高校女子選手権は関西で始まって以来、なるべく観ている。今では関西から移転してしまったが、なるべく足を運ぶ。女子もユース年代が気になるからだ。来年の高校総体に女子も参加することが決まって、来年以降のこの大会がどうなるかは分からない。以前はクラブと高校とを分けることに反対だった。高校総体のほかは全日本女子ユースだけでいいと思っていたし、女子クラブユース選手権開催も時間の問題かも、と思っていた。しかし今では高校女子も盛り上がり、常盤木にいたっては、日テレ・メニーナや浦和レッズジュニアユースレディースよりも強い。いや大学トップより強い。理想も高い。こういう高校が出てくる以上、「高校」というカテゴリー間のライバル意識を刺激するのは、女子サッカーのレベル向上に役に立つ。だから、高体連に加盟しても、別の時期に高校女子選手権を開催すべきだ、と考えを改めた。
さてこの日の目当てその1は十文字の横山だ。昨年のU−17女子W杯での5人抜きゴールがFIFA最優秀ゴール賞のノミネート。生観戦者として高校生のうちに観ておきたい。2回戦で昨年の全国王者・日ノ本(兵庫)に当たる厳しい組み合わせだが、期待した。関西人だけど、好奇心第一なので、予選で観た日ノ本よりも、横山を見たかったのだ。そして見事日ノ本を撃破して準々決勝に進出した。この日の天気は少し雨が降る程度の好コンディション。藤枝順心は地元だけあってブラバンも応援に加わり盛況である。藤枝順心は常連校、コンスタントに初戦を突破する力がある。激戦区静岡を常に勝ち上がるのだから、いかに土台がしっかりしているか、分かるだろう。
高校女子選手権準々決勝
十文字中学高等学校−藤枝順心高等学校
9時30分 ゆめりあサッカーグラウンド ピッチ良 雨
十文字 藤枝順心
−−−−−大塚−−−−− −葛馬−−田中−−平野��
−岡田�◆櫺�山−−伊藤�◆ 檗檗櫺�田�◆歐�村−−−
−−−元井−−野口� 檗檗 檗檗檗檗歛嫉魁檗檗檗檗�
上野−平野−下山田�⊂硝棔‐�泉��天田� 欹�井−市川
−−−−−山田�◆檗檗檗檗 檗檗檗檗歔宛供檗檗檗檗�
十文字 監督:石山隆之 顧問:武岡イネス恵美子
GK 1 山田紅葉 2年 165/54
DF 2 上野波見子 3年 162/49
3 平野夏海 3年 156/50
5 松本朋子 主将 165/55
6 下山田志帆 2年 166/57
MF 8 岡田綾乃 2年 156/50
9 野口彩佳 1年 166/50
19 伊藤果穂 2年 165/52
10 元井穂乃花 3年 160/52
11 横山久美 3年 156/55
FW 7 大塚愛子 3年 167/55
リザーブ
GK 16 高橋純佳 1年 168/56
MF 20 栃木栞 2年 163/50
15 上本瑞季 2年 164/55
4 秋山未空 3年 152/48
24 有田佳予 1年 156/45
藤枝順心高校 監督:多々良和之
GK 1 前原りんご 3年 159/58
DF 2 市川苑佳 3年 157/52
5 桜井麻友佳 主将 157/57
17 小泉玲奈 2年 162/55
20 天田絵莉香 1年 165/61
MF 8 村山百花 3年 161/53
10 植村祥子 3年 158/53
18 岡田理可 2年 146/56
FW 9 葛馬史奈 3年 161/49
11 田中ひとみ 3年 168/60
13 平野里菜 2年 165/53
リザーブ
GK 12 篠丸沙希 2年 162/57
DF 3 寛野未恵 3年 162/54
4 山田真帆 2年 168/55
19 奥川千沙 1年 160/57
7 石田梨紗 3年 154/54
