JFAは各種大会の整備を進めている。女子に関してはまだまだだが、男子では残るのは高校生年代のフットサル大会くらいだ。少し前フジテレビ主催の非公認高校フットサル全国大会があったが、すぐに潰れた。そして今年初めてJFA主催で全日本ユース(U−18)フットサル大会が開催される。
ユース年代のフットサル大会にはある種の懸念が付きまとう。つまり参加チームが真剣にフットサルを一つの競技として取り組んでいるかだ。サッカーの上手いチームが冷やかしや興味本位で出場とか、サッカーの練習の一環として出るとか、そういう恐れがある。小中学生のフットサル大会では、ロクにフットサルを研究していない、「体育館サッカー」のチームを多く見てきた。年々そういうチームは全国に出られなくなってきているし、専門チームも出てきた。しかし高校生年代は第1回大会だ。だから非常に不安もあった。とはいえ歴史の証人になるべく会場に足を運ぶ。2会場で行われるが、大会一番の目玉・名古屋オーシャンズU−18のいる大田区体育館を選んだ。グループリーグは木金で終わり、準々決勝からの観戦である。名古屋は圧勝でグループリーグを突破している。ご存知の通りトップチームは日本唯一のプロチームでFリーグに君臨し、アジアでもトップチームだ。
対する作陽は戦術的なサッカーで知られるが、フットサルはどの程度やれるか。監督はサッカー部の野村先生じゃない。プリンスリーグもあるし、サッカーのトップチームとは明確に分けているのだろう。アップが名古屋はいかにもフットサル慣れしたチームらしいものであるのに対し、作陽は最後PK練習をしていた。意味があるのだろうか。初めて見た。
全日本ユース(U−18)フットサル大会 準々決勝
名古屋オーシャンズU−18−作陽高校
大田区体育館 11時
名古屋 第1セット 作陽
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−−−−−伊藤−−−−− −−−−−岩野−−−−−
−−新田−−−−水谷−− −−山崎−−−−馬場−−
−−−−−北野−−−−− −−−−−絹川−−−−−
−−−−−宮川−−−−− −−−−−中尾−−−−−
名古屋 第2セット
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−−−−−村上−−−−−
−−濱出−−−−脇山−−
−−−−−水野−−−−−
−−−−−宮川−−−−−
名古屋オーシャンズU-18 監督:富田晃司
GK 12 宮川隼人
FP 3 伊藤啓
FP 5 北野聖夜 (Cap.)
FP 6 水谷颯真
FP 7 新田駿
控え選手
GK 16 大久保天貴
FP 4 濱出琢豊
FP 8 村上力哉
FP 9 脇山蓮
FP 10 水野拓海
FP 17 村田一輝
FP 19 川辺寛悟
岡山県作陽高等学校 監督:三好達也
GK 1 中尾光希
FP 2 山崎誠斗
FP 3 岩野圭佑
FP 5 絹川雄太
FP 6 馬場亮汰
FP 4 大島滉平
FP 8 長谷川源
FP 9 神出拓真 (Cap.)
