サッカー観戦日記

2006年08月30日(水) 雑文・U−17アジア選手権を前にして

今回のU−16代表は期待されていた。プロ契約の柿谷(C大阪)を中心に山田(浦和Y)、岡本(広島Y)の強力な中盤やマリノスユース勢主体の攻撃陣は小野伸二のいた94年ジュニアユース代表以来のインパクトだった。しかし様子がおかしい。チームが一向に完成しないのである。

「人が良く動き、ボールも良く動くサッカー」。日本のサッカーの基本的戦略に沿った正統派トレセンサッカーを志向する今回のチームは身体能力よりも技術・戦術眼を備えた選手を集め、昨年の段階からインパクトのある成果を残した。DFに好タレントが少ない、という課題も徐々に身体能力の高い素材を集めて選手を入れ替えつつ克服できるはずだった。しかし選手の入れ替えは遅々として進まなかった。結果として身体能力の低い「頭でっかち」のチームとなってしまった。

エースであるはずの柿谷も守備意識の低さを改善できず、プラスマイナス両面を考えると絶対的な存在とは言い切れないようになってきた。

加えて城福監督がテストを止めないのである。DF陣のテストなら止むを得ない部分もあるが、中盤から前も試行錯誤を繰り返しているのである。タレントの発掘はとうに済んだはずだ。しかしどうやらU−17アジア選手権までも選手を変えながら戦っていくようなのだ。これではアテネ五輪で失敗した山本氏のようではないか。

−−−−−端戸−−−−− 
斉藤−−−柿谷−−−水沼 
−−−山田−−岡本−−− 
金井−甲斐−−山地−高橋 
−−−−−廣永−−−−− 

上の布陣が私の考えるベストメンバーだ。柿谷を最大限活かすなら守備の負担の少ないポジションに置いて攻撃面で最大限の能力を発揮できるようにしたい。ちょうどドイツW杯でのジダンのフランス代表での使われ方と同じ、4−2−3−1のトップ下起用である。この布陣は柿谷のことだけを考えているわけではない。チーム立ち上げのときから、4−2−3−1はずっとテストされていて選手たちにとっても戦いやすいやり方だと思うからだ。またそれに適した選手たちも揃っている。動き回って起点になり、DFラインの裏も取れる端戸。突破力に優れ得点能力豊かな斉藤学。バランス感覚に長けた水沼。マリノス・トリオをそろえたアタッカー陣に加え、正確な技術と判断力を備え城福サッカーの申し子・山田と底知れないポテンシャルを持つ岡本のドイスボランチは波状攻撃の起点となることだろう。

今回のチームは韓国・ネパール・シンガポールと同組になったグループリーグは高確率で突破するだろう。そして準々決勝でイラン・イラク・タジキスタン・イエメンの組を突破したチームと対戦し、勝てば世界大会に出場できる。そしてその確率は5割以上だと思っていた。グループBでは充実したイラン以外は国が安定していないし、勝つ可能性が高いと思っていたからだ。しかしここに来ての日本の迷走を見るにつけ、韓国に勝ってグループを1位通過できるかどうかが怪しくなってきたし、イラクにも勝てるかどうか不安が募ってきた。2000年の田嶋ジャパン以来というくじ運に恵まれたというのに。

現在の私のアジア突破予想は30パーセントあるかないか、というところである。まだチームは機能している。ただ城福さんもやっぱりまた経験不足だったのかなあ、と思い始めている。


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T.K. [MAIL]