立ち上がりから藤枝順心がボールを支配、��村山が引いたり、相手の真ん中で性格にコントロールし、次にフリーになった選手につなぐ。次々にパスが回る様は、明らかにバルサを意識したパス回しだ。十文字は後手後手に回り、有効なカウンターで浴びせられない。これは力の差があるな、と思った13分、十文字、左サイドに流れた��横山が無理目な突破を仕掛ける。藤枝順心の対応は十分だったが、無理やり突破しGKと1対1、右上隅に決める。1−0。場内唖然。直後に藤枝順心も左クロスから��葛馬シュート、これを十文字GK�〇嚇張后璽僉璽察璽屐�こぼれに��田中詰めるが右CKに逃げる。19分、十文字・��横山の突破を�ゾ硝椒侫.Ε襪濃澆瓩董�右FKに��横山が構え、狙った振りから��野口がミドルも左に外れる。藤枝順心はロングキックがブレ、ショートパス頼りなので、段々十文字のプレスがかかり始める。23分、藤枝順心、��田中のシュートが左ポスト直撃、こぼれを��平野が決める。1−1。29分、藤枝順心�云�泉が左を突破、左クロスに��田中が左ボレー、左に外れる。決定機。��田中はなかなか強靭な選手。その田中が受けたファウルのFKを��植村が左足、�ズ�井が右足で構え、��植村が走って�ズ�井が出し、��植村左クロスもGK抑える。33分、十文字、�Σ嫉嚇帳�24有田。��大塚が右CBに入り、24有田がCFに。35分ハーフのロスタイム、十文字��横山の右CKにファー��野口がフリーでシュート、左に外れる。決定機。結局前半は1−1で終了。
手元集計で前半シュート数3(1)対6(2)、CK数3対0、GK数3対1、クロス数2対0、ファウル数3対2。ファウル数が少ないのは女子の特徴ですね。多分一番上手い選手を両者一人ずつ外して試合をすると、藤枝順心が完勝すると思う。力の差はあった。しかし十文字の横山は圧倒的だった。一人では止めようがないし、ボールをもらう動きもいいから、密着マークをつけるしかないと思ったが、それは藤枝順心の美学に反するのだろう。真っ向勝負を挑み、突破を許してしまった。バルサを見本としているかのようなパスサッカーで全国制覇を狙っているようだ。
ハーフタイムで十文字�外貌�→��上本。ハーフタイムで藤枝順心は��横山への意識が強くなった。これが守備的になり、かえって十文字が形を作り始める。7分、十文字、右CKで横山のボールにファーで��大塚触り、左に外れる。惜しい。��大塚は身体能力が高く、守備でもいい。11分、十文字��横山が左から突っ込み2人かわして3人目を外し、シュート、上のネットへ。決定機。ワンタッチあったようで、左CKへ。��横山の左CKに�┣�田ヘッドも上に外れる。��横山のキック精度も圧倒的で、コーナーも大チャンスである。14分、藤枝順心、��田中→�Ю佚帖�14分、十文字、左80度25mFK、横山が狙うが壁。17分、十文字カウンター、��横山がDFとの1対2で突っ込むが、藤枝順心�甘慧弔�巧みにサイドへ追い込む。好守備。18分、藤枝順心、�臆�田から裏の��平野へ、右CKに逃げる。20分、十文字�┣�田→�監別據�26分、十文字、DF起点に�監別撻轡紂璽函△海椶譴�24有田が蹴りこむ。2−1。前半の展開だったら決して生まれなかったであろうゴール。直後の26分、十文字��横山、右から無理目の突破、中に流れて右上にシュート、決まる。3−1。30分、藤枝順心、�∋埓遐��4果遏↓�葛馬→�せ嚇帖�しかし支配しきれず、そのままタイムアップ。
後半のシュート数は7(4)対1(1)、圧倒的に十文字ペース。横山の能力の高さで流れが変わってしまった。横山に意識が集中するあまり、他の選手への意識が薄まり、横山頼みのカウンターから全体的な攻勢を招いてしまった。一人の能力が試合を決めてしまった。藤枝順心は十分な力を備えていた。どっちが魅力のあるサッカーをしていたかと問われれば、私は藤枝順心を挙げる。しかし基本的な土台の高さとか、組織力ではどうにもならない選手がサッカーにはたまに現れる。横山はそれほどのインパクトだった。高校1年当時の近賀ゆかり(湘南学院)について、当時は年代別代表がなかったので、いますぐA代表に呼ぶべき、とネット上で主張した覚えがあるが、近賀にも劣らないインパクト。凄い選手を見ました。
公式記録
