかりしているが、派手なテクニックやフットサル的なパスワークは身につけていない。そういう状況下で自分たちに何ができて何ができないのかをよく考えたスタイルだと思う。おそらくこのチームはフットサルの練習はそれほど積んでいない。それだけに体育館サッカーなのだが、その土台のサッカー的な能力が高い。対する野洲は前日同様布施に対する依存度が高いフットサル。ただ引き気味の寒川を崩すだけの柔軟性は布施以外はない。残り13分48秒、寒川浮き球を榊田に入れて胸でトラップから反転左足ボレー、ゴールに突き刺さる。マンガみたいなゴール。場内唖然。勢いに乗った寒川は直後にも児玉がポスト直撃弾を放つなど押せ押せとなる。8分35秒、小山内が速攻から左ループ。0−2。8分03秒、ロングボールを児玉が競って落とし小山内ボレーで決めて0−3。残り2分51秒、野洲、久保が左から決めて1−3。1分51秒、寒川・川西が競って小山内が決める。1−4。0分30秒、寒川・児玉のポストプレーから小山内が決める。1−5。前半終了。

寒川はポストシュートを連発。野洲は飛び込んでくる相手を捕まえ切れない。寒川は自分と相手を分析して、大会期間中に最適解を見つけたのだと思う。見事だ。

後半開始時は野洲はゴレイロも変えて第2セットでスタート。ただし布施を使わざるを得ないところがらしいといえばらしい。川端は非常にテクニカルでアイディアのある好選手。観ていて楽しい選手。徳永は反応が素晴らしい。前半の寒川のシュートはゴレイロにはどうしようもないものばかりだったが、交代して流れを変えたいのだろう。

野洲
−−−−−−−−−−−− 
−−−−−上原−−−−− 
−−川端−−−−久保−− 
−−−−−布施−−−−− 
−−−−−徳永−−−−− 

しかしペースは変わらない。そして野洲・上原が警告2枚で退場。13分51秒、寒川FK、榊田の左足がさく裂する。1−6。フットサルでは得点直後に5人に戻れるので、野洲も5人になった。7分27秒、野洲、川添がヒールで落とし川端が狭い局面を通し、川渕が流し込む。2−6。野洲らしいトリッキーで細かい崩し。しかし7分01秒、寒川、前線で奪って児玉が決める。2−7。5分23秒、児玉が左シュートを決めて2−8。2分24秒、野洲・布施が自陣深くからドリブル突破、敵陣深くに侵入しラストパスを林に出しシュートがコース変わってオウンゴール。3−8。結局試合は3−8で寒川が勝ち3位に輝いた。

寒川は3人が8点取ったが、一人一人の止めて蹴るが正確でシュートも綺麗だった。榊田の左足は特別だったし、小山内の決定力も素晴らしい。児玉は身体を張り、ポストになったり自ら決めたりと大活躍。森はミスらしいミスがなかった。高校総体予選では県代表となった坂出商に準々決勝で敗れたが、これだけテクニックがあるなら、選手権も楽しみだ。

野洲は控え選手の3年生からフットサルチームを組んだようだが、選手権はどうするんだろうか。目立ったのはゴレイロ徳永とフィクソ布施、アラの川端。サッカーでもやれる選手だと思うのだが。


公式記録


さて決勝のカードもグループリーグの再現である。その時は名古屋が7対1で勝った。聖和学園は聖和学園FCと聖和学園SCの名義で2チーム出場しているが、普段はサッカーをしているらしい。もともとテクニカルなチームだが、フットサルのトレーニングは不十分なようだ。しかし聖和FCの方はグループリーグ1勝2敗で3チームが並び、得失点差1の差で突破して勝ち上がってきた。しかも2連敗後に最後に勝ってである。こういう経験は人生にきっと役に立つ。


全日本ユース(U−18)フットサル大会 決勝
名古屋オーシャンズU−18−聖和学園FC
大田区体育館 13時30分

名古屋 第1セット    聖和FC
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
−−−−−伊藤−−−−− −−−−−田畑−−−−−
−−新田−−−−水谷−− −−相原−−−−土屋−−
−−−−−北野−−−−− −−−−−石原−−−−−
−−−−−宮川−−−−− −−−−−三浦−−−−−

名古屋 第2セット    聖和FC 第2セット
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
−−−−−水野−−−−− −−−−−本郷−−−−−
−−村田−−−−村上−− −−小畑−−−−丹野−−
−−−−−濱出−−−−− −−−−−五藤−−−−−
−−−−−宮川−−−−− −−−−−三浦−−−−−

名古屋オーシャンズU-18 富田晃司
GK 12 宮川隼人
FP 3 伊藤啓
FP 5 北野聖夜 (Cap.)
FP 6 水谷颯真
FP 7 新田駿

控え選手
GK 16 大久保天貴
FP 4 濱出琢豊
FP 8 村上力哉
FP 9 脇山蓮
FP 10 水野拓海
FP 17 村田一輝
FP 19 川辺寛悟

聖和学園FC 監督:松山翔太
GK 12 三浦真之介
FP 3 土屋拓磨
FP 6 相原圭吾
FP 7 田畑寛実
FP 20 石原勇樹 (Cap.)