FP 10 稲谷颯太
FP 12 貞森優作
FP 13 川崎修弥
FP 14 藤原宏行
残り16分09秒、名古屋・新田がカウンターから決める。新田は2年生とも思えない判断の早さと確かな技術がある。そして名古屋は明確な第2セットを用意し、選手を入れ替えるのに対し、作陽は選手層が薄いのか、第2セットを用意できず、疲れた選手が少しずつ変わるスタイル。藤原宏行は両足使いでテクニカルで意表を突くプレーができる。すでに中国プリンスが始まっているから、サッカーでのAチームに入っていないのだろうが、今期は作陽のAチームを観ていないとはいえ、これだけ上手ければAチームのレギュラー取る能力はあると思うのだが。名古屋・宮川は安定感のあるゴレイロ。作陽の無理目のシュートが通用する気配がない。また作陽はスペースに出すパスがずれる。ただし決して体育館サッカーではなく、フットサルの戦い方を研究して理解している。残り6分15秒、左の脇山のパスを村田シュート、これがオウンゴールになり名古屋2−0作陽。更に作陽は名古屋の猛攻を食い止めるためにファウルトラブルに見舞われ、残り3分05秒、第2PKを献上、濱出に決められ3−0。2分09秒にも第2PKを脇山に決められ4−0。この二つの第2PKでほぼ勝負は見えた。名古屋は北野の組み立て、脇山の仕掛けなど武器が多い。川辺も1年生とは思えないターンの鋭さで寄せづらい。水野はキレがチーム1。
後半は名古屋が第2セットでスタート。残り16分、名古屋の攻撃をしのいだ作陽がゴレイロ中尾が左サイドの絹川にダイレクトで正確なパスで速攻、絹川は相手の股間をパスで通し、藤原が左足でゴレイロの脇を抜き4−1。しかしその後作陽はハーフウェイラインを越えていないのにゴレイロに戻しFKを取られるなど不慣れを露呈し、残り11分22秒、水谷が決めて名古屋5−1作陽。10分36秒濱出が決めて6−1。10分12秒、村田が決めて7−1。その後も走力・技術・戦術とも名古屋が圧倒。7−1と完勝した。
力の差は歴然としていたが、作陽もそんなに悪いチームではなかった。フットサルになっていたし、努力は伝わった。
公式記録
第2試合は極端なまでにテクニカルなサッカーで知られる野洲が登場。サッカー部員から有志を募り4月からサッカーの練習後フットサルを練習してきたらしい。対するクラーク国際はサイトで調べると、フットサル選手の養成コースがあり、フットサル慣れの予感がする。
全日本ユース(U−18)フットサル大会 準々決勝
野洲高校−クラーク記念国際高校
大田区体育館 13時30分
野洲 クラーク
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−−−−−飯塚−−−−− −−−−−永田−−−−−
−−植道−−−−久保−− −二井岡−−−−川那部−
−−−−−布施−−−−− −−−−−宇田川−−−−
−−−−−上田−−−−− −−−−−宮本−−−−−
滋賀県立野洲高等学校サッカー部 監督:植村尚矢
GK 50 上田宅真
FP 34 久保文哉
FP 39 飯塚理仁
FP 54 植道たすく
FP 61 布施江樹 (Cap.)
控え選手
GK 52 福永蓮
FP 26 林昂希
FP 28 植本昌孝
FP 32 マチウシ レナン
FP 38 中野湧賀
FP 40 上原一輝
FP 53 前田晴司
クラーク記念国際高校 監督:加藤 諒典
GK 2 宮本拓
FP 4 宇田川雄翔
FP 7 二井岡嵩登
FP 9 川那部遼 (Cap.)
FP 10 永田大也
控え選手
GK 1 速水雅斗
FP 3 信木陽太
FP 5 樽本大和
FP 6 小原大芽
FP 8 井本俊次郎
FP 11 藤原仁
FP 12 笠松舜也
さて、試合が始まると、クラークが能力の高いピヴォの永田にボールを集め、キレある動きでターンを狙ったり、的確に味方を落としたり、自分たちの型を持っていることがよくわかった。対する野洲はフィクソの布施がやはり能力が高く、攻撃時には自由に上がっていき、守備時には永田によく付き、非常に依存度が高い。そのためほかの選手は交代しても布施はなかなか代われない、名前からして兄は布施俊樹?残り6分11秒、野洲・上岡が豪快な左ミドルで1−0。残り2分07秒、カウンターから上岡が左からカットインし左隅に決める。2−0。内容はクラークが圧倒しながらも野洲はよく耐えた。ゴレイロの上田もよかった。またクラークも明確な第2セットがなく、ハイテンポを続けられなかった。
後半、残り18分16秒、クラークの二井岡が絵にかいたようなポストシュートを決めて2−1。アシストは永田。やはりいい選手だ。ここからクラークの猛攻が始まるが、野洲の上田が好セーブを連発。必死に耐えた野洲が粘り強く守り勝った。
公式記録によるとシュート数15対45。力ではクラークだったが、伝統を積み上げたチームの勝負強さかなあ。野洲が見事な粘り勝ちを見せた。
公式記録
なおこの日はここで帰ったが、その後行われた準決勝では名古屋オーシャンズU−18が野洲を4−2で下し決勝進出を決めた。正直もっと点差が開くと予想していたが、実戦的な強さで野洲に分があって健闘したのかな?と思った。