第2試合はこの日の目当てその2の常盤木が登場である。高校女子ではダントツ、おそらくクラブ�癸韻鯀茲ζ�テレ・メニーナや浦和レッズジュニアユースレディースよりも強い。というかおそらく、というのは控えめな表現だ。大学最強クラスの早大よりも強いだろう。その特徴はトータルバランスの高さにある。体格データのとおり、大柄な選手が多いし、激しく当たれるので局地戦に強い。しかしフィジカルサッカーという表現は当たらない。自在なパスワークで相手を振り回し、どんどん突破をかけてくるし、パワープレーもある。守勢に回っても強く、昨年日テレ・ベレーザに公式戦含め2勝したことからも、万能型の強さを持っていることを示している。現在の女子サッカーは少数のエリート育成に傾いており、それはそれで正しい戦略だと思うが、代表の大型化は避けられない課題だと思う。もちろん単にデカい選手を起用しろと言いたいのではない。日々進歩する対世界用に、総合力を上げるということだ。常盤木はいいモデルになると思う。
対する鳳凰だが、2年連続の観戦。というか昨年常盤木と同会場の第2試合で観た。選手はやや大げさなまでに礼儀正しく、好感が持てた。以前にも全女でINAC相手に健闘するゲームを観た。そのときは自陣を固め守り倒す作戦だった。パワー負けしながらも必死に当たり、4失点に迎えた。よく鍛えられているチームで、神村学園というライバルがいることから、守備も出来るチーム。常盤木はスタミナも含めて、何もかも優っているチームなので、INAC戦同様引いて守る戦略を予想した。しかし、意外にも真っ向勝負を挑んだ。
高校女子選手権準々決勝
鳳凰高等学校−常盤木学園高等学校
12時30分 ゆめりあ多目的グラウンド ピッチ良 雨
鳳凰
−−−仲地� 盜�藤�◆檗檗 檗檗歹讃絖◆欹粥耕抬 �
−−−−−−−−−−−− −−−大島−−平田� 檗�
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仮屋�(神遏檗歔勹髻欹篋蝓 檗欅ど堯殞詭據盜眤次檗�
−−−−−内藤−−−−− −−−−−林崎�◆檗檗檗�
鳳凰 監督:嶋田正照
GK 1 内藤友花 3年 161/52
DF 2 坂崎奏 3年 161/53
3 倉薗和 3年 159/55
4 平川ひとみ 3年 158/55
5 仮屋麻衣子 1年 153/50
MF 6 甲斐そらみ 主将 155/52
7 山本ひろな 2年 162/55
8 山本苑佳 1年 151/46
10 高橋美夕紀 3年 161/55
FW 11 工藤早和子 2年 155/48
16 仲地比奈子 1年 161/52
リザーブ
MF 12 島村侑華 2年 152/45
17 芥川奈美江 1年 155/47
FW 9 武田菜津美 1年 170/57
14 植木華那 2年 159/57
常盤木 監督:阿部由晴
GK 17 林崎萌維 2年 168/63 U−15関西トレセン
DF 2 高村ちさと 2年 161/54 09年U−15ナショトレ
4 阿部理絵 3年 160/54
5 鈴木里奈 主将 169/58 09年U−16代表
MF 6 大島瑞稀 3年 166/60
8 二宮早紀 3年 153/48
15 平田美紀 1年 158/52 11年U−16代表候補
21 佐々木美和 1年 154/48 11年U−16代表候補
25 岡森香沙音 2年 164/55
FW 11 仲田歩夢 3年 161/53 10年U−17W杯代表
9 道上彩花 2年 170/65
リザーブ
GK 1 河邊花観 3年 170/54
DF 20 小野寺結衣 3年 166/53
MF 18 小須田璃菜 1年 153/45
10 京川舞 3年 161/52 10年U−17W杯代表
14 伊藤美紀 1年 150/42 11年U−16代表
鳳凰のスタメンの平均身長は157.9cm、平均体重は52.1kg。対する常盤木は平均身長は162.2cm、平均体重は55.5kgとかなり開きがある。
常盤木はエース京川と、U−16代表でも中心選手になりうる伊藤がサブ。仲田が左クロスが魅力のサイドアタッカー。道上は昨年「スーパールーキー」と評した、底知れないポテンシャルの持ち主。ユニバー代表の早大・大滝や神大・長田に匹敵するタレントだ。鳳凰の保護者は今年もスポンサーロゴ入りのTシャツで応援する。