控え選手
FP 2 小畑慎治
FP 4 吉田和人
FP 5 丹野裕司
FP 8 嶋村仁志
FP 9 菅野晃也
FP 10 本郷光
FP 16 五藤大雅

さて立ち上がり、明らかに名古屋がおかしい。大胆なプレーがないのだ。前日は後ろに相手を背負っていても鋭いターンで前を向いたり、狭いところを通したりと思い切ったプレーで局面を打開していたのに、無難なパス回しに終始している。大一番のプレッシャーに負けている、飲まれている感じがする。一方の聖和FCがどんどんドリブルを仕掛けて打開するのとは好対照である。特に相原の打開力は素晴らしい。圧倒的な突破力がある。細かいタッチと上半身の揺れで幻惑し、間をスルスルッと抜けてくる。しかし聖和FCもフットサル的な要領はよくなく、決定機には至らない。

16分03秒、名古屋、左コーナーでファーに浮き球を出し、北野がボレーで決める。1−0。
ここで第2セットに交代。以降名古屋は小まめに交代するが、選手層の薄いであろう聖和FCはあまり交代できない。そして点が入っても名古屋は慎重で、聖和FCは大胆だ。残り3分45秒、聖和FC丹野が中央での細かい崩しから左足で決めて1−1。結局前半は1−1。セットプレーで取った名古屋と、細かい中央突破の聖和FCという、いかにもこの試合らしい得点だった。

後半も名古屋が速いパスを回すが、聖和FCの目の前でのパスで崩しには至らず。怖さを感じない。それでも12分13秒、右CKを脇山がニアで逸らし、決めて2−1。聖和FCも相原のシュートが左ポストを叩いたのを土屋が押し込み2−2に追いつく。そして8分55秒、聖和左から中に入れたボールが名古屋のFPの足に当たって跳ね上がり、手に当たって不運なハンド。レフェリーによっては取らないんじゃないかなあ。このPKを小畑が決めて2−3。ここでタイムアウトを取った名古屋がゴレイロを変えてパワープレーに出る。聖和FCは振り回され、消耗が激しいが、ここでも局面打開できない。聖和FCはルールの理解が徹底されず、相手を攻撃をしのいでゴレイロがボールを持った時、無人の名古屋ゴールにスローしてしまい、ゴールと勘違いして喜ぶも、むろんルールで禁じられておりノーゴール。この場合キックで入れれば決定的なゴールだったのに。このシーンに散見されるようにフットサルに不慣れなことがよく伝わってくる。しかし名古屋も攻めきれず、タイムアップ。2−3で聖和FCが優勝した。

公式記録

フットサルはメンタルゲーム。名古屋は「負けは許されない」みたいな感覚で自分にプレッシャーをかけて自滅した印象。おそらく大会最強チームだが、決勝では力を発揮できなかった。
修羅場経験の差か。聖和学園は近年高校サッカーで全国経験を積んでおり、今大会の選手たちはともかく、チームとして全国での修羅場を経験している。そのためのびのびプレーしてヒールリフトなどのトリッキーなプレーも見せていた。ユースのフットサル大会は今大会が初の全国大会開催となる。ゆえに名古屋は経験がなかった。しかしこの経験を活かせば、来年以降は真に強いチームになれる。間違いなく力そのものはあるのだから。

大会MIPは聖和FCの相原。副賞がサッカー用品5万円分というのが凄い。あれだけテクニックがあって突破できれば楽しいだろうな。聖和の主将・石原は初戦の大敗について「フットサルをしてしまった」と語った。フットサルを貶める意図とかではなくて、自分たちのスタイルを忘れ、外向きのプレーをしてしまったという意味だろう。そしてメンタルの強さに支えられ、際どい勝負を制した。

大会を二日間6チーム観て、思ったよりレベルが高いな、という印象を受けた。どのチームにもタレントはいるし、特徴もある。ただ、大学フットサルと比べると、名古屋以外は第1セットと第2セットに力の差があり、交代を小まめに行えなかった。だから1試合通じて好パフォーマンスを維持できなかった。今後はもっと専門的なチームが増えるだろうし、レベルアップに期待したい。


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T.K. [MAIL]