皇帝の日記
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2008年06月10日(火) ゾハンとアイロン万

主にゾーハンのネタばれ有り。

ジャバさんは仕事により、一日何本も映画を見るのだ。
週末サンタバーバラに来ていたので、一緒に何か見に行こう、という話になり、憂き事多きこの世なれば、できれば単純に笑える映画が良いです、とリクエスト。
土曜日はアイロン万、日曜日はゾハン(ゾーハン?)を見た。

http://www.youdontmesswiththezohan.com/

正直、こんなにおすすめ映画は、アメリカ映画鑑賞史上初。

通常、アメリカのコメディって、笑えない事が多い。
それは単純に、キャラクターが精神的に恥ずかしい目に遭うか、肉体的に痛い目に遭えば、笑いが取れるという、幼稚な観客に寄るところも多いだろうが(アメリカンジョークなのか?)
皇帝的には、「あいたた。。。」と顔をしかめるようなシーン満載。
やがてストーリーも崩壊し、ラブコメならば、くだらない誤解から、主人公カップルはけんかをしたのだが、誤解が解けてめでたしめでたし、という、しょうもない終わり方をするものなのだ。
またこの誤解自体が、なんのひねりもない。。。ぶつぶつ。

でも、この映画は違う。
まず、主人公が最強なので、痛い目に合わない為、安心して活躍を見る事ができる。
さらに、主人公が、イスラエルの軍人なのだ。
中東問題に深く切り込んだ内容でありながら、見ている間は、全くその事に気がつかない。(笑いすぎて)

テロリストを追いつめる時、主人公が地元の子供たちに石を投げられるなど、正しいアメリカの教科書ならば、真っ先に削除されそうなシーンも、素早く笑いのオブラートに包み、全く問題を感じさせない。
にも関わらず、その場面で用いられたジョークを思い出すと、「そういえば石を投げられていたな」と、頭に残るのだ。

主人公がピュアでよろしい。
笑いは常に、彼のオーバーセクシュアリティーネタか、最強ネタによる。
いついかなる時でも、悪気が100%ない。
美容師になる夢を、両親に笑われた時など、ひっそりとベッドルームで、お気に入りの美容雑誌を抱えて、涙をこぼす。
それすらも、イヤミなく笑いのシーンになっているのだが、笑いながらも、主人公が嘲笑されるような、嫌な感じの笑いではないのだ。

やがて、舞台はニューヨークに。
ニューヨークでも、パレスチナ系移民と、イスラエル人の出稼ぎの間で、小さな抗争が耐えない。
中東出稼ぎ人の実態までも、笑いとともに暴き立てて行く。

シーンのあちこちに、中東諸国共通、心の食品であるハマスが登場する。
韓国人のキムチ、日本人の梅干し、オーストラリア人のベジマイトに相当する、ハマス(ガーリック味の、癖になるペースト状の何か)。
この食品があちこちに出る事で、中東の人々が同じ文化圏の仲間である事を、さりげなく主張している(?)ような気がする。

そして、中東人は何故か皆マライアが好き。
マライアがサッカー(イスラエル対パレスチナ!)の試合で、アメリカ国歌を斉唱すると、皆国歌にではなく、マライアに敬礼。

対テロ軍人だったゾハンが、元テロリストと義兄弟にまでなるという、書いてみると「ありえねー」な展開も、見ている間は、全く自然な成り行きで進んで行く。
違和感はない。

さんざん笑わせてくれた後に、映画館を出て10分くらいすると、
暴力の連鎖、戦争がいかに下らないことであるか
という、この映画で貫かれた主張に気がつかされるのだ。
特に、暴力に暴力で返す事が、いかに無意味である事か。

でも、見ている間、笑いすぎて気がつかないのがすごい。
アダムサンドラーの力量か。
あと、K-1初期の90年代に、リングコールしてたおじちゃんが、悪のおじいちゃんになって出演している。
気づくと楽しい。

制作者側は、犬と羊は好きだが、猫は好きじゃない様子で、猫の扱いにちょっと不満が残るが、目をつぶろう。

アイロンマンは、ヒーローものの中では出色。
こちらも主人公が魅力的。
同じテロリストネタで、こちらもアメリカの武器商人が抗争の黒幕である事から、アメリカがついに頭が冷えて来た希望の映画として見られたし。

やっぱヒーローは魅力がないとねー。


皇帝