1分、常盤木、裏へのボールに��道上が快速で追いつく、追いすがる鳳凰DFを外してシュートも左CKに逃げる。6分、常盤木・21佐々木が加速からドリで突っ込む。鳳凰GK�‘眛�、左手一本でセーブ。超決定機。9分、常盤木・�ノ詭擇裡苅娃蹌藤砲�鳳凰GKの上を襲う。届かずゴールイン。0−1。GKの背が低い女子ではこういうこともある。少し前までの少年サッカーと同じだ。10分、常盤木��仲田へのパスをカット、�∈篋蠅留Ε�ロスを�庵臙魯悒奪匹盧犬乏阿譴襦�16分、常盤木��道上基点に��仲田が左クロス、これがファーのネットに突き刺さる。0−2。しかし鳳凰も18分、左CKの攻めなおしを左クロス�Щ核楝�で押し込む。1−2。ここでドリンクタイムをはさみ、常盤木左FK、�ノ詭擇�強烈なシュートも左に外れる。22分、鳳凰、左パスに追いついた�庵臙呂�右足アウトで狙うが、シュートは左に外れる。24分、鳳凰、GKのパントキックの際うっかりエリアを出てハンドでFK。��道上から��仲田に出しシュートはバー。決定機。直後の左CKで道上ダイレクトも上に外れる。このあたりから鳳凰は前からボールを追い掛け回す圧力が落ちてくる。21佐々木から��二宮に出て、DFも必死に追いかけクロスはカット。鳳凰はシュート数こそ多いが可能性をあまり感じない。終了間際にも�ノ詭擇裡藤砲鬮�道上が高いヘッドもうえに外れる。このあたり、常盤木��道上と��二宮がポジションチェンジしている。結局前半は1−2で終了。
シュート数は7(1)対6(2)。ゴールキック数は2対5、クロス数は4対2、ファウル数は5対4。数字上は互角だが、かなり差があった。前半で鳳凰が消耗しているのは明らかだった。
ハーフタイム、常盤木21佐々木→��京川、��二宮→��伊藤。ともに代表選手。鳳凰相手に温存できるのだから、常盤木の層の厚さが分かるだろう。2分、常盤木��伊藤が強引に右から中へブロックドリブルで切れ込むが、シュートはブロックされる。5分、常盤木�ノ詭擇�ハーフ付近からロング、GKの上を襲い決まる。1−3。凄いキック力。GKの高さ不足も問題だが、それをハーフから狙うのが凄い。9分、常盤木、カウンターから��道上から��伊藤へ、ここから京川へスルーパスもペナ内で鳳凰�ゲ床阿�倒しPK。これを京川自身が決めて1−4。10ふん、常盤木��仲田の左クロスに��道上がニアでスライディングシュート、左に外れる。決定機。常盤木��伊藤は代表ではクレバーなスタイルで、力強く正確なグラウンダーパスが印象的で、中田英寿を思わせたが、常盤木ではサイドで徹底的にドリブルを仕掛けるスタイル。鳳凰も�Щ核棧���植木がFWに入る。��工藤が右ハーフ、��高橋が左ハーフへ。17分右パスを受けた常盤木��京川が中に切れ込み左上を襲うシュート、セーブ。決定機。鳳凰はすっかりプレスが弱くなり、常盤木がドリブルで打開するようになる。22分、常盤木カウンター、オフサイドギリギリで��京川が抜け出し決める。1−5。直後に鳳凰・�庵臙連���武田。23分、常盤木、��伊藤が右を突破、��道上がつなぎ、��仲田シュート、当たりそこね。決定機。常盤木�β臈腆��仮�須田。28分、常盤木、��伊藤が力強い長いスルーパスを��道上に通し左足で右隅に決める。1−6。28分、常盤木�ぐど槇��款�野寺。鳳凰�┥硝棧��嘘�川。30分、常盤木楔を入れて��道上鋭いターン、切れ込み1対1を決める。1−7。常盤木�盈唳蝣��_�邊。GK同士の交代。33分、常盤木、��京川がターンで前を向き右クロスを��仲田が決める。1−8。34分、鳳凰��甲斐→��島村。ロスタイムの37分、鳳凰、��島村が左を突破、右上隅に決めて2−8と追撃。しかしここまで。タイムアップ。
後半のシュート数は2対9(6)。圧倒的に常盤木ペースだった。力の差は明らかだった。全国制覇経験があり、コンスタントに大会上位に絡む鳳凰でもここまでやられるのか、驚いた。衝撃的だった。今年の常盤木は史上最強ではないか?3年前のチームも凄かったが、今年は圧倒的だ。京川のスピードと決定力、道上の身体能力、仲田の左クロス、伊藤の力強いドリブルなど、超高校級の選手がそろっていた。これでは他校は苦しいだろう、と思っていたら、苦戦らしい苦戦もないまま全国制覇。大勝が3試合もあった。
鳳凰は同じ高校生として真っ向勝負を挑んだが、力及ばなかった。引いて守るしかないと思ったが。それはプライドが許さないのだろうか?常盤木に真っ向勝負をすると、点差がつくことくらい分かっていたと思うが、これも一つの選択だ。
公式記録