皇帝の日記
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ソックス・モンスター、出現するのは我が家だけではないようですね。
皇帝がジャバ夫さんから、ソックス・モンスターについて聞いたのは、実は今年に入ってからなのだ。
長らく一緒にいるが、2008年2月14日にアメリカで入籍するまでにも、たびたび靴下が無くなっていたので、「この人は靴下を揃えていないのだろうか」と思いながらも、まだ結婚前であったので、とやかく干渉せず、かたっぽだけの靴下を、そのままクローゼットに押し込んでいた。
晴れて夫婦になった後も、母のお見舞いに日本に行ったり、妊娠のため空気の良いサンタバーバラへ避難、などうろうろしていたので、ちゃんと腰を据えて一緒に生活したのは、実は2009年年始からなのだ。
で、今のアパートに引っ越してから、洗濯した後、ちゃんと靴下を揃えて片付けるようにし始めた。 愛する夫の靴下ですからね。 おほほほ。 (そんなことを言っているのは、今年だけかもしれないので、言わしておきなさい)
洗濯して、出て来た靴下で、マッチしない物はお菓子の空き缶に入れて保管して、マッチするのが出てくるのを、待っていたのだ。 ところが、待てど暮らせどマッチする相方の現れない靴下が、段々増えていったのであった。
・・・そんな馬鹿な。
そしてイサムを産む直前のある日、ジャバ夫さんに、片方だけの靴下をずらりと並べて、何故靴下が無くなるのか、問いただしたのであった。 すると、ジャバ夫さんは思い詰めた表情で言いました「まだソックス・モンスターがいるのか・・・」
え・・・。
なにこの人・・・。
そして、ジャバ夫さんは、ぽつりぽつりと語りだした。 彼がまだいたいけな小学生だった頃。 靴下が全く左右揃わない状態で日常的に暮らしていたジャバ夫さん。 ある時父親に「お父さん、何故靴下は片方だけ無くなるの?」と聞くと「・・・それはソックス・モンスターが隠しているんだ・・・」と、低いテンションで告げられた。
小さなジャバ夫さんは、恐ろしさに震えました。 両親は共働きで、しかも遅くまで帰ってこない。 弟は学区の違う遠方の小学校にいるので、日中は一人で家にいる事の多かった、鍵っ子のジャバ夫さん。 その上天候の悪いオクラホマの事、嵐や吹雪が街を襲うと、そこはまるで孤島のように、世間から切り離されてしまう。
ガタガタ音を立てる、古い家屋で、一人っきり。
その家の中の、クローゼットの中に、ソックス・モンスターがいるというのだ。
ソックス・モンスターと二人・・・。
怖いよー。 恐ろしい怪物を想像しては、涙する日々。 そう、ソックス・モンスターとは、皇帝の想像していたような、妖精のような「靴下怪獣」どころか、「ポケット・モンスター」どころか、恐るべき「妖怪靴下隠し」だったのだ。
やがてジャバ夫さんも成長し、18になって家を出、一人暮らしを始めたが、ソックス・モンスターが憑いて来たことに気がつくのに、そう時間はかからなかった。 「あいつ・・・どっかにいやがるな・・・」 と緊張しながら生きて来たジャバ夫さん。
日本に留学しても、中国に留学しても、常に奴の陰を感じ続けて来たジャバ夫さん。
ついに結婚して、二人で引っ越し、クローゼットの靴下が、常にマッチし始め(それは妻がマッチする物しか戻していなかったからだ)、ようやく奴もいなくなったか、と思った矢先。 妻が片方だけの靴下を並べて、「どうして?」と言って来たのである。
皇帝には何気ない日常の一コマだったが、ジャバ夫さんにとっては、ホラー映画のクライマックスのような恐ろしさだったに違いない(大げさな)。
あいつ、まだこの家のどこかに・・・。
皇帝

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