| 2025年12月07日(日) |
ロストランズ闇を狩る者、この本を盗む者は |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ロストランズ闇を狩る者』“In the Lost Lands” 『バイオハザード』シリーズなどの監督ポール・W・S・ア ンダースンと主演ミラ・ジョヴォヴィッチの夫婦が、ドラマ 『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作者ジョージ・R・R・ マーティンの短編小説を映画化したポストアポカリプスが背 景のダークファンタシー。 ミラが演じるのはグレイ・アリスと呼ばれる魔女。彼女には 相手の瞳を見ることでその意識を奪い取る能力があり、それ によって幾多の危機を逃れてきた。そんな彼女には頼まれた ことを断れないという使命も授かっている。 それにより多くの人を救ってきたが、そのため教会を中心と する施政者には目の敵とされており、特に教会の主教らから は執拗に追われる身となっていた。それでも危機は逃れ続け てきたが…。 そんな彼女に施政者の頂点である王女が願い事を伝える。そ れはロストランズと呼ばれる荒野に暮らす変化者を連れてく るというものだった。ところが王女の警備官からはその願い を叶えないでくれという願いも受け入れてしまう。 こうしてグレイ・アリスは案内人ボイスの手を借りてロスト ランズへの旅を開始するが、その後を教会の主教らが鉄道を 使い軍隊を引き連れて追い始める。こうして荒廃した荒野を 巡るアドヴェンチャーが始まる。 共演は、2014年8月紹介『ガーディアンズ・オブ・ギャラク シー』などのデイヴ・バウティスタ。他にアーリー・ジョバ ー、アマラ・オケレケ、フレイザー・ジェームズらが脇を固 めている。 人類を襲った災厄には原子炉が絡むようで、映画の途中には 原子炉を格納するサイロなども出てくる。このサイロの風景 は日本ではあまりお目に掛れないが、海外ではこれが常識の ようで外国映画ではよく象徴的に出てくるものだ。 この他には大規模な露天掘りの跡と思われる風景や廃線まが いの鉄路を疾走する蒸気機関車など、マニアなら思わずニヤ リとするような風景が惜しげもなく次々に登場する。それも 嬉しくなる作品だった。 その一方で本作はミラ・ジョヴォヴィッチのアクションも見 事な作品で、50代最後の年のアクションとは到底思えないも の。もちろんAIなども総動員のものなのだろうが、その完 成度にも感動した。 公開は2026年1月1日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷 他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
『この本を盗む者は』 直木賞、大藪賞の候補になったこともある作家の深緑野分が 2021年に発表して本屋大賞にノミネートされた同名小説を、 監督/コンテ/演出:福岡大生、構成/脚本:中西やすひろ、 キャラクターデザイン/作画監督:黒澤桂子でアニメーショ ン映画化した作品。 主人公は書籍の街とされる読長町に暮らす高校一年生。彼女 の曽祖父が愛書家で巨大な書庫「御倉館」を建てたことから そこに本好きや書店が集まり、その街ができたということの ようだ。しかし彼女自身は本が好きではなかった。 ところがある日、御倉館から本が盗まれるという事件が起き る。そしてその結果、読長町とその住人が物語の世界に飲み 込まれてしまう。それはその本に掛けられた呪い=“ブック カース”のせいだった。 そんな中で主人公は物語には取り込まれず、そこに現れた謎 の少女と共に本を取り返す使命を負うことになる。それは本 に書かれた物語の中から謎を解く鍵を見つけ出す冒険の旅で もあった。 声優は片岡凜、田牧そら。他に東山奈央、諏訪部順一、伊藤 静、土屋神葉、千葉繁、鈴木崚汰、上田麗奈、関智一、高橋 李依。さらに大地葉、小市眞琴、花守ゆみり、上田瞳、石見 舞菜香、福山潤、朴璐美らが脇を固めている。 物語は複数の本の世界を縦断して行くもので、それはSF/ ファンタシーであったりハードボイルドミステリーであった り、様々なジャンルの世界が展開されて行く。それはその手 の本好きには面白い展開だ。 その一方で本に掛けられた呪いというのは、自分が以前には それなりの蔵書を持っていてその本を貸し出して戻ってこな かった経験を持つ者としては、呪いを掛けたくなる気持ちも 理解できるものだ。 そんな訳で愛書家、蔵書家には興味を惹かれる話かな。でも 全体が1時間半足らずの作品と言うのはちょっと物足りなか ったかな。特に主人公の父親の話辺りはもう少し詳しく描い て欲しかった気はした。 つまり父親と呪いとの間には明らかに何らかの関連があった はずで、そこに祖母の関りなどはもっとドラマがあったはず なのだ。アクションがしっかりしていた分、そちらにも少し 時間を割いて欲しかったものだ。 とは言え映画全体の印象は可愛らしさかな。それは上映時間 の短さもそうだが、物語の詰めの甘さなどにも感じてしまっ た。それらを加味して幼い映画ファンの入門作品として手頃 な作品のようにも感じられた。 公開は12月26日より全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社角川 ANIMATIONの招待で試写を 観て投稿するものです。
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