皇帝の日記
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これから語られる物語は、あまりに恐ろしいので、怖いのが苦手な人は回避されたし。 どろどろー。
なんだかスピーディーな展開だったので、これを難産と言って良いものかどうか迷うのだが。 たぶん、100人中100人が「最も選びたくない出産コース」に挙げる自信のある歩みであった。
あと、思ったより自分は痛みに強いという事がわかった。 新しい発見だ。 ちょっとしたことで大げさに痛がる割には、耐えられる痛みの上限が、かなりハイだ。 というか、耐えすぎたのがいけなかったのか。 いや、なにがいけなかったとか、自分で運命を選択できるもんではないな、と思った。
さて、何が起こったかというと。
まず、3日午後に超音波検査をしたところ、羊水が足りていないと診断された。 赤ちゃんの周りに、全然スペースがない。 このままにしておくと、自然分娩ができなくなるので、今日生んでしまいましょう、ということになったのだ。 今日!?
朝ロスに送り出したばかりのジャバ夫さんを、再び電話で呼び戻し、入院の準備をして、夕方もう分娩室に座っていた。 まあーどうしましょう。 今日中に生まれたら、お節句生まれだわ。 などと、この辺りまでは暢気にしていた。 義母と、「出産前の私」「病院食を食べる私」とか言いながら、写真撮影をしている余裕ぶりであった。
17時、看護婦さんが、陣痛と胎児の心拍数を計る機械を持ってきて、装着してくれたら、「あら、もう陣痛始まってますよ」と言われた。 言われてみれば、痛い。 でも、ちょっと激しくお腹がはってるのかなーくらいに思っていたのだ。 投薬しなくても勝手に陣痛が始まっているなら、これは自然に安産なんでないの?とすら思った。 ジャバ夫さんが到着し、義父母と付き添いを交代する。
が、子宮口が0.5センチから一向に広がらないので、20時に子宮頸管を柔らかくする薬を投与。 この時点で、ようやく陣痛が強くなり始め、痛いー痛いーという波に。 でもまだ暢気な皇帝。 「ドラマみたいね、うふふ」とか思いながら、武士らしく黙って痛みに耐えていた。 武士じゃないけど。
夜中に隣の部屋に、別の妊婦さんが担ぎ込まれてきて、「ぎゃああああああああああああ!!」と大騒ぎを始めた。 うっそんなに痛くなるのか、とびびったが、なんとこの妊婦さん、すでに無痛分娩の処置が済んでいるというのだ。 あんまり激しく悲鳴を上げるので、看護婦さんたちが「本当に薬入ってるの?」とか、「まだ陣痛始まったばっかりなんだけど」とか大声で確認しているのが聞こえてくる。
あ、もしかして、私も悲鳴とか上げてみるべき? とかちらっと思う。 でもここは粛々と痛みに耐え、一応控えめに「痛くて眠れないです」と言ったら、お尻にモルヒネを打たれてしまった。 痛い。 お尻に打たれた注射の方が痛い。 やっぱり黙っていよう。
うつらうつらしていたら、どばーっと液体が出て行った気配。 破水かしら?と思いながら、痛くて何もする気になれないので、ジャバ夫さんに「破水かどうか確認して」と言って、またうつらうつらしていたら、ジャバ夫さんが何か言いながら、部屋を出て行ってしまった。 どうもこの時、大出血したらしいのだが、ジャバ夫さん、何故か皇帝を驚かせないようにしようと思ったらしく、ナースコールではなく直接ナースを呼びにいっていたのだ。 一人でいるときに、またどばーっとなったが、痛みに耐える事で頭がいっぱいになっていたので、じっと我慢していた。 ナースが来たので、何か言おうとして口を開いたら、なんと吐き戻し。 ベッドの上が惨劇状態。
で、何故か走り続けたマラソンランナーのようにハイになってしまった皇帝は、「まだ耐えられる」と思っていた。 子宮口は朝8時でまだ2センチ。 ここで出産のスピードアップを狙って、医者が人口的に破水。 更に一時間粘ったところ、胎児の心拍数が落ち始めたので、また羊水を戻して、プレッシャーを減らす作戦になったらしい。 どんどん体につながる管が増えていくので、「あーもしかしてあたし難産なんじゃー」と思ったら、ようやく「痛いー」と声に出てきて、10時には医者が数人やって来たのであった。 自己申告なのか?
この辺から、胎児の心拍数ががくっと落ちたので、なんと帝王切開に。 ああ、結局背中から注射。 だったら始めっから無痛分娩をお願いしたのに。 14時間の陣痛の末に帝王切開って。
こっからが早いもので、30分ほどで赤ちゃんは無事外へ。 結局、最後は赤ちゃんの足にへその緒が絡まっていた事が判明。 で、へその緒が絡まって引っ張られて、酸素が足りなくなって、心拍数が下がっていたのだ。 あー。
自然分娩をしたいから、その日のうちに入院したのに。 全ての目的を外しまくって、そのように落ち着いたのでした。
そして、帝王切開なのに4日で退院しろって言われた。
とりあえずベッドから起き上がれるようにならねば。
皇帝

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